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陸上競技はいつから行われていたのか?歴史を紐解く

2017 1/30 20:43
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Photo by FS Stock/Shutterstock.com

リオデジャネイロオリンピックで日本中を歓喜の渦に巻き込んだ陸上競技。そんな陸上競技の始まりと、陸上競技の各運動様式「走・投・跳・歩」の種目をそれぞれ1つ挙げその歴史を紹介したいと思う。

陸上競技の始まり

陸上競技は、走る・投げる・跳ぶ・歩くなど基本的には道具をほとんど使うことなく競い合う競技だ。その歴史は非常に古く、紀元前776年に行われた第1回の古代オリンピックではすでに走る種目が行われていた。
しかし、古代オリンピックよりもさらに前から人々は走・投・跳・歩といった運動を行っており、祭事として競技会が開催されていた。競技に用いられる運動の様式自体はいつ生まれたと断言することはできないが、それを競う競技会としての発生は非常に古いものであると言える。
世界的に見ると非常に長い歴史を持つ陸上競技だが、日本の陸上競技の歴史はかなり後れて始まった。日本でも、走・投・跳・歩といった運動の様式自体は存在していたが、陸上競技とされたのは、明治時代に入ってからだ。イギリス人教師によって伝えられたと言われている。

「走」の歴史。リレー

オリンピックでの日本代表の活躍が記憶に新しいリレーだが、その起源は神聖な火を儀礼や祭礼に運ぶための方法として行われたものと、政府が重要な情報を全国各地に早く伝えるために行ってきたものという2つの系譜があった。
現在行われているような形のリレーは1893年にアメリカで誕生した。当時、アメリカの東西に渡って郵便をリレーして配達する馬から発想を得て、バトンを受け渡して走るリレーを思いついたということだ。オリンピックで初めてリレー競技が行われたのは、アメリカでのリレー誕生から15年後の1908年ロンドン大会で、メドレーリレーが行われた。日本で初めて正式にリレー競技が行われたのはさらに後で、1913年だった。

「投」の歴史。砲丸投げ

砲丸投げが競技として行われるようになった背景には、古くからの人間の生活が大きく関わっている。かつて人間は食料を得るために狩猟を行っていたが、その際に獲物を狩るための手段として、重い木や石、金属などを投げていた。狩猟という大きな目的のためにものを投げるということは古くから行われており、それらの行動が今の砲丸投げをはじめとする投てき種目につながっていると考えられる。
現在のような砲丸投げが行われるようになった起源には2つの有力説がある。1つはアイルランドのダブリン大学での陸上競技会の種目に鉄製の砲丸を使った競技が採用され、それが今の砲丸投げに至っているというものだ。もう1つは兵士が大砲に使用する弾丸(砲丸)を運搬する手段として砲丸をより遠くに投げるコンテストをしていたものが競技になったというものだ。
いずれにせよ、ものを遠くに投げるという投てき種目の考えは非常に古くから存在していた。砲丸投げは近代オリンピックの第1回アテネ大会(1896)から2016年のリオデジャネイロ大会まで行われている。

「跳」の歴史。棒高跳び

かつて狩猟によって生活していた人間は獲物を追っている時に川や溝、濠に出くわすとそれを越えるために木切れや棒を使って対岸へ渡っていた。対岸へ渡るという行為は高く跳ぶというよりも遠くへ跳ぶということだが、棒を使って跳ぶという行為は古くから行われていた。
現在のような棒高跳びが行われるようになったのは18世紀?19世紀にかけてドイツの体育指導者が身体訓練の1つとして行わせていたことがきっかけだった。その後、1866年にイギリスで行われた競技会で棒高跳びが採用されたことで、陸上競技における棒高跳びが始まったと言われている。ちなみに日本へは、イギリスでの始まりから少し後の明治初期になって棒高跳びが伝わった。

「歩」の歴史。競歩

歩くという行為は人が二足歩行を始めた時から行われている動作だ。そんな人類とともに生まれた歩くという行為が、競歩という競技に至った歴史にはいくつかの説がある。
1つめは古代ローマの軍隊での娯楽競技が発展したというもの、2つめは18世紀のイギリス貴族が行っていた散歩が競技になったもの、3つめは貴族の間で城と城の連絡係として用いたフットマンと呼ばれる人による競争だ。いずれにしても競歩の始まりはヨーロッパであると言われている。そんな競歩が初めてオリンピック種目に採用されたのは1908年のロンドン大会からだった。

まとめ

ここまで陸上競技の歴史を紹介してきた、いずれも歴史は古く、人々の日常生活で行われていた動きが競技へと発展していった。人間の体の限界に挑戦する陸上競技だが、そのルーツを考えながら見るとより楽しめるかもしれない。