神奈川大学駅伝チームとは
神奈川大学駅伝チームは、駅伝部として存在しているわけではない。正式には神奈川大学陸上競技部内の駅伝部門という部門の1つとして存在している。ちなみにその他には短距離部門、中長距離部門の2部門がある。
普段の活動は横浜市神奈川区、緑区で行われている。そんな神奈川大学駅伝部門(陸上競技部)は、前身の横浜専門学校時代の1933年(昭和8年)に創部された。当時から駅伝チームは存在しており、日本の大学駅伝チームの中でも比較的長い歴史を有してする。ユニフォームおよび駅伝の命とも言える、たすきの色はプラウドブルー(紫紺)。2016年現在は48名の部員と、7名の指導者によって活動している。
箱根駅伝での成績
神奈川大学駅伝チームは、前身の横浜専門学校時代の1936年に箱根駅伝に初出場すると、2016年までにその回数は47回に達した。これは、歴代13位の出場記録だ。2017年の第93回大会にも出場が決まり、次回で48回目の出場となる。
これまで箱根駅伝においては、往路優勝3回(1997年、1998年、2002年)、復路優勝1回(1998年)、総合優勝2回(1997年、1998年)という実績を残し、特に1997年に初優勝を果たすと、翌1998年も優勝し総合連覇を達成するなど、大学駅伝の強豪校の1つとして数えられている。しかし、近年は箱根駅伝本選には出場こそしているものの、2005年を最後に、予選を免除されるシード権を獲得できておらず、毎年予選会からの出場となるなど、苦しい戦いが続いている。
全日本大学駅伝対校選手権・出雲駅伝での成績
大学3大駅伝の1つである、全日本大学駅伝対校選手権においても神奈川大学は強豪校の強さを見せている。これまで同大会に15回出場しており、1996年に初優勝、1997年に連覇を果たすなど、関東のチームのみで戦う箱根駅伝と違って全国のチームと戦う全日本大学駅伝においてもその実力を発揮している。
しかし、同じく大学3大駅伝の1つである出雲駅伝においては、優勝経験はなく、最高順位が2位とあと一歩のところで優勝を逃している。
それでも、箱根駅伝、全日本大学駅伝、出雲駅伝で、恒常的に好成績を残しており、その強さは本物であるといえる。
神奈川大学を強くした?大後栄治監督
各大会で好成績を残す神奈川大学駅伝チームを率いるのは、大後栄治監督だ。大後監督は日本体育大学の陸上競技部出身で、自身は怪我のため箱根駅伝を走ることはできていないものの、当時指導者不在だった日体大において、事実上の監督としてチームを引っ張っていた。
日体大では大学院まで進み、卒業後の1989年に長距離専門の指導者を探していた神奈川大学にコーチとして就任している。
今でこそ連続出場を続けている箱根駅伝だが、当時の神奈川大学は15年間本選に出場していないという状況だった。
さらに、選手もほとんどがスポーツ推薦で入学しているものの熱心に競技に取り組んでいる雰囲気ではなかった。そんなチームを改革するために大後監督は、アパートを買い取って寮を作り、選手の食事管理を図ったり、大型バスを購入して選手の移動をスムーズに行わせたりするなど尽力した。
その結果、就任3年目の1992年に18年ぶりに箱根駅伝本選出場を果たすと、翌年も連続出場し8位でシード権を獲得するなど着実にチームを強くしていった。
神奈川大学の強さの背景には大後監督の存在があるのだ。
チーム力が強い神奈川大学?
箱根駅伝を始め、これまで、多くの大会で優勝や上位の成績を残してきた神奈川大学駅伝チームだが、意外なことに陸上の日本代表に選出された選手はあまり多くない。神奈川大学は、代表に選ばれるような強烈な個性を持った選手がチームを引っ張っているのではなく、チーム全体が一体となって力を発揮しているのだ。
先述の大後監督がチームにおいて大切にしていることの1つとして「チーム力」をあげている。そして、そのチーム力は監督のトップダウンによる指導ではなく、選手たちの自主性によって生み出されるものであり、1人1人がチーム力を高くする方法を考えているからこそ、チームとしての一体感が生まれてチーム力が強くなるのだそうだ。指導をするのはあくまでも監督だが、チームをのカラーを作り出しているのは選手であり、そういった自主性が神奈川大学の強さの要因の1つなのかもしれない。
まとめ
ここまで神奈川大学駅伝チームの歴史を紹介してきた。過去には箱根駅伝で総合優勝をしたこともある強豪チーム・神奈川大学駅伝チーム。2017年の箱根駅伝でもその勇姿がみられるので、ぜひ神奈川大学駅伝チームに注目してみてほしい。