マラソン日本代表の出場資格の決定方法とは?
2016年リオ五輪、2012年ロンドン五輪の選考経過を観察すると、マラソンのオリンピック代表はおおむね次のような基準で出場資格を与えられるようです。
(1)まず代表選手の数は男女ともに3名です。オリンピックに出場するためには国際陸連が定めた参加標準記録を上回るタイムを出すことが必要条件となります。
(2)オリンピック直近に開催される世界陸上のマラソンで「上位8位以内に入賞」かつ「日本人最上位」となった1名は代表内定が確定します。
(3)残りの2名(世界陸上で内定が出なければ3名)については、世界陸上後に行われる3つの国内大会で優秀な成績を収めた選手に内定を出します。
オリンピック代表となる確実な条件は世界陸上での好成績
オリンピックの代表内定を勝ち取る確実な方法は、世界陸上で優秀な成績を取ることです。
これは、オリンピックのマラソンと世界陸上のマラソンでは出場する選手の顔ぶれや実力が類似しているため、世界陸上出の成績によってオリンピックの成績をある程度予測できるからだと考えられています。
この条件で代表となった場合、タイムは原則として無関係なので、後続の3大会で決まったほかの代表2名のほうがずっとタイムが良いということもありえます。
リオ五輪女子マラソンの代表選考で起きた問題
リオ五輪の女子マラソン代表に選ばれた福士加代子選手は、国際大会での優勝経験もある実力派です。
ただ、リオ五輪の代表選考ではちょっとしたトラブルがありました。それは代表選考の権限をもつ日本陸連が福士選手の代表内定をためらったからです。福士選手は代表選考レースのひとつ大阪国際女子マラソンで見事優勝し、記録も日本歴代7位という2時間22分17秒でした。
このタイムは前年の世界選手権7位入賞によりいち早くオリンピック代表を決めた伊藤舞選手のタイム(2時間29分48秒)よりずっと早いにもかかわらず、福士選手に内定は出ませんでした。その理由は闇の中ですが、一説には、大阪国際のあとに開催される最後の選考大会、名古屋ウィメンズマラソンの結果を待ちたいという日本陸連の思惑があったようです。
国内の3大会で出場資格を勝ち取るのは大変!
世界陸上で内定をもらえなかった選手は、その後に国内で行われる3つの大会で好成績をあげないと代表になれません。この場合選考のハードルが上がります。最低限必要な記録はオリンピック参加標準記録ではなく、日本陸連が定めた設定記録を超えなければいけないのです。
ちなみにリオ五輪の選考基準だと、参加標準記録は男子が2時間18分、女子が2時間44分であるのに対し、日本陸連による設定記録は男子2時間6分30秒、女子が2時間22分30秒と、非常に厳しめの設定になっています。
東京オリンピックの代表選考はどうなる?
2020年に開催が決定している東京五輪のマラソン代表選考はどうなるでしょうか?
近年のオリンピックの選考過程と大きく異なることは考えにくいので、世界陸上での8位以内入賞および3つの国内大会での成績が選考基準となることは間違いありません。となると、気になるのは2019年9月から10月に開催される世界陸上ですが、開催地はなんとカタールのドーハ。
国土の大半が砂漠であるドーハは東京よりもはるかに高い気温ですが、雨量がほぼゼロであるため非常に乾燥しています。他方、東京の9月10月はドーハよりも気温は低いですが蒸し暑くて残暑の厳しい環境です。こうして比べると、東京もドーハもマラソンを行う環境としては同じくらい過酷であるといえるでしょう。
したがって、ドーハでの成績は東京五輪での成績を予測できる大きな材料となります。8位以内の入賞を果たせれば、代表の内定は確実であろうと予測できます。
まとめ
日本のマラソン代表の出場資格について豆知識をお届けしました!オリンピックの前年に開催される世界陸上での成績が代表内定にとって大きな条件です。オリンピックだけでなく、ぜひ世界陸上にも注目してみてくださいね!