箱根駅伝の出場資格
はじめに箱根駅伝についての基本的な話をしていく。箱根駅伝は正式名称を「東京箱根間往復大学駅伝競走」と言い、全国大会である「全日本大学駅伝」の予選として行われる関東地方の地区大会として開催される。そのため、関東地方にある大学しか出場できない。
その中から学校として箱根駅伝本選に出場できるのは、前年の大会で10位以内に入ってシード権を獲得した10校と予選会の記録が上位の10校、合わせて20校に参加資格が与えられます。
Photo by Pavel1964 / Shutterstock.com
お正月の風物詩として国民に愛される箱根駅伝。近年、この一大イベントに国立大学が出場していないことにお気付きだろうか。箱根駅伝と国立大学の関係について調べてみた。
はじめに箱根駅伝についての基本的な話をしていく。箱根駅伝は正式名称を「東京箱根間往復大学駅伝競走」と言い、全国大会である「全日本大学駅伝」の予選として行われる関東地方の地区大会として開催される。そのため、関東地方にある大学しか出場できない。
その中から学校として箱根駅伝本選に出場できるのは、前年の大会で10位以内に入ってシード権を獲得した10校と予選会の記録が上位の10校、合わせて20校に参加資格が与えられます。
ここまでの説明で勘のいい方はわかったかもしれないが、予選会の10位に入ることが国立大学には難しいくらいレベルが上がっていることが答えだ。毎年予選会には国立大学が参加して本戦出場を目指すが、10位以内は高い壁として立ちはだかっている。
本戦に最近出場した国立大学は筑波大学で、1994年の第70回大会までさかのぼる。これも70回大会を記念して枠を増やしたことによる特例としての出場だった。
2015年予選会の結果をピックアップしてみよう。予選会は20kmのコースを走り、10人の合計タイムで競う。49校の大学が参加したうち国公立大学は11校となっている。最も良い成績だったのが22位に入った筑波大学で、タイムは10時間36分58秒。予選会10位に入った上武大学からは24分54秒の差をつけられた。
これは単純に10人で割ると一人当たり2分半のタイム短縮をしなければいけない計算になる。現状でかなり厳しいことがわかる。
過去の成績をひもとくと、かつては国立大学も箱根駅伝本選に出場していた。1920年に開催された第1回箱根駅伝の優勝チームは先ほど挙げた筑波大学の前身である東京高等師範学校で、校名は変わっているが、第70回大会までに62回の出場を果たしている。これは全出場校の中でも9位に入る数字だ。
他にも横浜国立大学は第23回から32回大会まで10回連続出場を果たし、最高位8位という記録を残している。
過去の成績から徐々に状況が変わり、私立大学優勢の現状に至る。しかし、そんな現状を変えようという活動も少しずつ動き始めている。
その一つとして筑波大学では「筑波大学箱根駅伝復活プロジェクト」が2011年から始動。第1回の箱根駅伝の優勝校である筑波大学を再び箱根の舞台へ上げたいという人たちの強い思いで始まり、クラウドファンディングで強化費用を集めるなど少しずつ夢の実現に進んでいる。
私立大学全盛の時代に国立大学が予選会を勝ち上がるのは、ロマンチックな夢物語に見えるかもしれない。それでも、再び箱根駅伝を国立大学が疾走する日を待つファンは少なくないだろう。