歴代6位の勝利をあげる名将アンディ・リード
アンディ・リードがNFL史に残る名将の1人であることは論をまたないだろう。しかし史上「最高」の名将の1人と呼ぶためには、彼には欠けているものがある。そう、それがスーパーボウル制覇だ。
リードのレギュラーシーズン通算勝利数207勝は、NFL歴代6位の数字である。彼より上の数字を残しているヘッドコーチの中で、スーパーボウルを勝っていないのはジョージ・ハラスとカーリー・ランボーの2人だけ。どちらもスーパーボウルが始まる前の時代に活躍したコーチだ。
つまり、このレベルの勝ち星を上げているヘッドコーチの中で、実質リードだけがスーパーボウルを制覇していないということになる。
スーパーボウルで王者ペイトリオッツに惜敗
リードは1度だけスーパーボウル制覇に迫ったことがある。第39回スーパーボウルでフィラデルフィア・イーグルスを率い、ニューイングランド・ペイトリオッツと戦った時だ。
それは3年連続NFC決勝で敗退した後の、まさしく悲願のスーパーボウル進出だった。ところがこの時、チームで最初のピークを迎えていたペイトリオッツは名QBであるドノバン・マクナブを擁し、攻守共に隙がなかったイーグルスをもってしても勝利をあげることができなかった。
それ以来15年の時を経て、再びリードはスーパーボウル制覇に挑む。その対戦相手が、彼が初めてNFLでコーチ職を得たサンフランシスコ・49ersなのは、何かの因縁なのだろうか。
チーフス2度目のスーパーボウル制覇へ
リードは、彼自身の悲願だけのために戦うのではない。彼が率いるカンザスシティー・チーフスにとってもスーパーボウル制覇は積年の悲願だからだ。
チーフスは、スーパーボウルが始まった1970年前後に全盛期を迎えていた古豪。第1回スーパーボウルに出場し、その後スーパーボウル優勝トロフィーの名前にもなった、あの伝説的なビンス・ロンバルディー率いるグリーンベイ・パッカーズに敗れはしたが、第4回スーパーボウルに再び登場。そして、そこで初優勝を飾っている。
それ以来、なんと50年もの間チーフスはスーパーボウルに出場することすらできなかった。チーフスとそのファンは、再びこの舞台に立つことを本当に長い間夢見てきたのである。リード自身の悲願、そしてチームとファンの長きに亘る悲願。彼ら全ての思いと共に、チーフスは今週末夢のフィールドに立つ。