ヘッドコーチとして史上初の親子2代スーパーボウル制覇を目指して
サンフランシスコ・49ersのヘッドコーチ、カイル・シャナハンにとって、今回のスーパーボウルは単なるNFLの頂点への挑戦というだけではなく、それ以上の意味を持っている。
彼が背中を追い続ける父親は、名将として名を知られるマイク・シャナハン。ヘッドコーチとしては初となる「親子2代スーパーボウル制覇」という偉業がかかっているからだ。
サンフランシスコ・49ersのヘッドコーチ、カイル・シャナハンにとって、今回のスーパーボウルは単なるNFLの頂点への挑戦というだけではなく、それ以上の意味を持っている。
彼が背中を追い続ける父親は、名将として名を知られるマイク・シャナハン。ヘッドコーチとしては初となる「親子2代スーパーボウル制覇」という偉業がかかっているからだ。
カイルの父マイクは、ヘッドコーチとしてデンバー・ブロンコスを率い、2度もスーパーボウルで勝利している。通算の勝利数でも歴代13位に当たる178勝をあげた、NFL史に残る名将の1人だ。
息子のカイルは父親の背中を追い、大学卒業後すぐにフットボールコーチの道を志す。「子は親に似る」という言葉どおり、カイルはすぐに頭角を現し、弱冠29歳でヒューストン・テキサンズの攻撃コーディネーターの職に就くことになった。フットボールにおいて攻撃コーディネーターは攻撃の責任者であり、ヘッドコーチに次いで重要なポジションである。
そして2017年、カイルはついにNFLのヘッドコーチの職を得る。チームは49ers。父親のマイクが攻撃コーディネーターを務めたこともあるチームで、38歳で初のヘッドコーチ就任は父親より僅か2年遅いだけだった。
順風満帆なカイル・シャナハンのコーチ人生だったが、就任した49ersのチーム状態は最悪なものだった。彼が就任する前年、チームは僅か2勝。49ersより勝ち星が少ないチームは、1勝のクリーブランド・ブラウンズだけであった。
そんなチームの立て直しは、たとえ優秀なベテランコーチであったとしても簡単ではない。実際、シャナハンが就任した2017年は6勝、翌2018年も4勝と彼が率いる49ersは低迷を続けてしまう。
加えて彼には比較されてしまう存在がいた。父親のマイクではない。同じく2017年に同地区のライバル、ロサンゼルス・ラムズのヘッドコーチに就任したショーン・マクベイだ。彼は史上最年少、30歳という若さでNFLのヘッドコーチになった期待の新星。そして、長きに亘りカイル・シャナハンの右腕として一緒に戦ってきた愛弟子でもあった。
マクベイは就任1年目に11勝を上げ、プレーオフに進出。翌2018年には敗れたとはいえ、スーパーボウルにまで進出することとなる。そんな愛弟子の成功を、シャナハンはどのような思いで見ていたのだろうか。
だが、シャナハン率いる49ersはこのままで終わらなかった。今シーズンが開幕すると、本命といわれたマクベイ率いるラムズの勝ち星が伸び悩むのを尻目に、開幕から9連勝を果たしたのだ。
ラムズとの直接対決でも2連勝。地区優勝のみならずNFCトップの勝率を上げ、堂々第1シードとしてプレーオフに臨むことになり、プレーオフでもライバルたちを全く問題にせず、完勝でスーパーボウルまで辿り着く。
実は、ヘッドコーチとして親子2代のスーパーボウル「出場」も史上初のことであり、彼らは既に偉業を成し遂げているといっていい。しかしシャナハン親子の思いはそこにはない。見つめる先はスーパーボウル勝者に贈られる、あのビンスロンバルディー・トロフィーだけだ。