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【NFLチャンピオンシップ展望】スーパーボウルへの階段を上るのは果たしてどの2チームか

2020 1/18 11:00末吉琢磨
(左から)タイタンズのデリック・ヘンリー、チーフスのトラビス・ケルシー、パッカーズのアーロン・ロジャース、49ersのニック・ボーサ
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Ⓒゲッティイメージズ

シーズンのクライマックス NFC、AFCチャンピオンシップ

長かったNFL2019シーズンもついにここまで来た。両カンファレンスの最終戦、チャンピオンシップが今週末行われる。この結果でスーパーボウル出場チームが決まるという、まさに今シーズンのクライマックスだ。そんな2試合を彼らのプレーオフでの戦いを踏まえ、展望していこう。

テネシー・タイタンズ対カンザスシティ・チーフス

プレーオフの台風の目となっている第6シード、テネシー・タイタンズ。過去第6シードチームのスーパーボウル出場は両リーグ合わせて2回のみ。チーム増加に伴いプレーオフに第6シードが初めて設けられたのが1990シーズンで、それ以降のスーパーボウル出場チームは全58チーム。計算すると第6シードのスーパーボウル出場率は僅か3.4%である。

ただし両カンファレンスのチャンピオンシップまで第6シードが進出したことは過去5回あり、「チャンピオンシップまで進んだ第6シード」の勝ち上がり率は40%である。加えてスーパーボウルに進出した2チームのチャンピオンシップでの対戦相手は、どちらも第2シードだった。今回のカンザスシティ・チーフスも第2シードである。

ここまでのプレーオフでタイタンズがみせているラン攻撃は本当に凄まじい。初戦で対戦したニューイングランド・ペイトリオッツは、レギュラーシーズンのラン守備がNFL第6位で、1試合の平均喪失ヤードは95.5。先週対戦したボルチモア・レイブンズはラン守備第5位で、1試合の平均喪失ヤードは93.4。どちらもNFLトップクラスのラン守備を誇るチームだが、そのどちらもがランニングバック、デリック・ヘンリー1人に平均の2倍走られることになったのだ。この2試合でヘンリーは、NFL史上初めてプレーオフで2試合連続170ヤード以上を獲得した選手となっている。

一方のチーフスは先週の試合、あわやレイブンズの二の舞になるか、という試合展開だった。第4シードのヒューストン・テキサンズに、第1クオーターでなんと24点差をつけられてしまう。しかしここからがレイブンズとは違った。ゲームクロック僅か3分24秒の間に21得点をあげたのだ。それは文字通り怒涛の攻撃だった。

レイブンズとの違いはここで、パス攻撃主体のチームは時間をかけずに得点ができる。追いかける展開を苦にしないということだ。この点が同じ強力オフェンスといっても、レイブンズとは違う。ランによるボールポゼッションが肝となるタイタンズとはかみ合うはずだ。タイタンズのラン攻撃は止まらない。そしてチーフスのパス攻撃も止まらない。打ち合いは必至だ。

チーフスの不安は怪我人だ。攻撃の中心選手の1人、タイトエンド(TE)のトラビス・ケルシーは、先週の試合中にハムストリングを痛め、今週の出場は未定。ただし水曜日の練習には限定的だが参加している。先週の試合も出場できなかった守備のゲームメーカー、ディフェンスタックルのクリス・ジョーンズは練習不参加だった。

実は2年前のシーズン、チーフスはヘンリー率いるタイタンズとワイルドカードプレーオフで対戦し、負けている。場所も同じホームのアローヘッド・スタジアム。ヘンリーは156ヤードを走り、チーフスのラン守備を完膚なきまでに叩きのめした。パトリック・マホームズはルーキーで、控えのクオーターバック(QB)としてサイドラインからそれを見ていた。そのとき悔しい思いをした選手の多くが、まだチームには残っている。彼らにとってこの一戦は、タイタンズとヘンリーにリベンジを果たす格好の機会となる。

グリーンベイ・パッカーズ対サンフランシスコ・49ers

90年代後半にNFLを見ていたファンにとって、パッカーズと49ersの対戦は郷愁を誘うものに違いない。この2チームはブレット・ファーブとスティーブ・ヤングという2人のスターQBを擁し、激しいNFC覇権争いを繰り広げていた。しかしチャンピオンシップで対戦したのは1997シーズンの1度だけで、そのときはグリーンベイ・パッカーズが勝っている。

数字だけ見ればサンフランシスコ・49ersの優位は動かない。49ersはレギュラーシーズン攻撃4位、守備2位と隙のないチームだ。パッカーズは攻守共に平均以下の18位に過ぎない。しかしそのような数字でありながら彼らはなぜ49ersと同じ勝ち星をあげ、このチャンピオンシップまで勝ち進むことができたのか?

それはパッカーズがミスをしないことで勝利を手繰り寄せるチームだからである。守備でターンオーバーを奪った回数から、攻撃がターンオーバーを犯した回数を引いた数はターンオーバーレシオと呼ばれ、どれほどチームがミスを犯さずにチャンスを作っているかを表す数字だ。パッカーズはこの数値が+12でリーグ3位タイなのだ。また反則で罰退したヤード数がリーグで5番目に少ない。どちらの数字も49ersより優秀だ。そして、QBのアーロン・ロジャースはパスを投げた回数に対するインターセプトの割合が0.7回とリーグトップ。しかも断トツのトップだ。

49ersはそんなロジャースからミスを誘うべく、強力なディフェンスラインがプレッシャーをかけてくるだろう。その攻防は、この試合の勝敗の鍵を握ることになる。49ers唯一の懸念はオールプロTE、ジョージ・キトルの怪我。彼が試合に出場できるかどうかは現在不透明な状況だ。