ルーキー・オブ・ザ・イヤーの最有力候補は?
ドラフト選手が即戦力として扱われるNFLでは、今シーズンも多くのルーキー選手がデビューし、そして活躍を見せてきた。そんなルーキーの中で最も活躍した選手が、シーズン後にルーキー・オブ・ザ・イヤー、日本でいうところの新人王として表彰されることになる。今回はその最有力候補を紹介しよう。まずはオフェンスから。
ドラフト選手が即戦力として扱われるNFLでは、今シーズンも多くのルーキー選手がデビューし、そして活躍を見せてきた。そんなルーキーの中で最も活躍した選手が、シーズン後にルーキー・オブ・ザ・イヤー、日本でいうところの新人王として表彰されることになる。今回はその最有力候補を紹介しよう。まずはオフェンスから。
フットボールアナリストとしてテレビなどで有名だったマイク・メイヨックが、オークランド・レイダースのジェネラルマネージャーに転身し、初めて臨んだ今年のドラフト。その彼が選んだ3人の1巡指名選手の内の1人が、このジョシュ・ジェイコブスだ。
大学最強チーム、アラバマ大学のランニングバック(RB)として活躍したジェイコブスは、2019年のドラフトにおいて最高のRBの1人と評価を受けていた選手である。しかしこれほどまでの活躍を予想した人は、いったいどれほどいただろうか。なぜなら、アラバマ大学は複数のRBを使い分けていたため、大学時代にジェイコブスが残した記録自体は特筆すべきものではなかったからである。
身長177.8cm、体重99.8㎏は、NFLのRBとしてはやや小柄のサイズと言っていい。昨年のオフェンス・ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したニューヨーク・ジャイアンツのRB、セイクワン・バークリーの身長182.9㎝、105.7㎏と比較すると、スケール感では見劣りしてしまう。しかしルーキー年における第15週終了時までの成績の比較では、ジェイコブスは決してバークリーにも見劣りはしない。
バークリーがラン獲得1,155ヤード、平均5.2ヤードだったのに対し、ジェイコブスは1,150ヤード、平均4.8ヤード。パス獲得ヤードではバークリーの654ヤードに対し、ジェイコブスは166ヤードと大きな差がついてしまっているが、これはチーム戦術による部分も大きい。ランを行った回数が、バークリー223回に対し、ジェイコブスは242回と上回っている点を考えると、チームのラン攻撃における貢献度は互角とみていい。それだけのキャリーをこなしたタフネスと、足を止めないランニングスタイル。そして、細やかなカットを武器とするランナーにありがちなファンブルが、これまでわずか1回と少ないのも魅力だ。
開幕前にNFLデータサイトPFFによって行われた評価で、全32チーム中26番目の評価しかもらえなかったレイダースのオフェンスラインの下で、ジェイコブスはこれだけのランを記録したことも付け加えておく。前年25位だったレイダースのランオフェンスを今年12位にまで引き上げた原動力は、まさしく彼だ。
次にディフェンス。現在NFL第2位の強力ディフェンスをひっさげ、NFCの最高勝率チームとして君臨するサンフランシスコ・49ers。その破壊的なディフェンスラインの一角を担うのがディフェンスエンド(DE)のニック・ボーサだ。
今年のドラフトにおいて、ナンバー1のDEとして評価を受けていたボーサは、既にNFLで確固たる地位を築いている兄のプロボウルDE、ジョーイ・ボーサをも上回るスピードを誇る。ドラフト1巡、全体でも2番目の指名を受けて49ersに入団したボーサは、現在までに9.0サックを上げていて、ルーキーとしてはジャクソンビル・ジャガーズのDE、ジョシュ・アレンの10.0サックに次ぐ数字を記録している。
彼のチームへの貢献度を表す数字は他にもある。それはロスタックルの多さだ。スクリメージラインを越えてキャリアーを止めたことを意味するこのロスタックルは、サックやインターセプトと並ぶディフェンスのビッグプレーの一つだ。その回数が既に15回を記録しているというのはルーキーとしては特筆すべき数字で、NFLを代表するDE、あのJJ・ワットですらルーキー年のロスタックルは13回に過ぎなかった。
オハイオ州立大学では入学1年目から試合に出場し、3年目終了時にNFL入りしたボーサは、まだ22歳になったばかりだ。だが今後の49ersを担う選手として、そしてNFLを代表するディフェンダーとしての道を、彼は既に歩み始めている。