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複雑なルールも分かれば面白い⑥ アメリカンフットボールのポジションは役割分担が明確

2018 9/16 13:00SPAIA編集部
アメリカンフットボール,アメフト
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スター選手の宝庫 攻撃の花形ポジション

攻撃をつかさどるのは、これまで何度も紹介してきたクオーターバック(QB)である。攻撃の組み立てを行い、パスを投げ、時には自分も走る。チームの攻撃はQBにかかっていると言っても過言ではなく、QBの能力がチームの浮沈のカギを握る。QBはアメフトの中で最も花形のポジションで、これまでも多くのスター選手が生まれた。「モンタナ・マジック」で知られ、1980~90年代に活躍したジョー・モンタナが日本でも有名だろう。少し前ならペイトン・マニング、現在ならトム・ブレイディが、NFL最高のQBとして知られる。

通常はQBの後ろにいて、QBからボールを受けて走るのはランニングバック(RB)。RBは時にパスを取ることもある。そしてパスを受けるのはワイドレシーバー(WR)。スピードがあるだけではなく、守備に競り勝ってパスをキャッチするため、背の高い選手が多い。QB同様、得点に絡むRB、WRも花形ポジションで、スター選手が生まれやすい。

縁の下の力持ち達

一方で、攻撃側にはルール上、ボールを扱うことを許されない選手がいる。オフェンスライン(OL)と呼ばれ、スクリメージライン上に並ぶ。パスを投げるQBを、体を張って守備陣から守ったり、敵の選手をブロックしてRBの走路をつくり出したりする。いわば縁の下の力持ちだ。このOLが弱いと、どんなに能力が高いQBやRBがいても、前に進むことができない。

OLも細かくポジションが分かれる。中央に陣取り、ボールをスナップしてQBに渡すのがセンター(C)で、OLの中でも大きな選手が多い。そのCの両脇に位置する2人の選手がガード(G)と呼ばれる。Gは俊敏な動きで相手守備陣をブロックし、OLの中ではスピードのある選手が務める。Gの外側に位置する2人の選手がタックル(T)。こちらは体の大きさをいかして、相手をブロックするのが役目だ。

パスも受けるが、OLのようにブロックを求められるポジションもある。WRとOLの両方をこなすようなこのポジションは、タイトエンド(TE)と呼ばれる。ブロックするための体の大きさ、パスをキャッチする器用さが求められるため、能力の高さが必要だ。このTEは日本ではそこまで目立たないが、米国では花形ポジションの一つでもある。

身体能力が高い選手は守備にいる

アメフトの特徴は、守備からでも得点できることだというのは、これまでも説明してきた。一気に流れを変えるビッグプレーができることから、守備側も人気が高く、身体能力に優れた選手が多い。

攻撃側のOLに対峙する形で並ぶのがディフェンスライン(DL)。相手Cに向かい合うのがノーズガード(NG)で、中央の攻撃を防ぐのが役目だが、DLの数は自由に変えられるので、NGがいないフォーメンションもある。NGの両脇にいるのがディフェンスタックル(DT)。大きな体を使って、OLごと押し込むような破壊力のある守備をみせる。DTの外側にいるのがディフェンスエンド(DE)。DEはスピードをいかして、OLの外側からQBやRBをつぶしにいき、米国では190センチ、100キロを超えるような選手がいる。日本では考えられないようなサイズの選手が、猛烈なスピードで相手に飛びかかるのは圧巻である。

DLの後ろに2~4人ほどいるのが、ラインバッカー(LB)。相手の短いパス、ランのと両方のプレーに対応する能力が求められ、守備の司令塔的役割をこなす。

主に相手のパス攻撃に備えるのがディフェンスバック(DB)と呼ばれる選手たちだ。通常は4人だが、相手の攻撃に対応するため5人以上になるときもある。DBもさらに細かいポジションに分かれる。相手WRと向かい合い、パスを防ぐのがコーナーバック(CB)で通常は2人いる。最後尾にいるのがフリーセイフティ(FS)で守備陣の最後の砦になる。セイフティはもう1人いて、TEがいるサイドに配置されるのがストロングセイフティ(SF)。LB的な役割をこなすことも多く、FSよりも体が大きく、強いタックルができる選手が務める。

キックをするときはさらにポジションが増える

以前にも紹介したが、フィールドゴールを蹴るときにはキッカー(K)、パントを蹴るときにはパンター(P)という選手も現れる。何しろ、ポジションが多いのがアメフトの特徴。それだけに、緻密な戦略が求められるのが、アメフトというスポーツである。(続く)