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複雑なルールも分かれば面白い② アメリカンフットボールは守備でも得点ができる

2018 7/1 15:00SPAIA編集部
アメフト,イメージ,ⒸShutterstock.com
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Photo by Eugene Onischenko/Shutterstock.com


複雑難解なアメリカンフットボールのルール。1回目では、アメフトは攻撃陣、守備陣とも11人ずつで戦い、4回の攻撃の間に10ヤードを進んで攻撃権を更新していくスポーツだと説明した。2回目となる今回は、試合の始まり方、得点の方法を中心に説明していきたい。

始まりはキックオフから

最初にコイントスで攻撃権を決め、キックオフから試合が始まることは前回も説明した。

アメフトのフィールドは縦に100ヤードある。中央の50ヤード地点を中心に、攻め込む方にある陣地が敵陣、守る側にある陣地が自陣となる。

キックオフは、守備側が自陣35ヤード地点から行う。キックをする選手をキッカーと呼ぶが、NFLでも日本でもキッカーはほとんどがキック専門の選手だ。アメフトは体と体が激しくぶつかり合うスポーツだが、このキッカーだけは異質。接触プレーはほとんどなく、キックが行われるプレーだけに集中する。

キックされたボールをキャッチし、前進する選手をリターナーと呼ぶ。リターナー以外の攻撃側の選手は、リターナーができるだけ前に進めるように守備側の選手をブロックし、進路をつくる。ラグビーだとボールを持たない選手へブロックするような行為は反則だが、アメフトでは可能だ。リターナーが相手のタックルなどで倒れたり、横にあるサイドラインに出たりすると、プレーが止まり、そこから攻撃陣の最初の攻撃、つまりはファーストダウンが始まる。

キッカーは相手の最初の攻撃をできるだけ後ろにするため、深く蹴ればいいのだが、あまり深く蹴っても意味が無い。相手側のゴールライン(敵陣の0ヤードにあるライン)を超えると、タッチバックになり、攻撃側は自陣の20ヤード地点から攻撃を始めることになる。ゴールラインを超えないように、いかに深く蹴るかがキッカーの力の見せどころである。

ボールを保持したリターナーがそのまま駆け上がり、相手のゴールラインを超えればタッチダウン(TD)となり、6点を獲得できる。これをキックオフリターン・タッチダウンと呼ぶ。

野球と違って守備側も得点可能

ボールを持った選手が、ゴールラインとそのさらに10ヤード奥にあるエンドラインとの間にある「エンドゾーン」に入ればTDとなり、6点を獲得することができる。

TDを奪うと、さらに1回攻撃権を与えられる。これを、トライ・フォー・ポイント、もしくはポイント・アフター・タッチダウンと呼ばれる。この攻撃には2種類あり、敵のゴールライン前2ヤード地点から通常のTDを奪う形と、キックで高さ10フィート(3メートル)より上にある、幅18.5ヤード(5.6メートル)のゴールを狙う形がある。

キックを決めれば1点だが、TDの形だと2点入る。ただ、リスクを考えると通常はキックで1点を狙っていく。2点を狙うのは試合の終盤のここぞという時だけである。

攻撃側が得点するのはTD以外にも、フィールドゴール(FG)がある。4回の攻撃で10ヤード進めない、つまりは、フォースダウンの攻撃でファーストダウンが奪えなさそうな状況で、かつ、キックで先述のゴールの枠を狙えそうな距離にあれば、キックでゴールを狙う。これがFGで、決まれば3点になる。失敗すれば、キック地点から相手の攻撃に変わる。

通常、FGは35ヤードより短ければ、ほぼ成功すると言われている。つまりは35ヤードより長いと難しくなってくる。それでも時には50ヤードのFGが決まるときがある。

FGの距離と書いたが、この距離の算出は少しだけ難しい。単純に、ボールが置かれたスクリメージラインからゴールラインまでの距離=FGの距離とはならない。実際は、ボールが置かれたスクリメージラインからゴールラインまでの距離に17ヤードを足したものになる。これはゴールがゴールラインの10ヤード奥にあることと、スクリメージラインにいるセンターというポジションの選手からボールがスナップ(後ろに投げるような形)され、キッカーはスクリメージラインから7ヤード後ろから蹴ることになるためである。

アメフトは攻撃と守備が分かれていることから、野球と比較される。だが、大きな違いとして、アメフトは守備側が得点することもできる。

方法としては2つあり、まず1つ目としては、攻撃陣からボールを奪い、そのままTDしてしまうパターン。どうやってボールを奪うのかというと、タックルなどで相手が持っているボールをはじき出すやり方がある。攻撃陣がボールを落としてしまうことをファンブルという。時には攻撃陣が勝手にファンブルすることもある。また、攻撃側が投げたパスを空中で奪うインターセプトをし、そのままTDしてしまうパターンもある。

もう1つの守備側が得点する方法は、相手の攻撃を押し込み、ボールを持っている攻撃側の選手を攻撃側のエンドゾーンでダウンさせる(相手のエンドゾーン内で倒してしまう)パターンだ。これをセーフティーと呼び、守備をしていた側に2点入る。通常、TDやFGで得点すると攻撃権は相手側に移るのだが、このセーフティーで得点した場合は、攻撃権はもともと守備をしていた側に移ることになる。そのため、得点した上に、また攻撃ができるということになる。

1試合のうち、守備側が得点することはそんなに多くはない。だからこそ、ディフェンスの得点は試合の流れを大きく左右するものになる。(続く)