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複雑なルールも分かれば面白い① アメリカンフットボールは「4アウト」までOK

2018 6/24 13:00SPAIA編集部
アメフト,ⒸShutterstock
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野球の「3アウト」同様、「ダウン」4つで攻撃と守備が入れ替わる

日本大学の悪質タックル問題で、図らずも注目を集める結果になったアメリカンフットボール。複雑で難解なルールが、日本で人気のない理由の1つとされている。 選手も自分のポジションに関わらないルールはわかっていないことがある、と言われるほどだ。しかし、ルールがわかれば、これほど緻密なスポーツはないというのがよくわかり、その面白さにはまるものだ。簡単にそのルールを説明しよう。

30年ぐらい前だと、日本でのアメフトのテレビ中継と言えば、大学日本一を決める「甲子園ボウル」、社会人日本一と大学日本一が争う「ライスボウル」と、米国の大学のボウルゲームぐらいしか、田舎では見られなかった。

関西に行けば大学アメフトの人気が高く、テレビ中継があった。また、衛星放送ができてからは、米国のプロであるNFLの中継を見られるようになったが、それまでは試合に触れることが少なく、ルールを覚える機会が少なかった。そんな中、筆者が最初にアメフトのルールを学ぶ機会になったのはファミコンのゲームだった。「10ヤードファイト」というアメフトのゲームだった。

10ヤードとは約9.14メートル。アメフトとは、ゲームのタイトル通り、この10ヤードを巡る争いである。

アメフトは野球のように守備と攻撃がきっちりと分かれている。攻撃権があるときは攻撃だけをやり、攻撃権がなくなると、守備にまわることになる。

NFLの試合時間は1クオーター15分で、第4クオーターまで60分。試合中はプレーごとに時計を止められるので実際には3時間以上かかる試合も多い。日本では甲子園ボウルやライスボウルの試合時間はNFLと同じだが、そのほかの試合では1クオーター12分で行われる。

最初の攻撃権はコイントスで決まり、キックオフ。キックを受けた攻撃側がボールを持って進む。ボール保持者が守備側のタックルなどで倒されるか、サイドラインに押し出されるとプレーが止まり、その地点から攻撃を開始。もしくはパスが失敗すれば、元の位置から攻撃を再開する。この1つひとつの攻撃を「ダウン」と呼ぶ。攻撃側が4回の攻撃で10ヤード進めば「ファーストダウン」を獲得したことになり、新たに4回の攻撃権を得られる。

最初の攻撃がファーストダウン、2回目がセカンドダウン、3回目がサードダウン、4回目がフォースダウン。4回のダウンのうちに10ヤード進めば、次はファーストダウンに戻る。 ダウン(攻撃)を繰り返しながらエンドゾーンを目指し、タッチダウン(T D)の6点、もしくはキックがゴールポスト枠内を通過するフィールドゴール(FG)での3点を狙っていく。

この4ダウン制が、3アウトで攻撃権が変わる野球とよく比較される。アメフトは野球に例えれば4アウト制。アウトが4つになると、攻撃と守備が入れ替わるのだ。

前進するためにはランかパス

プレーヤーの数は攻撃側、守備側とも11人ずつ。ただ、選手の交代はプレーごとに何人でもでき、一度プレーから外れても戻ってくることが可能。攻撃と守備では選手がすべて入れ替わり、キックする時の選手も入れ替わる。だから、試合を見ると1チーム50人ぐらいの選手がサイドラインに並んでいる(日本の大学の試合だと100人ぐらい並んでいる時もある)。アメフトは大人数で戦うスポーツなのだ。

さて、アメフトは10ヤードを巡る戦いであると説明したが、ではどうやって10ヤード進むのか。簡単に言えば、ランプレーかパスプレーになる。

攻撃が始まるところにボールが置かれ、その場所を「スクリメージライン」と呼ぶ。スクリメージラインで最初にボールを持っているのが、オフェンスラインのセンターと呼ばれるポジションの選手。攻撃をつかさどるクオーターバック(QB)の合図に合わせて、ボールがセンターからQBに渡され、QBがボールを展開する。

ランプレーの場合、一般的にQBの後ろにいて走ることに優れたランニングバック(RB)というポジションの選手にボールを渡す。RBがボールを保持しながら走り、守備側をかわしながら前へと進んでいく。

パスプレーの場合、パスを受けるためにスクリメージラインの前に走っていったワイドレシーバー(WR)やタイトエンド(TE)など、ボールを持つことができる選手にQBがパスを投げる。アメフトでは1つの攻撃で前へのパスは1度しかできず、スクリメージラインを超えて投げてはいけない。その一方で、ラグビーのように後ろへのパスは何度でもできる(ただし、ボールを落とす可能性があるので、普通は何度も後ろにはパスしない)。また、パスは1回の攻撃で数ヤードしか進まないが、1回のパスでファーストダウンを取ることもできるが守備側にキャッチされてしまうと、その時点で攻撃権が移ってしまう。
相手にパスを奪われることをインターセプトと呼ぶ。

パスは一気に前に進む可能性もあるが、相手に攻撃権を奪われる可能性も高くなる。それだけリスクを背負うプレーでもあるのだ。(続く)