野球の「3アウト」同様、「ダウン」4つで攻撃と守備が入れ替わる
日本大学の悪質タックル問題で、図らずも注目を集める結果になったアメリカンフットボール。複雑で難解なルールが、日本で人気のない理由の1つとされている。
選手も自分のポジションに関わらないルールはわかっていないことがある、と言われるほどだ。しかし、ルールがわかれば、これほど緻密なスポーツはないというのがよくわかり、その面白さにはまるものだ。簡単にそのルールを説明しよう。
30年ぐらい前だと、日本でのアメフトのテレビ中継と言えば、大学日本一を決める「甲子園ボウル」、社会人日本一と大学日本一が争う「ライスボウル」と、米国の大学のボウルゲームぐらいしか、田舎では見られなかった。
関西に行けば大学アメフトの人気が高く、テレビ中継があった。また、衛星放送ができてからは、米国のプロであるNFLの中継を見られるようになったが、それまでは試合に触れることが少なく、ルールを覚える機会が少なかった。そんな中、筆者が最初にアメフトのルールを学ぶ機会になったのはファミコンのゲームだった。「10ヤードファイト」というアメフトのゲームだった。
10ヤードとは約9.14メートル。アメフトとは、ゲームのタイトル通り、この10ヤードを巡る争いである。
アメフトは野球のように守備と攻撃がきっちりと分かれている。攻撃権があるときは攻撃だけをやり、攻撃権がなくなると、守備にまわることになる。
NFLの試合時間は1クオーター15分で、第4クオーターまで60分。試合中はプレーごとに時計を止められるので実際には3時間以上かかる試合も多い。日本では甲子園ボウルやライスボウルの試合時間はNFLと同じだが、そのほかの試合では1クオーター12分で行われる。
最初の攻撃権はコイントスで決まり、キックオフ。キックを受けた攻撃側がボールを持って進む。ボール保持者が守備側のタックルなどで倒されるか、サイドラインに押し出されるとプレーが止まり、その地点から攻撃を開始。もしくはパスが失敗すれば、元の位置から攻撃を再開する。この1つひとつの攻撃を「ダウン」と呼ぶ。攻撃側が4回の攻撃で10ヤード進めば「ファーストダウン」を獲得したことになり、新たに4回の攻撃権を得られる。
最初の攻撃がファーストダウン、2回目がセカンドダウン、3回目がサードダウン、4回目がフォースダウン。4回のダウンのうちに10ヤード進めば、次はファーストダウンに戻る。
ダウン(攻撃)を繰り返しながらエンドゾーンを目指し、タッチダウン(T D)の6点、もしくはキックがゴールポスト枠内を通過するフィールドゴール(FG)での3点を狙っていく。
この4ダウン制が、3アウトで攻撃権が変わる野球とよく比較される。アメフトは野球に例えれば4アウト制。アウトが4つになると、攻撃と守備が入れ替わるのだ。