柔道での勝敗の決し方
柔道の試合をテレビなどで見ている時、選手が相手選手を投げ、すぐに終了する時と、開始線まで下がり再開される試合がある。すぐに試合が終了する時は投げた選手が「一本」を取った時だ。
柔道では開始何秒であろうが「一本」を取ったら終了する。反対に「一本」を取らなければ、どれだけポイントを取っても試合は終わらない。ポイントでリードしていた選手が試合時間残り数秒で逆転「一本」を取られ敗れる。そんな場面は柔道では日常的におこる。
最後の最後まで気が抜けない厳しい戦いが、日夜繰り広げられている。
柔道の一本とは(立ち技編)
見事に技が決まり、審判の手が真上に上がる「一本」。審判も「一本」と大声で判定を下すので「一本」勝ちは見ている方も分かりやすい。
また「一本」まではいかなくても、良い技にはポイントがつく。
ポイントは以下の通りだ。
・一本→ 強く、速く、完全に制しており、なおかつ相手の背が畳についた(4条件が完全に揃った場合)
・技あり→ 一本までの完璧な技ではない(4条件のうち1つがかけている)
・有効→ 技をかけたが綺麗ではない。それでも相手に有効的である技だった(4条件のうち2つがかける)
・指導→ 積極的に戦わなかった場合、反則手前の指導が言い渡される
この中で「一本」になるのは、「一本」と「技あり」を二回取った場合である。「技あり」は二回取ると「合わせ技一本」となり「一本勝ち」になる。「有効」はポイントとしてはつくがいくつ取っても「一本」にはならない。
柔道の一本とは(寝技・その他)
寝技にも一本勝ちや技あり、有効がある。寝技は相手の背中、両肩、または片方の肩を畳につけて、そのまま抑え続ける。その抑えていた時間によってポイントが変わる。
・有効 10秒
・技あり 15秒
・一本 20秒
・参った 関節技などが決まり、相手がギブアップした時は「一本」
また「一本」ではないが、勝敗が決する場合がある。それは相手の「反則負け」だ。「指導」が4回つくと反則負けとなり、相手に「一本」を与えることになる。
指導対象は様々あるが、国際試合などで多いのは「積極性」がないことだ。ポイント勝ちをしている選手が試合終了時まで、なんとか逃げ切ろうと技をかけた振りをしたり、相手が組んで来ても解いたりを繰り返す。このような行為には即座に「指導」が入る。
※国際ルールの場合(講道館ルールや少年柔道では禁止事項が変わる)
2017年から変更されたルール
柔道のルールを説明してきたが、このルールが2017年1月から変更された。今まで国際化のために幾度も変更を繰り返してきた柔道のルールだが、さらなる大きな変更がもたらされることとなった。
新ルール
・有効の廃止 「一本」「技あり」のみとなる
・合わせ技一本の廃止
・指導4回反則負けが指導3回で反則負け
・抑え込み10秒で技あり。一本は従来とおり20秒(有効はない)
・試合時間が男女とも4分間(今までは男子5分)
・「技あり」が同数の場合は延長戦(今までは指導の数が少ない方が勝ち)で指導の数に差がついた時点で勝敗を決する
この新ルールは日本を勝ちへ導けるのか
初心者が観戦しても分かりやすい柔道、一本を取る柔道を目指し改正されたルールだが、まだ本採用ではなくお試し期間とされている。この新ルールが採用された大きな試合と言えば2017年世界柔道選手権だろう。
新ルールに対応できるのか心配された日本選手団だったが、結果は男子が金4個、女子が金3、銀4、銅1、と上々の結果をもたらしてくれた。
本来、日本柔道は「一本」を取る柔道を目指しており、有効の廃止や合わせ技一本の影響は少なかった。また男子の試合時間短縮はスタミナに余裕を持つことができたといえる。余裕があれば綺麗な技を決めることが出来るのが日本の柔道だ。
このルールが東京オリンピックに採用されるのかは未定だが、日本にとって不利ではない改正だといえるだろう。
目指せ一本の柔道を、ぜひ東京オリンピックでも見たいものである。
【追記】2017年11月 再度ルールの変更があった。
・合わせ技一本の復活
・技によるポイントか指導三つによる反則負けでのみ勝敗を決する