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ヤクルトとオリックスでプレーした近藤一樹、日本シリーズで激突する古巣への思い

近藤一樹投手兼任コーチ,香川オリーブガイナーズ球団株式会社提供
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香川オリーブガイナーズ球団株式会社提供

現在は香川オリーブガイナーズの投手兼任コーチ

熱戦の続く日本シリーズを特別な思いで見ている選手がいる。2005年から11年半オリックスで、2016年7月から昨年まで4年半ヤクルトでプレーした、現四国アイランドリーグ・香川オリーブガイナーズの近藤一樹投手兼任コーチだ。

ともに2年連続最下位からリーグ優勝したチーム同士の注目のシリーズは、近藤にとっては古巣同士の対決でもある。SPAIAの単独取材に応じ「どちらのチームにも一緒にプレーした選手もいるし、頑張ってほしい」と日焼けした顔をほころばせた。

日大三高の甲子園優勝投手として2001年ドラフト7位で近鉄に入団し、2004年にプロ初勝利をマーク。球団合併に伴う分配ドラフトでオリックスに移籍すると、着実に力をつけて2008年にプロキャリア唯一の2桁となる10勝を挙げた。

思い出深い清原和博の引退試合

思い出深いのは同年10月1日のレギュラーシーズン最終戦。清原和博の引退試合として行われたソフトバンク戦に先発した。9回5安打1失点で完投勝利を収め、10勝に乗せた。

「勝てば2桁勝利というプレッシャーと清原さんの引退試合を壊してはいけないというプレッシャーがありました。大事な1試合で勝ててCS初戦にも選んでもらった」と振り返る。

シーズン2位だったオリックスはクライマックスシリーズのファーストステージで日本ハムと対戦。10月11日の初戦で近藤は先発マウンドに立った。しかし、5.1回4失点で降板し、チームは敗れた。勝ち投手は9回完投したダルビッシュ有だった。

第2戦も敗れ、連敗でCS敗退。「あの年は初めて一軍のローテーションで1年やりましたが、未熟さ、若さ、経験不足が出て負けたCS初戦のことはよく覚えてます」と思い出のひとつに挙げた。

また、4度の右肘手術を乗り越えた復活勝利も鮮明な記憶として残っている。2015年7月12日の楽天戦、暑い夏場のデーゲームだった。前年オフに育成契約となり、この年の開幕後に支配下に復帰したものの3年間も勝利から見放されていた。

「勝ち方を忘れていたというか、悪いイメージをしてました。今日ダメだったらもうダメかなみたいな」

プロ野球人生の終わりさえ覚悟していた背水の先発マウンドで近藤は躍動する。「暑かったのにゾーンに入ったかのように汗もかかなかった。いつもギトギト汗が出るのに、あの日はスイスイ投げられて、勝てるかもしれないと思いました。不思議な1日でした」

6回3失点で、実に1411日ぶりの勝利。この白星をきっかけに近藤の野球人生は再び上昇曲線を描き始める。

フォークを習得してタイトル獲得したヤクルト時代

2016年7月に八木亮祐との交換トレードでヤクルトに移籍。オリックスでは先発として活躍してきた近藤が中継ぎとして自信を深めた一戦が、2017年5月11日の広島戦だった。

先発の石川雅規が6回1死一、二塁のピンチで降板。2番手として登板し、打席には2014年の本塁打王エルドレッドが立っていた。腕が縮こまってもおかしくない場面だが、初球から内角高めのストレートを連投。結局、エルドレッドは空振り三振で2死、続く新井貴浩もセンターフライに打ち取ってピンチを切り抜けた。

「打者の近いところに投げるのは恐怖心がありますが、自分でもよく内角に投げ切れたと思います。その後、勝ちパターンに入るための評価につながったと思います」。中継ぎとして首脳陣の信頼を得た近藤は、同年54試合に登板して2勝4敗1セーブ14ホールドの成績を残す。

さらに高みを目指してオフにフォークを習得。2018年の開幕2戦目も忘れられない思い出だ。

3月31日のDeNA戦、先発・石川雅規が降板した7回に2番手として登板。2点差に追い上げられたピンチで桑原将志に対して初球からフォークを投げた。結果的に内野フライに打ち取り、同年初ホールドを挙げた。

「公式戦でフォークを使うのは初めてでしたが、あれで自信になりました。思い出の1試合ですね」。同年はリーグ最多の74試合に登板して7勝4敗2セーブ35ホールドをマーク。最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した。

指導者として活きる石川雅規からの学び

現在は夫人と小学校6年の長男、小学校2年の長女を残して香川で単身赴任生活。投手兼任コーチとして若手の指導にもやりがいを感じている。

指導する上で19年間にわたるNPBでの経験は大いに役立っている。先発も中継ぎも経験し、ケガの怖さも痛感してきた。特に通算177勝をマークしているヤクルト・石川雅規から学んだことは多い。

「体は小さくても全身を使ってパフォーマンスを出しているのは本当に参考になります。体のパーツの使い方とか、どこを刺激したらパフォーマンスが上がるかとか、ずっと話してきました。それに石川さんは1日の使い方が上手。練習が始まる2時間くらい前に来て準備するとか、いろいろと教わりました」

身長167センチながら41歳で現役を続けるレジェンド左腕とは現在も連絡を取り合っており、学んだことは惜しみなく香川の選手たちに伝承している。

また、オリックスの左腕・山﨑福也は日大三高の後輩でもあり、連絡を取り合う仲だ。もしかしたら今シリーズで石川と山﨑が投げ合う可能性もある。「あるかも知れないですね。でも、対戦するのはバッターなので、お互いに最少失点で粘って、納得いく投球ができればいいです」とそれぞれのベストパフォーマンスを期待した。

最後に、いずれ指導者としてNPBに復帰したいか尋ねると「そうですね。評価をしていただけるなら挑戦してみたいです」という答えが返ってきた。その時はオリックスか、ヤクルトか、はたまた第3の球団か。いずれにしても、指導者に必要な多くの経験が、近藤にはある。

近藤一樹(こんどう・かずき)1983年7月8日、神奈川県相模原市出身。日大三高3年時に夏の甲子園で優勝し、2001年ドラフト7位で近鉄入団。オリックス、ヤクルトとわたり歩き、通算347試合登板で43勝57敗4セーブ71ホールド。今年から香川オリーブガイナーズの投手兼任コーチを務める。身長183センチ、体重80キロ。右投右打。

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