楽天・藤平尚真が1434日ぶり勝利
楽天の藤平尚真投手(23)が8月21日のロッテ戦(楽天生命パーク)で1434日ぶりの勝利を挙げた。5.1回1安打無失点の好投で、2018年9月17日のロッテ戦以来見放されていた勝利の女神を振り向かせた右腕。プロ8勝目は、意外にもホーム初白星でもあった。
藤平は2016年ドラフト1位の6年目。横浜高時代は作新学院・今井達也(現西武)、履正社・寺島成輝(現ヤクルト)、花咲徳栄・高橋昂也(現広島)とともに「高校BIG4」と呼ばれた。2016年夏の甲子園では2回戦で横浜と履正社が激突。藤平は先発せず2回途中から登板したが履正社打線を抑えきれず、5-1で寺島に軍配が上がった。しかし、その履正社も続く3回戦で常総学院に敗退した。
一方、花咲徳栄と作新学院は3回戦で対戦。高橋昂也は4回から登板したが、序盤に5点を奪った作新学院が6-2で勝利を収めた。勢いに乗った作新はその後も勝ち上がり、決勝で北海を下して54年ぶりの全国制覇。計616球を投げたエース今井達也はネット裏のスカウト陣の評価を高めた。
秋のドラフト会議では、創価大・田中正義に5球団競合。外れ1位でも桜美林大・佐々木千隼に5球団競合したが、今井は西武、寺島はヤクルト、藤平は楽天が単独1位指名し、高橋は広島から2位指名を受けた。
甲子園を沸かせた4人はプロでどのような実績を残しているだろうか。改めて振り返ってみたい。
西武・今井達也は通算26勝
2016年ドラフト組は入団6年目。高卒なら今年24歳になる。ここまでの数字だけで見れば、「BIG4」で最も実績を残しているのは今井だろう。2年目の2016年に5勝を挙げると、2019年に7勝、2021年には自己最多の8勝をマークした。今季もここまで3勝を挙げており、プロ通算89試合登板で26勝27敗、防御率4.17。ストレートは平均で150キロを超えており、制球を磨けばもっと勝てるはずだ。
今井に比べると、他の3人はやや苦しんでいる印象を受ける。藤平はルーキーイヤーから3勝を挙げ、2年目も4勝したが、それ以降は全く勝てなくなり、2021年は一軍登板なし。二軍でも未勝利に終わった。「19」だった背番号も「46」に変更して臨んだ2022年。ようやくつかんだ復活の1勝だった。
寺島は3年目までは1軍では計5試合に登板したのみで、二軍で経験を積んだ。2020年7月7日の中日戦で6番手として登板しプロ初勝利。30試合登板で1勝3ホールド、防御率2.48の成績を残したが、2021年はまたしても1試合登板に終わった。今季はいまだ一軍登板はない。そろそろ目立った成果をが欲しいだろう。
高橋は2018年6月28日の巨人戦で6回2失点の好投でプロ初勝利を挙げたが、2019年2月に左肘を手術。シーズンをリハビリに費やし、2020年9月に実戦復帰した。2021年は15試合登板で5勝をマークしたが、今季は一軍登板なし。プロ通算6勝を挙げている。
ほかには広島新庄・堀瑞輝が日本ハム1位で入団して中継ぎとして活躍しており、206試合登板で12勝13敗8セーブ69ホールド。 高卒以外でも明治大・柳裕也(現中日)、東京ガス・山岡泰輔(現オリックス)、神奈川大・濵口遥大(現DeNA)、中京学院大・吉川尚輝(現巨人)、白鴎大・大山悠輔(現阪神)らが1位指名でプロ入りし、活躍している。
「高校BIG4」の4人は、高校時代の騒がれ方からするとプロではあまり目立っていない。藤平の復活勝利を機に4人が刺激し合い、さらなる成長が期待される。
※成績は2022年8月22日現在
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