「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【関屋記念】逃げ馬・4歳馬が連対率30%超え 追い比べを制するのはどの馬か?

2019 8/9 11:00門田光生
本命に推されたサラキアⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ディープインパクト死す

ディープインパクト追悼競走と銘打たれた小倉記念は、メールドグラースがトップハンデをものともせず差し切り勝ち。2着にディープインパクト産駒のカデナが突っ込んできた。ディープインパクトが現役で走っていたのは競馬新聞社に入社して数年が経った頃。ことあるごとに逆らい続けたが、その度にコテンパンにされた。今となってはいい思い出である。

今年で54回目を迎える関屋記念だが、同じサマーマイルシリーズ(中京記念、京成杯オータムハンデ)の中ではこれでも一番歴史が浅い。実はサマー2000の5レース(七夕賞、函館記念、小倉記念、札幌記念、新潟記念)は、いずれも関屋記念より前に創設されたレースである。こう考えると、サマーマイル、サマー2000は全て歴史のあるレースで組まれていることになる。

そんな関屋記念のデータはどうか。先に行われた中京記念と同距離であり、同じ左回り、直線の長いコース。条件は似通っているが、果たして同じような傾向なのだろうか。

《関連記事》
【中京記念】前走、東京&阪神組が勝率100% 夏のマイル女王へ!追い込みを決めるのはあの牝馬

関屋記念出走馬の脚質ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

まずは脚質。中京記念は逃げ馬が壊滅状態だったのに比べて、関屋記念は3勝と気を吐いている。直線で坂を下ってまた上る中京とは違い、新潟は下った後は平坦コースが続く。この違いが出ているのだろうか。といって追い込みが決まらないわけでもない。逃げが優勢だが、基本的に脚質は問わず展開次第ということか。

中京記念とは別物のレース

中京記念では距離を延ばした馬が優勢だったが、逆に関屋記念は縮めてきた馬が優勢。

関屋記念出走馬の前走距離ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

中京記念の時にも書いたが、新潟より急坂のある中京の方がスタミナを問われる印象があったのでこれは意外だった。思い込みがいかに当てにならないかの典型である。

関屋記念出走馬の年齢ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

続いて年齢。これも中京記念とは違った傾向が出ている。中京記念は5、6歳馬がほかの世代を圧倒していたが、関屋記念は4歳馬の成績が抜けていい。また、昨年のプリモシーンが記憶に新しいように、3歳馬の頑張りも目につく。

関屋記念出走馬の所属ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

上記は所属別成績だが、関東で行われるレースでも関西馬の方が出走頭数が多い。しかし、勝ち星では地元の意地で関東馬がリード。ただし、2着馬に関しては関西馬が9回と圧倒的。こう見ると、連軸は関西馬から選ぶのがいいのかもしれない。

関屋記念出走馬の前走ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

前走のクラス別成績だが、3勝クラス(元1600万下)から経由した馬が2勝2着1回。この3頭に共通するのは、勝ち上がっての出走だったということ。3勝クラスを勝ってここに挑んできた馬がくれば要注意。あと目につくのはオープン特別組が不振なことと、GI組の成績がいいことか。

関屋記念の枠順成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

最後に枠順。アイビスSDと同様に外枠の成績が抜群。この原稿は枠順確定前に書いているので反映できないのが残念だが、最後に迷った時の判断材料には十分使えそうだ。

注目馬はサラキアだが……

データからの推奨は以下の通り。

①逃げ馬に要注意
②前走から距離を縮めて来た馬に注意
③4歳馬が断トツ
④2着候補は関西馬
⑤3勝クラスを勝ち上がってきた馬に要注意

となる。今回⑤に当てはまる馬はゼロ。というわけで、今回は①~④のデータが検証対象。◎候補は全ての条件を満たしたサラキア。前走は1800mのエプソムカップだったが、うまく発馬を決め、主導権を握って粘り込んだ。ただ、前走はしっかりとスタートが決まったが、今回も五分に切れるかというと微妙。軸として信頼とまではいかない。

例え、サラキアが五分にスタートを切ったとしても、ほかに行く馬がいれば譲る可能性が高い。逃げ馬に要注意というデータから、ハナを切りそうなファストアプローチにも注目。これは②③もにも当てはまっており侮れない存在。この馬を軸にしても良かったが、前走が率の悪いオープン特別組。2頭とも信頼度がいまひとつということで、今回はBOXが正解のようだ。

続いて、2つ当てはまったのは5頭。エントシャイデン、オールフォーラブ、ソーグリッタリング、リライアブルエース、そしてロシュフォール。その中ではまずロシュフォール。七夕賞の時に書いたが、デビューから直線の長いコースばかり使っていて、前走は小回り適性がなかったとみたい。もう1頭はソーグリッタリング。いくら4歳馬の連対率がいいからといって、4歳馬同士で決まったのは過去10年で1度だけ。そういう意味でも5歳馬のソーグリッタリングも入れておきたい。

馬券はサラキア、ファストアプローチ、ソーグリッタリング、ロシュフォール、そしてサマーマイルチャンピオンの候補に挙げた手前、ミエノサクシードにも期待したい。この馬連5頭BOXを500円ずつで勝負したい。

《関連記事》
過去に「該当馬なし」が3回 サマーマイルシリーズ王者になるのは難しい
【関屋記念】勝ち馬の平均上がりは33.5 今年も3歳馬?馬場傾向からあの馬が浮上

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。