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クラブの命運を握るB2プレーオフ、B1昇格を懸けた短期決戦の行方は?

2022 4/23 11:00ヨシモトカズキ
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プレーオフ出場枠が増えB1ライセンスも多くのクラブが獲得

Bリーグは終盤に差し掛かり、最も気になるのはチャンピオンがどこになるかだが、B2からB1に昇格するクラブにも注目が集まる。

新型コロナウイルスで中断となった2019−20シーズンから、B1からB2への降格が撤廃され、同年は広島ドラゴンフライズと信州ブレイブウォリアーズ、昨シーズンは群馬クレインサンダーズと茨城ロボッツが昇格を果たしている。またB1に昇格する枠は2と変わらないものの、昨シーズンから8クラブがプレーオフに進めることになっており、多くのクラブにチャンスがある。

さらには先日Bリーグライセンスが発表され、14クラブ中10クラブ(一部条件付き)にB1ライセンスが付与され、Bリーグ発足当初に見られた「プレーオフに出たのに、ライセンスを持っていないから昇格できない」という現象は起きにくい。プレーオフで勝ち上がり、ファイナルに進出した2クラブにB1の称号が与えられる。

攻守でバランス取れ、B1に最も近いFE名古屋

8枠のうち、ワイルドカード以外の6枠はすでに決定している。その中で最も良い成績を残しているのがファイティングイーグルス名古屋(FE名古屋)だ。Bリーグ発足以降、B2では常に上位を走るクラブで、2017−18シーズンにはプレーオフに進出し4位となっている。

今シーズンは#11石川海斗、#21笹山貴哉というB1レベルの司令塔に、日本代表でも活躍する#3エヴァンス ルーク、昨シーズンのB2得点王#0アンドリュー・ランダルと優勝を見据えた補強に成功。ランダル、石川から繰り出されるスピーディーな展開から、日本人と外国籍選手がバランス良く得点を稼ぐ。またリーグ最小平均失点69.6が示すように、強固なディフェンスを得意としており、攻守のバランスが非常に良い。

これまではチーム成績は十分だったものの、主にメインアリーナの課題からB1ライセンスを取得できていなかったが、今シーズンは条件付きながらB1ライセンスを取得。大型補強と環境整備の歯車が噛み合った。トラブルなく順調にプレーオフを迎えられれば、ファイナルまで進む可能性は高い。

混沌とする2番手争い 東西ともに実力は拮抗

順位表を見るとFE名古屋以下の争いは、東西ともに混沌としている。

まずは東地区。FE名古屋に続く2位につけているのは仙台89ERSだ。組織的なバスケットを信条とするチームで、平均得点は77.7点で14クラブ中10位だが、平均失点は70.9点で2位である。

課題をあげるとすれば、接戦に弱いこと。絶対的なエースがいないことから、15敗のうち実に11敗が10点差以内の点差となっている。実力伯仲のプレーオフとなれば毎試合接戦になることも予想され、仙台としては序盤からリードを保ちながら試合を運びたいところだ。

東地区の3位は福島ファイヤーボンズ。Bリーグ加入以降は苦しいシーズンが続いていたが、今シーズンは#6長谷川智伸、#16橋本尚明、#42ジェイソン・ウォッシュバーンらベテランが加わり、安定した強さを発揮している。仙台同様チーム力の高さは光るが、同じくオフェンスのインパクトに欠ける。橋本、長谷川と点が取れる日本人選手の活躍が鍵を握る。

一方西地区は33勝で香川ファイブアローズ、熊本ヴォルターズ、西宮ストークスが並ぶ。勝率で1位の香川の魅力は何と言っても攻撃力。大黒柱の#30テレンス・ウッドベリーの1対1から#15谷口光貴、#34兒玉貴通など日本人選手が3Pシュートを射抜く。1試合平均10.2本の成功数はリーグトップだ。

果敢にシュートを打てるのはインサイドに#12アンガス・ブラント、#25リース・ヴァーグの堅実な外国籍選手がいるからこそ。派手さはないものの、2人の献身的な働きは大きい。この2人がワールドカップ予選でチームを離れていた間に負けが混んだものの、合流後は再び息を吹き返している。

同じく熊本も得点力が高く、リーグ1位の平均得点91.3点を誇る。その中心は#8LJ・ピークと#25ジョーダン・ハミルトンで、ともに平均得点が20点を超える。日本人選手も#12木田貴明、#24佐々木隆成と粒ぞろい。

平均失点は77.2とそこまで悪くないが勝敗がピークとハミルトンの出来次第であり、裏を返せばこの2人が爆発すれば一気に頂点に立つ可能性がある。クラブで起きたパワーハラスメントの問題を、成績で払拭したい。

西地区3位の西宮は、#0川村卓也、#11中西良太ら優勝を目指すべく大型補強を施したが、いまだ噛み合っていない状況だ。オフェンスのバランスとリバウンド数の少なさが気になるところで、相性としてはハイスコアゲームを得意とするチームに弱い。西地区3位ではあるが、まだ順位が変動する可能性はあり少しでも順位を上げたい。

爆発力が魅力の佐賀と越谷、ダークホースの可能性あり

2枠のワイルドカードのうち、越谷アルファーズがすでにプレーオフ出場を決めている。#5アイザック・バッツ、#33グレイグ・ブラッキンズと帰化選手の#15ソウ・シェリフが強力なインサイドを誇り、平均45.9本のリバウンドはダントツのトップ。しつこいディフェンスが持ち味の#0畠山俊樹もおり、相手にとっては非常にやりづらいチームだ。

だたし、最も大きな課題がフリースローの確率だ。12.1本を得ながら、その確率は61.8%と厳しい数字となっている。そのため終盤の勝負弱さが課題で、10点差以内の敗戦は11にのぼる。とはいえ、経験豊富なベテラン選手が多く、プレーオフに照準を合わせてくるだろう。

そしてワイルドカードのもう一つの椅子は確定していないものの、現在の成績から判断して佐賀バルーナーズの可能性が高い。このチームの命運を握っているのは#2レイナルド・ガルシアで、平均24.4得点、7.2リバウンド、6.0アシスト、3.1スティールと申し分ない活躍を見せている。攻守ともに全てはガルシアから始まり、ガルシアの活躍如何で勝敗が決まると言っても過言ではない。

今シーズンはメンバーが大きく変わり、序盤は苦戦を強いられたが終盤で勝ち星を伸ばしチームの状態は良い。途中加入で平均2桁得点をあげている#7西川貴之の活躍にも注目だ。

ここまで8クラブを紹介したが、どこもB1ライセンスを保持し全クラブにチャンスがある。昨シーズンも西地区1位の西宮がワイルドカードの仙台に敗れたように、何が起こるか分からないのがこの短期決戦である。まだシーズンが続くため、各クラブ状態を高めながら決戦への準備を進める。

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