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首位打者、本塁打王いなくとも丸佳浩はじめ6人が1000安打超 89年世代の安打数ランキング

2022 7/31 06:00林龍也
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安打数トップは丸佳浩 走攻守の総合力で世代トップ

89年世代の打者で、首位打者、本塁打王を獲得した選手はいない。ド派手なイメージの選手は少ない世代でもあるが、丸佳浩(巨人)を筆頭に、高いレベルのパフォーマンスを長期に渡って発揮している選手が多い。

今回は、今年度で33歳を迎え、まさに脂の乗り切った世代である彼らの安打数ランキングを見ていこう。高卒入団なら15年目を迎えた89年世代で、現役の野手は16人。彼らの安打数ランキングトップ10は以下の通り。

89年世代 安打数ランキング,ⒸSPAIA


トップを走るのは、広島、巨人で通算1559安打を放った丸佳浩(巨人)だ。千葉経済大付高から2007年ドラフト3巡目で広島に入団した丸は、3年目の2010年に一軍デビューを果たし、初安打も記録した。翌2011年からレギュラーに定着すると、2013年から6年連続で130安打以上をマーク。FAで巨人へ移籍後も変わらぬ活躍を見せている。

2017年には171安打で最多安打、2018年には出塁率.468で最高出塁率のタイトルに輝く。243本塁打、803打点はいずれも世代2位、930四球は世代断トツ、現役3位、歴代25位の数字だ。2022年シーズンは既に100安打を記録しているため、10年連続100安打以上を確定させている。

丸の凄さは打撃だけにとどまらない。2013年には29盗塁で盗塁王に輝くなど、170盗塁は世代1位。さらにベストナインに6度、ゴールデングラブ賞に7度輝いており、総合的に見ても世代トップの野手と言える。

2位の菊池涼介と3位の中田翔は1500安打目前

2位の1449安打を放ったのは、丸とともに広島を3連覇に導いた菊池涼介(広島)だ。プロ入り2年目の2013年からレギュラーに定着すると、9年連続で100安打以上をマーク。2016年には181安打で最多安打に輝いた。

今シーズンはここまで93安打を放っており、丸同様、10年連続100安打以上はほぼ確実だろう。"忍者"と称されるその守備力は誰もが認めるところだが、世代3位の114本塁打を放つなど、打撃でもトップクラスの成績を残しているのだ。

3位には中田翔(巨人)が1411安打でランクイン。プロ入り直後はなかなか一軍に定着できなかった中田だが、4年目の2011年にレギュラーを掴むと、2020年まで10年連続で100安打以上を記録した。

中田は3度の打点王に輝いているものの、通算打率.249が示す通り、最多安打や首位打者のようなタイトルとは縁がなかった。それでも、レギュラー定着以降は大きな離脱なく試合に出続けたことが、この数字に繋がっている。

6位の島内宏明までが1000安打以上

4位には1348安打の鈴木大地(楽天)が、5位には1211安打の中村晃(ソフトバンク)が、6位には1003安打の島内宏明(楽天)がランクインした。

鈴木は2年目の2013年にレギュラーに定着すると、そこから9年連続で120安打以上を記録している。通算打率は.275で最高は2020年の打率.295だが、最低も2017年の打率.260と、とにかく調子の波が小さい。

加えて、レギュラー定着以降は7度の全試合出場を達成。ポジションが固定されない時期もあったが、その中でも安定したパフォーマンスを発揮し続けたことが、この成績に繋がっていると言える。

5位の中村は6年目の2013年に一軍に定着すると、そこから6年連続で130安打以上を記録。2014年には176安打で最多安打のタイトルも獲得した。2019年は故障などで成績を落としたが、翌年には復活。以降はまた順調に安打を積み上げている。

6位の島内はつい先日、1000安打を達成したばかり。ドラフト6位でのプロ入りから大出世を果たした。レギュラー定着も6年目の2017年と遅咲きながら、そこからは安定したパフォーマンスを発揮。5年連続で110安打以上を放ち、2021年には自身初のタイトルとなる打点王にも輝いた。

田中広輔は1000安打も視界に 圏外ながら阿部寿樹に注目

894安打で7位にランクインした田中広輔(広島)は「タナキクマル」の一角としてチームの3連覇を支えたショート。近年は出場機会を減らしてはいるものの、このままいけば1000安打も充分達成可能な位置にいる。

8位の岡島豪郎(楽天)、10位の安部友裕(広島)はレギュラー定着こそならなかったが、貴重なサブとして輝きを放っている。岡島は2013年の日本一、安部は2016年から2018年のリーグ優勝に貢献してみせた。

9位の伊藤光(DeNA)は「打てる捕手」としてオリックスで一時代を築いた。キャリアハイは2013年の117安打だが、捕手というポジションの特性上、息の長い活躍が期待できるかもしれない。

トップ10入りはならなかったものの、注目したいのが387安打で12位の阿部寿樹(中日)だ。今シーズンでプロ入り7年目だが、その安打のほとんどが直近4年間で打ったもの。遅咲きの好打者として、ここから上位に食い込んで行く可能性を秘めている。

改めて、1000安打達成者が6人いるのは驚くべきことだ。良い選手が多いことで知られる88年世代ですら坂本勇人(巨人)、秋山翔吾(広島)、柳田悠岐(ソフトバンク)の3人だけなのだから、いかに凄いことかがわかるだろう。

打点王はいるものの首位打者、本塁打王はおらず、ド派手なイメージの選手は少ない。しかし丸や鈴木、中村のように、職人的なパフォーマンスを継続して発揮してきた選手が多い世代。それが89年世代なのかもしれない。彼らが今後、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみにしたい。

※成績は全て前半戦(7月24日)終了時点

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