規定投球回未達も高水準の指標
昨季は故障により、シーズン途中離脱となったDeNAのエース・今永昇太。登板したのはわずかに9試合、5勝3敗、防御率3.23と不本意な成績に終わった。
しかしながら、昨季の各指標から今永の復活が楽しみになるデータが見えてきた。
昨季、規定投球回未達ながらも今永の成績レーダーチャート(SPAIA参照、https://spaia.jp/baseball/npb/player/1500061)は、すべての指標でセ・リーグ平均を上回り、特にFIP(被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで評価する投手力の指標)2.11とHR/9(1試合で打たれるホームラン数を表す指標)0.34はリーグ屈指の好成績である。
各球種の被打率と空振り奪取率も優秀だ。投球割合全体の36.5%を占めるストレートは被打率.239、10%を超えると優秀とされる空振り奪取率は10.7%。全体の27.5%を占めるチェンジアップは被打率.227、空振り奪取率23.3%と圧巻の数字が並んだ。
その他の球種も被打率.260未満で、万全のパフォーマンスができなかったシーズンにもかかわらずこれだけの成績を残せていることから、完全復活できればタイトル奪取も視野に入るのではないかと期待が膨らむ。
懸念されるアウトハイへの投球
球種別の被打率は非常に優秀だった今永。しかし、ゾーン別データ(SPAIA参照)では課題が見えてくる。
四隅へボールを投げ分けることは、投手が打者を抑えるための極意のひとつだが、その四隅で今永が苦手とするコースがある。それがアウトコース高めのボールだ。
左右の打者へのアウトハイ以外の四隅のボールの被打率を見てみると、どれも.170未満で打者を完璧に封じ込んでいることがわかる。左打者のインハイとインローにおいては、1本のヒットも許していない。
対してアウトハイの被打率は、左打者.385、右打者.308と打ち込まれている。アウトハイのボールは、他の四隅のボールと違って狙って投げたのではなく、ストレートが高く浮いてしまったり変化球の抜け球が集まってしまったと考えられる。
今永はストレートに定評があり、高めのストレートで勝負する場面も多々あるため、より高い確率で打者を抑えるためにも、アウトハイへの失投をケアすることは重要な課題になってくるだろう。
井納翔一移籍で高まる期待
今季の完全復活に向け、2軍キャンプに臨む今永。三浦大輔新監督のもと、投手陣の競争が激化するDeNAにおいてエースの復活は大きな意味を持っている。
先発ローテーションの一角としてプレーしていた井納翔一が昨オフ、FA権を行使し巨人に移籍。昨季11勝を挙げて大ブレイクした大貫晋一、防御率2.27と大躍進した平良拳太郎、怪我から復帰しシーズン終盤まで先発ローテーションを担っていた濵口遥大らが開幕投手を狙い、三浦監督に猛アピールを続けているが、さらなる発奮材料としても今永の復活は必要と言える。
今季、故障を乗り越えたハマのエースの快投を見ることができるのか、完全復活の日が楽しみだ。
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