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夏の甲子園決勝の近畿勢対決は3年ぶり9回目、優勝はどっちの智弁?

2021 8/29 06:01SPAIA編集部
阪神甲子園球場Ⓒbeeboys/Shutterstock.com
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智弁学園と智弁和歌山が頂上決戦

第103回全国高校野球選手権大会も残すところ決勝の1試合だけとなった。天候不順で雨天順延が7度もあり日程消化を心配されたが、甲子園を本拠地とする阪神が中日戦を予定している31日までにどうにか全日程を消化できそうだ。

決勝は智弁学園(奈良)と智弁和歌山の「智弁対決」。史上初めて近畿勢がベスト4を独占した準決勝では、第1試合で智弁和歌山が近江(滋賀)に5-1で快勝。第2試合では智弁学園が京都国際を3-1で下した。

ユニフォームもそっくりな兄弟校が甲子園で対決するのは、2002年の夏3回戦(智弁和歌山が7―3で勝利)以来2度目。今大会は近畿勢の実力が高いのはもちろんだが、地方の学校は雨天の場合に練習場確保が難しいため不利になったと明徳義塾の馬淵史郎監督は指摘している。自校のグラウンドや練習施設を使える近畿勢には「地の利」があったと言えるだろう。

初の近畿対決は和歌山中が京都一商下す

聖地で2度目の「智弁対決」に注目が集まっているが、決勝での近畿対決は意外に少なくない。夏の甲子園決勝で近畿勢同士が戦ったことは過去に8回ある。

夏の甲子園決勝の近畿対決


初対決は1921年の第7回大会。和歌山中(現桐蔭)が京都一商(現西京)に16-4で大勝し、初優勝を飾った。

翌1922年も和歌山中が神戸商(兵庫)を下して連覇。さらに1923年も和歌山中は決勝進出したが、甲陽中(兵庫)に2-5で敗れた。

報徳学園は京都商、智弁和歌山は平安を撃破

戦後初めての開催となった1946年は、浪華商(現大体大浪商)の左腕・平古場昭二が第1回大会優勝の京都二中(現鳥羽)を完封し、大阪勢初優勝を飾った。

1952年は芦屋(兵庫)が4-1で八尾(大阪)に勝って初優勝。1961年は「怪童」尾崎行雄を擁する浪商(現大体大浪商)が桐蔭を破って2度目の全国制覇を果たした。

1981年は報徳学園(兵庫)のエース金村義明が京都商(京都先端科学大学付)を完封して初優勝。1997年は後にプロでも活躍する中谷仁主将(現監督)率いる智弁和歌山が、好投手・川口知哉を擁する平安(現龍谷大平安)を6-3で破り、頂点に立った。

センバツでは箕島が北陽と浪商を下して頂点

一方、センバツでも近畿勢同士の決勝は9回ある。

春の選抜決勝の近畿対決


1928年の第5回大会で関西学院中(兵庫)が連覇を狙った和歌山中を2-1で下し、初優勝した。1948年には京都一商と京都二商の「京都対決」が実現。京都一商が1-0で接戦を制した。

翌1949年には北野(大阪)が6-4で芦屋(兵庫)を下して初優勝。進学校としても知られる北野は、現在まで大阪の公立校で唯一の甲子園優勝校となっている。1953年には淡路島にある洲本(兵庫)が浪華商に完封勝ちで頂点に立った。

1970年には同年ドラフト1位で南海入りする島本講平を擁する箕島(和歌山)が5-4で北陽(現関大北陽・大阪)を破って優勝。1979年も箕島が牛島和彦、香川伸行のいた浪商との大熱戦を制して頂点に立った。同年は箕島が春夏連覇を果たしている。

大阪桐蔭は2年連続の近畿対決を制して連覇

2014年は左腕・高橋奎二(現ヤクルト)を擁する龍谷大平安が6-2で履正社を下し、38度目のセンバツで初優勝を飾った。

2017年は大阪対決が実現。福井章吾主将(現慶応義塾大)やエース徳山壮磨(現早稲田大)が3年生だった大阪桐蔭が、安田尚憲(現ロッテ)のいたライバル履正社を破り、頂点に立った。

翌2018年は根尾昂(現中日)、藤原恭大(現ロッテ)らが3年生になった大阪桐蔭が5-2で智弁和歌山を下し、センバツ2連覇。さらに夏も頂点に立ち、同校2度目の春夏連覇を果たした。

2021年の夏を制するのはどちらの智弁か。智弁学園が勝てば初優勝。智弁和歌山なら21年ぶり3度目の優勝となる。

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