大王製紙で今年初勝利、ツアー通算4勝目
女子ゴルフ界を席巻する「黄金世代」の1人、22歳の原英莉花が約1年ぶりの鮮やかな復活優勝を果たした。
21日の大王製紙エリエール・レディース(愛媛県エリエールGC松山=6545ヤード、パー71)最終ラウンドで1イーグル、2バーディー、1ボギーの68で回り、通算17アンダー、267で今年初勝利、ツアー通算4勝目を挙げて賞金1800万円を獲得。ウイニングパットを沈めると、観客から大きな拍手を浴びて感涙にむせんだ。
ツアー随一の人気プロは国内四大大会で昨年2勝しながら、今年は海外メジャーに挑戦しても予選落ち続きだった。試行錯誤するうちにぎっくり腰を発症し、苦悩した1年間。自らのインスタに「やっと、という思いと勝ててホッとした気持ちです!」と喜びを語った。
師匠の助言で開眼、ドライバー飛距離はツアー1位
大会前には師匠のジャンボ尾崎の元へ久しぶりに訪問し「振り切りが悪い」とスイングの助言と激励を受けたという。これでショットの迷いが消えてしまうのだから、信頼する師弟関係というのは不思議なものだ。
173センチ、58キロとモデル顔負けの恵まれた体格を生かしたティーショットの平均飛距離は257・23ヤードで堂々の今季ツアー1位。2位は勝みなみの253・92ヤードだ。
「なかなか自分の選択に自信を持てずに弱気になったり凹んだりしながらも、チームや家族、たくさんの方にアドバイスを頂きながら少しずつ前を向いて歩んできた1年でした。1人では突破口を見つけられなかったと思います」と振り返る。
OBしない程度に「振り切る」をテーマとして初日に64をマークして首位に立つと、3日目も66の好スコア。持ち前の思い切りを取り戻し、ファンを引き付ける魅力的なゴルフで待望の勝利をつかみ取った。
勝負分けた最終日のイーグル
2打差の単独首位で出た最終日は前半で伸ばせず、一時は4人が首位に並ぶ大混戦。勝負を分けたのは17番(510ヤード、パー5)だった。ティーショットを右に打ち出すミス。「池ポチャ」も覚悟したが、ボールは幸運なことに池の横に1ヤードでぎりぎり残った。
右ラフからの残り214ヤードを7番ウッドで力強く2オンに成功すると、8メートルのフックラインのパットを読み切って劇的なイーグル。攻めの気持ちを失わず、フィニッシュまでしっかりと振り抜いた第2打が勝利を呼び込んだ。首位争いから抜け出し、絵になる派手なガッツポーズを繰り返した。
畑岡奈紗、渋野日向子らに続く挑戦も
黄金世代の筆頭格では米ツアーで22歳の畑岡奈紗が大活躍する。今季最終戦、CMEツアー選手権では2位に入り、日本勢で1987年の岡本綾子に次ぐ賞金女王は逃したが、年間獲得賞金は約190万ドル(約2億1660万円)の3位。渋野日向子も来年の米女子ツアー出場権を懸けた最終予選会(12月・米国)に臨む。
同世代の原も将来的な米ツアー挑戦の意欲は隠していない。手足の長いダイナミックなスイングと潜在能力は、米国でも活躍できる可能性を十分秘めているだろう。
研究心も旺盛だ。今大会でパットは世界ランキング1位のネリー・コルダ(米国)を参考に重心を左側に修正し、ストロークと球の転がりが改善。ショットも日本ツアー21勝のイ・ボミ(韓国)の動画から学び、復調したと明かしている。
インスタでは「今年も優勝の報告をすることが出来て良かったです。私自身もこの優勝までに色々と悩んだ時間、経験してきたことがやっと無駄じゃなかったんだと思えました。技術、身体、考え方それぞれまだまだ未熟です。これからも沢山の方に頼りながら追求して選択して成長し続けたい気持ちです」とさらなる飛躍を期した。
さらに「大自然の中でできるゴルフというスポーツが大好きです。毎週最高のコースコンディションの中プレーすることができて幸せだなぁといつも思います」とも。
2021年は土壇場の涙の優勝で「3年連続V」も達成。将来の米挑戦への足がかりとなる1勝になるかもしれない。
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