DeNA・東がルーキー唯一の2桁勝利&防御率リーグ2位
ここ数年、競合指名の大物ルーキーをパ・リーグ球団に取られるドラフトが続いていたセ・リーグ。しかし2018年は広島が小園海斗、中日が根尾昂と、2人のスター候補をセ・リーグ球団が勝ち取った。彼ら来年のゴールデンルーキーにはこれらからのセ・リーグを盛り上げていってほしいが、今シーズンのルーキーはどうだったか。改めてその活躍を振り返る。
ずば抜けた活躍を残したのは、新人王を獲得したDeNAの1位左腕・東克樹だ。チームの先発陣が軒並み調子が上がらなかった中で、序盤から快投を続けエースの働きをみせた。ルーキーで唯一の2桁勝利となる11勝を挙げ、防御率2.45は巨人のエース菅野智之に次いで堂々のリーグ2位だ。
その好成績以上に、奪三振能力の高さが光った。154投球回で155奪三振をマークし、奪三振率(9イニングあたりの平均奪三振数)は200奪三振の菅野(8.91)をも上回る9.06。ストレートと見分けがつきにくいチェンジアップを武器に、広島から2回の11奪三振を記録するなど強打者たちを牛耳った。三振を奪える先発左腕という球界全体でも貴重なタイプだけに、今後は侍ジャパンでの活躍も期待される。
中日・鈴木、ヤクルト・大下がリリーフで好投
東を含め、2017年ドラフトで投手として指名されたセ・リーグの選手は22名。1年目の今シーズンは11名が一軍のマウンドに上がった。

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中日1位・鈴木博志、ヤクルト2位・大下佑馬の両右腕もリリーフとして即戦力の働きをみせた。21歳にして最速150キロ後半の鈴木はルーキー最多の53登板。12ホールドと4セーブをマークし、本人もプロ入りからクローザー志望とあって、今後の守護神候補となる。
大下は前半戦終了近くからの一軍登場で、43.2イニングを防御率3.09と後半戦フル回転でブルペンを支えた。与四球率(9イニングあたりの平均与四球数)が1.85と抜群に良く、奪三振率で与四球率を割った「K/BB」3.89は東(3.70)を凌ぐ。投手としての総合力が高く、来シーズンは先発ローテーション入りの可能性もありそうだ。
コンディション不良で6月途中から二軍調整となってしまったが、左腕の阪神2位・高橋遥人も先発としてインパクトを残した。4月11日の初先発広島戦で7回2安打無失点の快投。6先発登板で2勝3敗、防御率3.63を残し、一軍で通用する力を持っていることは示した。
一方、巨人1位・鍬原拓也、阪神1位・馬場皐輔は大卒ドラ1の即戦力として期待されていたような活躍は残せず。力のあるストレートは投げていただけに、来シーズンは新人王を狙えるような巻き返しを期待したい。中日は2位・石川翔から、4位・清水達也、6位・山本拓実まで高卒指名の投手が3人全員一軍のマウンドを経験。投手王国再建の布石となるだろうか。
野手はDeNA・神里、巨人・大城、田中が存在感

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野手は2017年の新人王に選ばれた中日・京田陽太、西武・源田壮亮のように1年目からレギュラーをつかむ選手はいなかった。その中で社会人出身のDeNA2位・神里和毅、巨人3位・大城卓三、巨人5位・田中俊太は80試合以上に出場し、それぞれ存在感を放っている。
快足外野手の神里は序盤戦、トップバッターでスタメン出場を続け、4月は月間9盗塁をマークするなど順調なスタートを切った。8月半ばに死球で右足甲を骨折し、ここで今季絶望となったが、前半戦までは新人王有力候補に挙がるだけの活躍だった。
捕手の大城は打力を武器に、小林誠司の正捕手の座を脅かす存在となった。守りは小林にまだまだかなわないが、4本塁打を放ち「打てる捕手」となれる素質を示した。MLB選抜チームとの親善試合では一塁手としてスタメン起用され、復帰する原辰徳監督からも打撃への期待は高いようだ。
内野手の田中は吉川尚輝の離脱により後半戦でスタメン機会を増やした。CSの5試合は全試合2番・二塁手でスタメン出場。3盗塁をマークするなど大舞台でも結果を残している。
そのほかの野手は100打席に届かなかったが、ヤクルト1位・村上宗隆はセ・リーグの高卒野手で、ただひとり一軍の打席を経験。9月の初打席で本塁打を放ち強烈なインパクトを残した。二軍では日本ハム・清宮幸太郎と並んでリーグ2位タイの17本塁打と圧倒的な成績をたたき出しており、将来の4番候補として注目の存在だ。
投手・野手ともに、今シーズンのルーキーは東を除けば全体的に即戦力は少なかったという印象だ。今シーズンの広島・アドゥワ誠、巨人・吉川尚輝のような2年目のブレイクに期待したい。