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中日・根尾昂、データで見る「投手として化ける可能性」

2022 10/13 06:00SPAIA編集部
中日の根尾昂,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

投手・根尾の1年目は25試合登板で防御率3.41

中日・根尾昂投手(22)にとって2022年は野球人生のターニングポイントとなるかも知れない。大阪桐蔭高からドラフト1位で入団して4年目、野手として伸びあぐねていたが、5月21日の広島戦(マツダ)で投手として初登板し、1回1安打無失点。6月21日には正式に投手として登録され、10月2日の広島戦(マツダ)ではプロ初先発して3回1安打無失点だった。

投手・根尾の1年目は25試合に登板して1ホールド、防御率3.41。29イニングで被安打23、被本塁打2、与四球12、与死球3、奪三振22、失点12、自責点11の成績を残した。

宮崎県内で開催されている「みやざきフェニックス・リーグ」では先発テスト登板に臨む予定。来季に向けて投手としての土台を築くべく、トレーニングに励む。

課題は抜け球の多さと変化球

当初は懐疑的な見方も多かった投手転向だが、登板を重ねるうちに周囲の雑音も聞こえなくなった。とはいえ、今後、投手として大成する可能性はあるのだろうか。

投球の柱は全体の61.3%を占めるストレート。平均148.3キロを計測しており、被打率も.258と悪くない。さらに平均133.1キロのスライダーは被打率.207だ。この2つの球種で全体の90%近くを占めている。

フォークは全体の6.5%にとどまるものの平均142.0キロを誇り、被打率は.143。勝負球として有効に使えている。平均121.4キロのカーブと同145.8キロのシュートも投げるが、ウェイトは低い。変化球を多用できるように磨き上げることはオフの課題だろう。

ストライクゾーンを9分割した、対右打者のゾーン別被打率は以下の通りとなっている。

根尾昂の右打者ゾーン別被打率


全体の28.9%を占める外角低めは被打率.091。しっかり制球できればほとんど打たれていないことが分かる。

逆に17.7%を占める外角高めは被打率.333。本塁打も1本喫しており、指にかからずに抜けると痛打されている。同様に真ん中高めは.429、内角高めは.333と被打率が高い。「抜け球」を減らすことは投手としての寿命に影響を及ぼしそうだ。続いて対左打者は以下の通りとなっている。

根尾昂の左打者ゾーン別被打率


最も高い18.8%を占める内角低めは1本も安打を許していない。11%を占める外角低めも同様だ。ただ、2番目に高い17.6%の外角高めは被打率.333。4.9%と少ないもののど真ん中も被打率.667と痛打される確率が高くなっている。

イニング数が少ないためあくまで参考程度だが、奪三振率は6.83と急造投手にしては低くない。今季のセ・リーグで規定投球回に達した10投手のうちトップは小笠原慎之介(中日)の8.71、最下位の小川泰弘(ヤクルト)は5.34だから、根尾はすでに真ん中より少し下くらいのレベルには達している。

ただ、与四球率3.72はいただけない。先発では1試合しか登板しておらず、中継ぎでは四球を出さざるを得ない状況もあるとはいえ、セ・リーグ1位の西勇輝(阪神)が1.58、10位の戸郷翔征(巨人)でも2.67だから改善の余地は大いにあるだろう。

突然の投手転向にもかかわらず一軍で25試合も登板できたことは、高いポテンシャルを証明している。今秋から来春キャンプにかけてコントロールを向上させ、変化球を磨けば、来季はさらに活躍する可能性も十分にありそうだ。

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