VAR介入により谷口退場
史上希に見る大接戦となった2019JリーグYBCルヴァンカップ決勝戦は川崎フロンターレがコンサドーレ札幌を破り5度目の決勝戦で初の優勝を手にした。
この試合で注目を集めた場面の1つに96分の谷口が受けたレッドカードがある。谷口がチャナティップをペナルティエリアのすぐ外で倒してしまった場面は当初イエローカードが提示されたが、VARの介入によりレッドカードへと変更された。なぜなのか。
まず理解しておきたいのはVARとは、最良の判定を見つけようとするものではなく、「はっきりとした明白な間違い」をなくすためのシステムであるということだろう。そのため介入される要件は、「得点かどうか」「PKかどうか」「退場かどうか」「警告退場の人間違い」のいずれかとなっている。そしてこの場面では「退場かどうか」で介入があった。
谷口のプレーにあった「退場かどうか」は、「DOGSO(ドグソ)」に該当するかどうかである。今年に入って使われることが増えた言葉なのでまだご存知ではない方も多いかもしれないが、「DOGSO」とは「Denying an Obvious Goal Scoring Opportunity」の略で、日本語に訳すると「決定的な得点機会の阻止」となる。
DOGSOには4つの条件があり
1.反則とゴールとの距離
2.プレーの方向
3.守備側競技者の位置と数
4.ボールをキープできる、または、コントロールできる可能性
この4つの条件すべてに当てはまればDOGSOに該当する。
具体的にこの場面に目を向けると、ペナルティエリアのすぐ外で(1)、チャナティップはゴール方向に向かってドリブルしており(2)、最終ライン隣にいる山村のカバーは間に合わない状況で(3)、チャナティップのドリブルはコントロールできていた(4)ことから、4つの条件全てに当てはまる。
その結果、ボールにプレーしていたかしていないか、ファールが悪質か悪質でないかには関係なく、谷口に提示されるのはレッドカード。当初主審はこの4要件のいずれか1つ以上には該当していないとジャッジしイエローカードを提示したのだろうが、VARにより4要件全てに該当していることを確認。正しい判断が行われたという場面だった。
この場面は来季からJ1リーグ戦でもVARが採用されることから、札幌、川崎Fの両チーム以外のサポーターも覚えておきたいジャッジの1つである。