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B3の上位争いは例年以上の激戦 60試合を戦えるチーム力がカギに【Bリーグ】

2020 2/18 11:00ヨシモトカズキ
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1シーズン制になったことが混戦の原因

毎年B2への昇格を目標に争うB3だが、今季は混戦模様だ。例年、昇格・入替戦に出場するクラブの勝率は8割近い数字だったが、今季の上位クラブは7割前後。勝ち越している6位までは1~4位、5位~6位は僅差の成績が続く。

そもそも昨季まではファーストステージ、レギュラーシーズン、ファイナルステージの3シーズン制で、企業クラブはレギュラーシーズンのみ参加。ほかの2ステージはプロクラブで行われ、ステージごとに優勝クラブを決めていた。そのレギュレーションが今季、1シーズン制になり、全クラブ60試合を戦うことになった。

最も苦しむと思われていたのが、昨季はレギュラーシーズンの36試合のみ戦っていた豊田合成スコーピオンズと、アイシン・エィ・ダブリュ アレイオンズ安城。約2倍の試合数になったことで戦い方に苦戦し、ともに3連敗以上を喫している。だが、他のプロクラブより資金力があり選手層も厚いことから、安定した戦いを見せている。ここからも未経験の連戦が続くが、その選手層を生かして勝利を重ねていくだろう。

この2クラブに限らず、新規クラブも60試合を経験しているクラブも、すでにケガ人や連戦の疲れで、戦力が拮抗。そのため、上位でさえも大型連勝と連敗をどちらも経験している。

実際、13連勝を記録し11月末から首位をキープしていた岩手ビッグブルズが、1月末からの6連敗で一気に4位へ。一方中盤に5連敗した佐賀バルーナーズはここに来て調子を上げ、首位に浮上。アイシンAWは2位、企業クラブの豊田合成は3位となっているが、この4クラブの差は僅か。1節ごとに順位が入れ替わる可能性がある。

特別指定選手を加えテコ入れを図るクラブも

また今季興味深いのは、特別指定選手の加入が多いことだ。これまで7クラブが同制度を利用しており、ここ数年にはなかった傾向。例年、特別指定選手を加えるのはB1、B2クラブがほとんどで、最下部のB3には選手が加入することが少なかった。しかし近年、Bリーグを目指す学生が多くなったことから、B3にも新たな人材が流れる傾向に。

その恩恵を最も受けているのは佐賀だ。ケガ人が続出する中、すでに岩手でプレー経験があった#20澁田怜音が加入。積極的にドライブを仕掛ける攻撃力の高い選手で、自身のプレースタイルがチームの目指すバスケットに合致。澁田が出場した試合は、17勝1敗と大きく勝ち越した。まだ駒澤大学3年生ということで、3月になればチームを離れざるを得ないが、チームの巻き返しに大きく貢献している。

埼玉ブロンコスには#15モッチ・ラミンが入団。高校、大学の実績は十分で力強いプレーが持ち味だ。おそらく帰化申請を見据えての在籍だが、外国籍選手の負担を軽減させる役割を担う。

一方、澁田やラミンのように学生時代に実績がある選手とは違い、“育成”の要素が強いのがトライフープ岡山に加わった#00佐藤誠人。日本人離れの跳躍力を生かしたダンクやポテンシャルの高さが魅力の選手だが、まだ荒削りでB1、B2の入団には至らなかった。今後岡山で成長すれば、上のリーグでプレーすることも十分考えられる選手だ。

加えて外国籍選手の入れ替えも多く、登録締め切りとなる2月末までこの流れは続くだろう。

3クラブに絞られた昇格争いB2の戦況も争いの要素に

これまで今季の特徴を述べたが、気になるB2昇格争いはライセンス取得状況によって変わってくる。

勝敗的に昇格の可能性があるのは佐賀、岩手、岡山、八王子ビートレインズの4クラブで、従来でれば上位1クラブがB2最下位クラブとの入替戦に出場できる。しかし、B2のクラブが経営難等で来季ライセンスを取得できなければ自動降格となり、理事会の判断によるが、B3でB2ライセンスを持つ最上位クラブ以外にもチャンスが生まれる可能性がある。 また、6位の八王子は経営難でB2ライセンスを取得できないことが既に発表され、昇格争いから離脱。争いは佐賀、岩手、岡山の3クラブに絞られそうだが、3クラブとも状況は月ごとに様変わりしている。

佐賀は先述したとおり、澁田の加入で息を吹き返したが、おそらく終盤になれば澁田がチームを離れてしまう。そのときが正念場だが、外国籍選手が安定しており勝負強さも見せている。岩手はここにきてケガ人が多く、大型連敗を喫してしまった。日本人選手の安定感は随一なだけに、この中盤をいかに踏ん張れるかがカギとなる。

一方岡山は大型連勝と連敗を繰り返しており、上位の中では最も安定感がない。下位クラブに敗れる試合もあり、B3で最も試投数が多い3Pシュートがチームの生命線となっている。ただここからの戦いは下位クラブとの対戦が多く組まれており、大型連勝する可能性を秘めている。

しかしこの3クラブもB2ライセンスが交付されなければ、昇格の土俵から降りなければいけない。そのため勝敗同様、クラブの経営状況も最後まで予断を許さない状況だ。チームとクラブの両輪を回して、昇格まで突き進みたい。

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