今年も少頭数
2月9日に京都競馬場で行われる
きさらぎ賞
は、クラシックを占う上で大事な一戦であることは間違いない。ただ、本番の皐月賞まで2か月以上も間隔が開くので、このあともう1回レースを挟むのか、それともぶっつけ本番で挑むのか、難しい選択を迫られることになる。

ここ10年のきさらぎ賞勝ち馬の次走を調べてみたが、連対した馬は本番前にもうひと叩きを選んだ馬ばかり。ぶっつけで挑んだ馬は全て連を外している。2015年にルージュバックがここからぶっつけで挑んだ時も「王道から外れたローテーション」と言われたものだ。
ただ、皐月賞では完全に仕上げず、ダービーまで逆算したローテーションを組む場合もある。それに、今は外厩制度が一般化して「ぶっつけ本番」が当たり前になった時代。昨年の皐月賞馬サートゥルナーリアはホープフルSからのぶっつけで勝っている。最近は皐月賞で振るわないきさらぎ賞組だが、ローテーションの問題だけならば、ここから勝ち馬が出る日もそう遠くないはず。
しかし、きさらぎ賞が皐月賞につながらない理由は別のところにあるとみている。このレースは7年連続で10頭立て以下。しかも外回りということもあり、9年連続で前半3ハロンより後半3ハロンの方が速い。
上がりの競馬になる可能性が極めて高いレースとなっている。皐月賞は内回り、しかもフルゲート濃厚のレース。速い流れになることもしばしばで、緩い流れを経験したきさらぎ賞組が対応できないのも仕方がないのかもしれない。
キャリア1戦は一昨年だけだが……

前置きが長くなってしまったので、早速データを見ていく。まずはキャリア。少頭数になりやすく、しかも上がりの競馬が濃厚。キャリアの浅い1戦1勝馬でもそこそこやれると思ったが、ここ10年で結果を出したのはサトノフェイバーだけ。キャリア2~3戦の数字がよく、このあたりが狙い目となってくる。

前走着順でいえば前走1着馬が13連対。率でいえば3着以内に入った馬が、4着以下に大きな差をつけている。前走好走の馬を素直に信頼したい。

また、上がりの競馬になりやすいから、短距離を使ってきた馬でも大丈夫……ということはなくて、1800m、もしくは2000mを経験している馬が有利。前走から距離を延ばしてきた馬は連対率でかなりの差をつけられている。
最後に、ここ3年は1番人気が勝てていないのだが、いずれもディープインパクト産駒。ただ、ディープ産駒の成績自体は悪くなく、1番人気のディープ産駒に過度の期待は禁物としておく。
トゥルーヴィルの素質にかける
レースを振り返って目についた馬は全てディープ産駒だった。まずは東京スポーツ杯2歳S以来になるアルジャンナ。完敗の2着だが、勝ち馬は次走でホープフルSも楽勝するコントレイルで今思えば相手が強すぎた。エンジンのかかりが遅かったとはいえ、バネのある走りで追い込んできた姿は迫力十分。母系はコントレイルと同じ米血で固めてられており、今年はこの配合がトレンドなのかもしれない。
しかし、アルジャンナは3年連続で勝てなかった「ディープ産駒の(恐らく)1番人気」。軸としては違う馬を選択した方が妙味がありそうなので、今回は本命候補から外す。
今年は2018年のサトノフェイバーが勝った年と同じとみて、1戦1勝馬に期待する。ともにディープ産駒のストーンリッジとトゥルーヴィルがそれ。甲乙つけがたい存在だが、「前走から距離延長はマイナス材料」というデータを重視してトゥルーヴィルを上に取る。馬ごみに動じないし、ズブさを見せていたところからもまだ良化の余地を感じる馬。もちろん、ラストの弾け方から将来性も十分だろう。
ストーンリッジはスッと好位を位置取れたし追い比べで根性も見せた。完成度はこちらの方が上か。
あとはグランレイ。前走は展開が向いたとはいえ、GIであれだけの足を使えるのは能力のある証拠。馬力のあるルーラーシップ産駒だから荒れた馬場もプラスに働きそうだ。
重賞2着のサトノゴールドは小回り向きとヤマを張って今回は見送り。
◎
トゥルーヴィル
○アルジャンナ
▲ストーンリッジ
△グランレイ
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。