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【マイルCS】川田将雅騎手が複勝率43.3%で高い回収率を誇る 東大HCが京都芝1600m(外)を徹底検証

京都芝1600m(外回り)のコースレイアウト,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

コース紹介

今週は京都芝1600m外回りを舞台に秋のマイル王決定戦・マイルCS(GⅠ)が行われる。昨年の覇者・セリフォス、2年ぶりのGⅠ制覇を狙うシュネルマイスター、前哨戦の京成杯AH、富士Sをそれぞれ制したソウルラッシュ、ナミュールら、楽しみなメンバーが揃った。

当該コースが舞台の重賞は5レース。マイルCS(GⅠ)に加え、マイラーズC(GⅡ)、デイリー杯2歳S(GⅡ)、京都金杯(GⅢ)、シンザン記念(GⅢ)が開催される。

なお来年は阪神競馬場の改修の影響で、阪神JFと朝日杯FSがこのコースで代替開催される予定だ。この京都芝1600mについてデータを見ながら分析していこう。(使用するデータは特筆しない限り2013年11月16日~2023年11月12日)。

まずはコース紹介。マイルCSでは外回りコースを使用する。2コーナーのポケットからスタート。3コーナーまでは約700mもの直線が続く。向正面半ばから徐々に坂を上り、3コーナーで頂上を迎え、4コーナーにかけて下っていくというレイアウト。高低差は4.3mと内回りより勾配はやや急だ。最後の直線は平坦であり、全長は398.7m(Cコース使用時)である。

コース改修後は8枠が特に好成績

京都芝1600m(外回り)・過去10年の枠別成績,ⒸSPAIA


<京都芝1600m(外回り)・過去10年の枠別成績>
1枠【16-20-19-182】勝率6.8%/連対率15.2%/複勝率23.2%
2枠【23-15-17-193】勝率9.3%/連対率15.3%/複勝率22.2%
3枠【24-21-24-198】勝率9.0%/連対率16.9%/複勝率25.8%
4枠【23-21-21-219】勝率8.1%/連対率15.5%/複勝率22.9%
5枠【16-23-28-236】勝率5.3%/連対率12.9%/複勝率22.1%
6枠【22-28-20-253】勝率6.8%/連対率15.5%/複勝率21.7%
7枠【23-30-29-290】勝率6.2%/連対率14.2%/複勝率22.0%
8枠【37-26-27-297】勝率9.6%/連対率16.3%/複勝率23.3%

枠別成績は複勝率ベースだと3枠がやや良く、それに次いで1枠と8枠、残りはほぼ横並びという様相だ。京都開催のマイルCS(2013年以降)に限定すると、3枠が【2-0-1-11】で2勝を挙げており、2枠も【0-1-3-10】で複勝回収率105%と好調。8枠も【3-0-0-18】と3勝を挙げており好成績である。

なお、コース改修後の外回りマイルは外枠が優勢。特に8枠は【3-4-3-12】で複勝率45.5%、複勝回収率164%と絶好調だ。これは仮説に過ぎないが、今回のコース改修で芝外回りコースは4コーナーのカーブが緩やかになり、以前より馬群がバラけにくくなった。そのため、内で立ち回った馬が詰まるリスクが上昇し、相対的に外枠が有利になったのではないか。今年のマイルCSは外枠の馬に注目である。

京都芝1600m(回り)・過去10年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<京都芝1600m(外回り)・過去10年の脚質別成績>
逃げ【26-12-19-127】勝率14.1%/連対率20.7%/複勝率31.0%
先行【68-67-60-454】勝率10.5%/連対率20.8%/複勝率30.0%
差し【67-76-69-671】勝率7.6%/連対率16.2%/複勝率24.0%
追込【23-28-37-613】勝率3.3%/連対率7.3%/複勝率12.6%

脚質別成績ではセオリー通り前有利の傾向が強い。ただし、京都開催のマイルCS(2013年以降)で、逃げ・先行策から勝ったのは16年のミッキーアイルただ一頭。一方、差しは4勝、追込は2勝、上がり3F2位以内の馬が【4-0-2-11】で単勝回収率219%。下級条件に比べて前半から速いペースになりやすいGⅠでは、末脚自慢を素直に信頼するのが良さそうだ。

ディープインパクトの独壇場

京都芝1600m(外回り)・過去10年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<京都芝1600m(外回り)・過去10年の種牡馬別成績>
ディープインパクト【44-33-39-216】勝率13.3%/連対率23.2%/複勝率34.9%
キングカメハメハ【13-15-10-92】勝率10.0%/連対率21.5%/複勝率29.2%
ダイワメジャー【11-16-11-115】勝率7.2%/連対率17.6%/複勝率24.8%
アドマイヤムーン【9-6-4-43】勝率14.5%/連対率24.2%/複勝率30.6%

種牡馬別成績では、トップサイアーたちが順当に実力を発揮している。

トップはディープインパクト。2位に30勝差以上をつけて独走中であり、まさに京都マイルは「ディープの庭」といっても過言ではないだろう。淀のマイルCSは13年トーセンラー、14年ダノンシャーク、16年ミッキーアイルと3勝を挙げている得意舞台。今年は出走馬がいないが、ディープインパクト系種牡馬には要警戒だ。ディープブリランテは【3-2-3-18】で単複の回収率はともにプラス域をマーク。キズナも【2-0-2-3】で単勝回収率131%を記録している。

離された2位はキングカメハメハ。単勝回収率は128%と妙味の面ではディープインパクトを上回っている。京都開催のマイルCS(2013年以降)では意外にも17年エアスピネル(2番人気2着)しか馬券に絡んでいない。このコースで挙げた13勝中、9勝が逃げ・先行。キレる馬よりは前目で粘れる馬が狙い目である。

3位に続くのが11勝でダイワメジャー。京都開催のマイルCS(2013年以降)では【0-1-0-10】と、馬券に絡んだのは13年ダイワマッジョーレ(3番人気2着)のみである。ただ、同馬以外の10頭は全て6番人気以下であり、このデータだけでマイルCSに不向きだと判断するのは早計だろう。狙い目はGⅡで、成績は【1-3-1-5】で複勝回収率169%とヒモには入れておきたい存在だ。

アドマイヤムーンが9勝で4位にランクイン。OP以上では【1-0-0-18】と厳しい数字が並んでおり、狙い目は下級条件。3勝クラスでは【3-2-3-8】で複勝率50.0%と抜群の安定感。2勝クラスでは【3-2-1-11】で複勝回収率116%、1勝クラスでは【2-2-0-6】で複勝回収率232%と妙味も兼ね備えている。

今年のマイルCSでは、エルトンバローズがディープブリランテ産駒、バスラットレオンがキズナ産駒、セリフォスがダイワメジャー産駒に該当。セリフォスは親子でのマイルCS連覇の偉業達成なるか注目である。その他、シュネルマイスターの父・Kingmanは【1-0-0-1】、ソウルラッシュの該当するルーラーシップは【0-3-2-24】、ナミュールが該当するハービンジャーは【1-8-10-45】だ。

川田騎手が下級条件で圧巻の成績

京都芝1600m(外回り)・過去10年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<京都芝1600m(外回り)・過去10年の騎手別成績>
川田将雅【21-10-11-55】勝率21.6%/連対率32.0%/複勝率43.3%
松山弘平【15-5-11-82】勝率13.3%/連対率17.7%/複勝率27.4%
武豊【13-13-9-59】勝率13.8%/連対率27.7%/複勝率37.2%
池添謙一【9-11-2-71】勝率9.7%/連対率21.5%/複勝率23.7%

最後に騎手別成績について見ていく。

トップは21勝で川田将雅騎手。京都開催のマイルCS(2013年以降)は【0-1-1-5】と意外にも未勝利だ。下級条件での活躍が目覚ましく、1勝クラス【5-3-1-14】で勝率21.7%、単勝回収率203%、2勝クラス【8-3-3-9】で勝率34.8%、単勝回収率114% と圧巻の値が並んでいる。距離短縮ローテと相性が良く、【9-4-3-20】で勝率25.0%、単勝回収率は141%とプラス域だ。

2位は15勝で松山弘平騎手。京都開催のマイルCS(2013年以降)では【0-0-0-3】と未だ馬券に絡んだことがない。狙い目はGⅡ、GⅢ。この条件では【2-2-3-16】で複勝回収率154%と黒字域をマークしている。また1勝クラスに滅法強いのも特徴で、【8-0-1-23】で勝率25.0%、単勝回収率305%を記録している。

3位は京都の鬼・武豊騎手。京都開催のマイルCSは12年サダムパテック、13年トーセンラーで連覇を果たしている。末脚を生かす騎乗に長けており、騎乗馬が上がり3F最速を記録したときは【8-2-3-2】で勝率53.3%、単勝回収率242%を記録。前走上がり3F最速の馬でも【3-1-2-11】で勝率17.6%、単勝回収率96%となかなかの高水準だ。

4位は池添謙一騎手。マイルCSは03、04年デュランダル、11年エイシンアポロン、19年インディチャンプで4勝を挙げている得意レースだ。デュランダル等の活躍で追込のイメージが強い池添騎手だが、妙味があるのはその逆。逃げ馬に騎乗したときは【4-2-0-2】で複勝率75.0%、単勝回収率570%、複勝回収率408%と妙味たっぷりである。前走逃げた馬に騎乗したときでも【1-3-0-2】で単複回収率は200%オーバー。見かけたら必ず馬券に入れておきたい。

今年のマイルCSでは、川田騎手がセリフォス、松山騎手がセルバーグ、池添騎手がソーヴァリアントに騎乗予定だ。シュネルマイスターに騎乗予定のルメール騎手は【8-10-7-29】で十分好成績なのだが、他のコースに比べるとやや見劣りする。ソウルラッシュに騎乗予定のモレイラ騎手は【1-0-0-5】、ナミュールに騎乗予定のムーア騎手は【3-2-2-6】となっている。

京都芝1600m(外回り)のコースデータ,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。新歓情報はTwitterにて更新(@ut_horsemen)。

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