開幕前に4人の外国人選手が支配下登録を勝ち取る
3月31日にホセ・フローレス(ロッテ)とナティーノ・ディプラン(巨人)の2人が支配下登録された。
開幕が4月24日以降に延期されたこともあり、見極める時間が増えたようにみえたが育成契約の外国人選手についてはあてはまらない。育成契約の規定では、初年度26歳以上の外国人選手に関しては、3月末日が支配下登録の期限となっているからだ。開幕が延期してもこちらの期日の変更はなく、この日が期限最終日だった。
これで今年は2月1日の春季キャンプが始まってから、イスラエル・モタ(巨人)、モイセ・シエラ(中日)、フローレス、ディプランと、合計4名の外国人選手が支配下登録を勝ち取ったことになる。各選手とも、まずは第一目標は突破した。ここからは外国人枠争いを勝ち抜き、開幕一軍、そしてレギュラーや先発ローテーションといったさらなる高みを目指していくことになる。
では、過去開幕前に育成契約から這い上がった外国人選手たちは、その初年度からチームの戦力となっているのだろうか。育成契約制度が始まった2006年から振り返ってみたい。
ハウザーとバリオスが中継ぎとして結果
2006年から2008年までは、開幕前に育成契約の外国人選手が支配下登録されることはなかった。初めて開幕前に支配下登録を勝ち取ったのは、2009年のフアン・ムニス(ロッテ)。以降、昨年までに合計7名が開幕前に支配下登録されている。
そのなかで結果を残したと言えるのは2012年のジム・ハウザー(楽天)と2015年のエディソン・バリオス(ソフトバンク)の2人だけしかいない。ハウザーは、この年58試合に登板し22ホールドをマーク。防御率3.17と中継ぎの一角として結果を残している。この活躍もあり、翌年の契約も勝ち取った。
一方のバリオスは少し例外的な部分もある。バリオスは前年もソフトバンクで支配下登録選手としてプレーしていたが一度退団。年が明けてから育成契約を締結した後に、再び支配下登録された。それでも、30試合に登板し中継ぎとして20ホールドを挙げる活躍を見せている。
その他の選手たちは初年度から結果を残すことはできず、フアン・ムニス(ロッテ)、フアン・デレオン(ソフトバンク)、ルイス・ヒメネス(楽天)の3人は一軍での出場も叶わなかった。とくに野手はひとりも一軍出場を果たしておらず、その厳しさを物語っている。
シエラとモタの2人はともに一軍入りのチャンス
これまでの歴史を振り返ると、開幕前に支配下登録を勝ち取っても、初年度から結果を出すことは決して簡単なことでないということがわかる。
しかし、今年は例年と事情が少し異なる。新型コロナウイルスによる開幕の延期や東京オリンピックの中止によって未だに日程が不確定な状況で、例年に比べると選手たちは調整に苦労することは間違いない。主力選手たちのコンディションが整わなければ、彼らにもチャンスは巡ってきやすくなる。もちろん、自身もコンディション管理を行った上ではあるが。
当然、現時点の外国人枠にも左右されてくる。とくにシエラは同じ外国人野手のソイロ・アルモンテが故障で出遅れたことでチャンスは大きい。アルモンテはすでに二軍で復帰しているものの、一軍での出場はここまでない。開幕の時期にもよるが、シエラが一軍で起用される可能性は高そうだ。
また、モタもチームの外国人野手がヘラルド・パーラひとりだけとチャンスはありそうだ。支配下登録後は一軍のオープン戦で苦しんだものの、二軍の紅白戦で本塁打を放つ活躍。再び一軍昇格へのアピールを始めている。パーラが不振となれば、チャンスは巡ってくるはずだ。
開幕前に支配下登録を勝ち取った外国人選手たちは、シーズンでも同様の結果を残すことができるだろうか。過去の歴史を覆すような活躍に期待したい。