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犠打と犠飛は何が違う?打数に含まれない理由も解説 いまさら聞けない野球のルール

2020 2/18 17:00SPAIA編集部
イメージ画像ⒸRichard Paul Kane/Shutterstock.com
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犠打と犠飛の違い

野球用語の犠打と犠飛。両方とも自分を犠牲にして出塁者を先に進めるための戦略だが、いったい何がどう違うのだろうと、不思議に思う方も多いのではないだろうか。犠打と犠飛の違いや注意点を解説する。

犠打とは、広義の意味ではバッターが自分自身を犠牲(アウト)にして、走者を先に進めるプレーを指す。犠打、もしくは犠牲打と言い、犠牲バントや犠牲フライといった進塁打などが挙げられる。個人でプレーする競技においては、自分自身を犠牲にして誰かのために働くなどあり得ないこと。犠打は、野球がチーム戦だからこそ取り入れられた戦略の一つだと言える。

犠打の中にも犠牲バント、犠牲フライ(犠飛)、進塁打といくつかの種類がある。犠牲バントは狭義の意味での犠打のことであり、打撃記録の一つでもある。打者の記録に犠打とある場合は全て犠牲バントをした記録なのだ。犠飛は外野まで届いたフライ性、ライナー性の打球によって、走者がタッチアップで本塁に到達した場合に記録される。

野球に関する情報を正しく知るためにも、犠打と犠飛、それぞれの違いを把握することは大切だ。犠打と犠飛の違いが重要なのは、記録が犠打であるのか、それとも犠飛であるのかによって、個人成績が変わってくるからだ。

犠打や犠飛は打数に含まれないため、犠牲打がどれだけ増えても打率が下がることはない。しかし出塁率に関して言えば、その計算式が「(安打数+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)」となり、分母に犠飛数が含まれているため、犠飛数が多くなればなるほど、出塁率は下がるという特徴がある。犠打は計算式に含まれていないため、出塁率に影響を与えることはない。

ちなみに、進塁打は広義の意味では犠打と同じ意味合いで用いられ、狭義の意味では、犠牲フライでも犠牲バントでもないが打者のアウトと引き換えに走者を進塁させた打撃を指す。 野球規則に進塁打の記載はなく、公式記録にも残らない。

打数に含まれない理由は

打数の計算式は「打席数-(犠打+犠飛+四死球)」。ボールを打つことなく出塁する四死球が打席数から除かれるのはわかっても、「なぜ犠打や犠飛まで引かれるのか?」と疑問に思うかもしれない。

なぜ犠打や犠飛が打数に含まれないのかというと、自分の安打を犠牲にして走者を進めたことが理由になる。チームとして勝利するために自身の打席を犠牲にしたと考え、その場合は打数に含めず、打率にも影響しないという仕組みになっている。

打席を犠牲にしたと認められるためには走者を進塁させなければならない。失敗すれば、当然打数は増え、打率にも影響を与える。

犠打・犠飛になる場合とならない場合

犠打と犠飛について基本的な知識を頭に入れても、意外と難しいのが犠打・犠飛の見極め。

犠飛は、外野に向けてボールを打ち、その機会を使って走者が得点した場合に犠飛として認められる。得点できなかった場合、犠飛としては認められない。また打球が「内野」へのフライであった場合も、得点の有無にかかわらず犠飛とは認められない。

犠打になるのは、自分がアウトになり、その間に他のランナー全員が進塁した場合。ランナーが2人以上いる場合は、1人でも進塁を失敗すると、犠打としては認められない。またバントがヒットになった場合も、犠打としては認められない。

送りバントを失敗した場合には、犠打ではなく内野ゴロとして記録される。

広義の意味と狭義の意味の言葉が広く使われているため、意外とわかりにくいのが犠打と犠飛。いったいどのような場面で犠打・犠飛と判断され、それぞれがどう違うのか、わからないまま放置してきた…なんて方も意外と多いのではないだろうか。犠打や犠飛を確実にできるかどうかは、チームの勝利と選手自身の個人成績にも関わってくる。こんなところにも注目しながら、ぜひ野球の試合を楽しんでもらいたい。