箱根のジンクスは
今や大学駅伝界の顔となった原監督は、名門の広島・世羅高出身。大学は中京大に進み、中国電力へ就職した。今でこそ中国電力は強豪であるが、当時は違った。原監督が主将の時に全日本実業団駅伝に初出場。ただ、原監督はケガの影響もあり、20代で引退した後は営業マンなどで働いていた。そういった経歴があるから、指導者の中では異質な感じに映るのである。
陸上の長距離選手にはストイックな自己管理が必要になる。あの細い体を見れば分かると思うが、大学ではどうしても選手を管理する方向に走ってしまう。
だが、社会人経験が豊富な原監督は締め付けすぎず、緩ませすぎずの「手綱さばき」がうまい。締め付け一辺倒ではないから、雰囲気もよくなり、いい選手が高校から入るようになる。
レース前には今や恒例となった原監督のコメントもある。いつも「○○大作戦」と銘打つのだが、今季は出雲で「青山祭大作戦」、全日本で「陸王大作戦」を掲げたものの、いずれも不発に終わった。今回の箱根はいかなる大作戦をぶちまけるのだろうか。
さすがに出雲、全日本と連続で優勝を逃し、原監督の表情も厳しさを増しているが、やはり選手層の厚さ、ロードや駅伝への強さ、そして何より一区間20キロを走るという箱根への適性は、今季も青山学院大が一番ではないかと思われる。
箱根のジンクスも青山学院大を味方する。箱根の連覇記録は中央大の6、日体大の5、日大、順天堂大、駒沢大の4があるが、3という連覇記録はない。これは、3連覇したチームは全て4連覇以上に記録を伸ばしているということだ。青山学院大は現在、3連覇中。ジンクス通りいけば、今回も青山学院大が勝つことになる。