元「日の丸ランナー」が箱根へ
2年ぶり2度目の出場となる東京国際大の渡辺和也は1年生。だが、年齢は30歳。異色の経歴である。
兵庫県西宮市出身。陸上の名門・報徳学園高を卒業後、2006年に実業団の山陽特殊製鋼に進んだ。2010年には四国電力に移籍し、翌年には世界選手権大邱大会の5000メートルにも出場した。いわゆる「日の丸ランナー」である。
だが、2013年に日清食品グループに移籍してからは結果が出せず、戦力外に。そして、「将来、指導者になるために」と、大学に進んだ。
日本代表にもなったことがあるだけに、元々の力は抜きんでている。自己ベストは1500メートルが3分38秒11(日本歴代2位)、5000メートルが13分23秒15、1万メートルが27分47秒79。このタイムで走れる日本選手は、今の大学陸上界にはいない。
とはいえ、ブランクもあるし、箱根駅伝特有の一区間あたり20キロという距離は渡辺には少々長い。
10月に行われた箱根駅伝予選会では全体の139位。チーム内でも9番目というタイムは、渡辺の持つタイムからすれば、期待はずれの感は否めない。
箱根の予選会から本戦に出場できるのは10チーム。東京国際大は予選会10番目のタイムで本戦に滑り込んだ。10番目に自らの大学の名前が呼ばれるのを聞いた渡辺はこう語っている。
「今まで体験してきた駅伝の中で、一番最高の喜び」
高校時代は全国高校駅伝を経験。実業団時代には駅伝日本一を決めるニューイヤー駅伝にも出場しているが、30歳で初めて迎える箱根に、喜びもひとしおのようだ。
12月29日に発表された区間エントリーでは補欠に回った。だが、その実力から見れば、当日の選手変更でどこかの区間を走るのは確実だ。
現在は10歳ほど年の違う選手たちと寮で暮らすオールドルーキーがどんな走りをみせるだろうか。