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横綱日馬富士が暴行か 謎を深める貴乃花親方の行動(2)

2017 11/20 11:16きょういち
大相撲
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出典 marigold-y / Shutterstock.com


<横綱日馬富士が暴行か 謎を深める貴乃花親方の行動(1)>


日馬富士の暴行疑惑が報じられてからというもの、最初は日馬富士が一方的に悪いという風潮だった。日馬富士は引退、廃業すべき、という声がネットにはあふれていた。さらに、日本相撲協会がその事実を隠蔽しようとした、それに対して貴乃花親方が異を唱えているという印象を持つ人が多かったと思う。

たしかに暴力をふるったことは事実のようだし、それ自体は許されるものではない。ただ、時間が経つにつれ、少しずつ違和感を覚えるようになったのも事実である。その原因の一つが貴乃花親方の言動である。マスコミに対してほとんど口を開かないが、彼の行動が少しずつ分かってきた。


・10月下旬に鳥取県警に被害届を提出
・11月3日、日本相撲協会の聞き取り調査に「分からない」と答える
・被害届を取り下げる気持ちはない、と日本相撲協会に伝えている


もし、相撲協会が暴行を隠蔽しようとしたのなら問題だが、むしろ、貴乃花親方が相撲協会に詳細を伝えていないように思える。被害届を出しながら、聞き取り調査に「分からない」と答えるのが、まさに「分からない」と言える。今回の暴行疑惑で、ここが一番の謎である。

伊勢ケ浜親方からは電話を含めて、3度謝罪があったとされる。九州場所直前にあった理事会でも謝罪があったが、貴乃花親方はその時にそれ以上の話題にしようとしなかった。

さらに、貴ノ岩のケガの状態である。暴行を受けた後も、巡業で相撲を取り、さらに九州場所の宿舎がある田川市の市長も表敬訪問している。それなのに、いきなりの休場。頭のケガだから、後日痛みを感じてくるということもないわけではないだろうが、でも、不思議である。

また、鳥取県警に出した診断書には骨折については書いていないが、相撲協会に提出した診断書は骨折の疑いが書かれていた。記載内容が違うというのも不思議である。

さらに骨折についても、あくまで「疑い」で、医師は九州場所に出場しても問題ないという判断だった。医師も「重傷であるように報道されていることに驚いている」とコメントしている。

本当にビール瓶で殴ったのか

そして、ビール瓶で殴ったのが本当かどうかも分からなくなってきた。モンゴル出身の元横綱で、自身も一般人への暴行が原因で引退した朝青龍は「ビールびんありえない話し!!」とツイートした。さらに、口を閉ざしていた白鵬が11月16日に当時の様子を語り始めた。それによるとこうだ。


・白鵬が暴行の現場にいたのは事実
・日馬富士はビール瓶では殴っていない
・ビール瓶を持ったが滑って落ちた
・貴ノ岩に馬乗りになって殴ったというのも事実ではない
・その場で貴ノ岩が謝った
・さらに後日、貴ノ岩が日馬富士に謝罪


そして、鳥取県警の事情聴取に対し、日馬富士は素手で殴ったことは認めているものの、ビール瓶の使用は否定している。

白鵬はその場にいたことを認めているのだから、白鵬の目撃証言が有力かもしれない。ただ、同席した関係者の中には、ビール瓶で殴ったと証言する人もいるという。さらに言えば、日馬富士と白鵬が口裏を合わせている可能性も否定できないし、酒の席でのことだから、どこまでちゃんと覚えているのかも分からない。

結果として言えば、何が真実なのかがよく分からないのである。

理事選を目論んでの行動か

暴力が悪いということは間違いないが、なぜ貴乃花親方の行動が不可解なのか。その疑念に対しては、早くから来年初場所後にある理事選と関係するのはないかと言われている。

相撲協会の理事長は八角親方。ちなみに、前回の理事長選では貴乃花親方が立候補し、伊勢ケ浜親方がそれを支持した。2人は反八角派でつながっていた。ただ、その後2人の関係は崩れたと報じられている。その理由ははっきりしない。

いずれにせよ、貴乃花親方が現在の執行部に半旗を翻しているように思われる。貴ノ岩のケガを利用し、自らが理事長の地位を狙っているのではないかとみる関係者もいる。

今回、この疑惑を最初に報じたのがスポニチというのも微妙な感じである。

貴乃花親方はスポニチの解説を務めるなど、その蜜月ぶりは有名である。実は暴行疑惑についてはマスコミ各社噂を聞いていたらしいが、裏が取れたのはスポニチのみ。貴乃花親方以外から裏を取るのが難しいだけに、当初から貴乃花親方のリークではないかと言われている。もちろん、真実かどうかは分からないが。

まだ全容が分からない日馬富士の暴行疑惑。何が真実なのだろうか。