中島翔哉はカタールでどう変わったのか? 誰の目にも明らかな進化、そして絶対にブレない思考 | SPAIA

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中島翔哉はカタールでどう変わったのか? 誰の目にも明らかな進化、そして絶対にブレない思考


3月25日(月)13時6分配信

「カタールには成長するために行った」


日本代表で攻撃の中心を担う中島翔哉は、この冬にカタールリーグへの移籍を決断した。様々な憶測や懸念が渦巻く中でも結果を残し、新たな挑戦を心から楽しんでいる24歳は中東で何を学び、成長しているのだろうか。(取材・文:舩木渉)

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相変わらずプレーに迷いがなく、サッカーを純粋に楽しんでいる。言い方は悪いが、中島翔哉は24歳になっても“サッカー小僧”のままだ。練習中も暇があればボールと戯れ、いつでも笑顔を絶やさない。


22日のコロンビア戦には背番号8を着けて先発出場し、これまでと変わらず日本代表の左サイドから絶大な存在感を放った。だが、前半と後半ではプレーの質に変化があったように感じた。守備での気の利いたポジショニングは前半以上に目につき、自らのボール奪取や味方からのパスを受けて積極的にドリブルで仕掛けてシュートまで持ち込む。


流れが悪くなった中でも、なんとか状況を打開しようとする。そこにどんな意図があったのか、あるいは自ら前向きな姿勢を示すことでチームに対して発信したいメッセージがあったのではないか。コロンビア戦翌々日となった24日の練習後、中島にそんな質問をぶつけてみた。

「発信……発信はないですね(笑)。僕よりも全然サッカーを知っている、経験のある選手たちがたくさんいるので、そういう選手たちに頼りながら、自分のできることをもちろん全力でやっています」


いい意味で「深く考えていない」と言えばいいのだろうか。この答えを聞いて、まるで彼のドリブルにかわされて尻もちをつかされたようだった。しかも、自分があっさり置いていかれたことに、「あ…やられた」と数秒後まで気づかないくらいの圧倒的なスピードで。


とはいえ中島の振る舞いが日本にとって効果的に働いていたことに疑いはない。カタールのアル・ドゥハイルへ移籍して、チーム内での役割もポルティモネンセ時代とは違う中で、新たに掴んだ感覚があるのかもしれない。


カタールで取り組んでいることが自分のプレーにどう影響しているかと問われると、中島は「いやもう、全てです」と言い、「カタールではより早い判断が必要になってくると僕は思っているので、そういう早い判断の中での精度だったりとか、ラストパスだとか、ドリブルのスピード、そういうのは日々勉強になっています」と攻撃面でのポジティブな変化にも言及した。

「カタールには成長するために行った。より成長して、よりサッカーを楽しくやるためにカタールでプレーすることを決めたので、それはすごくできていると思いますし、充実したいい成長ができているんじゃないかなと思います」

アル・ドゥハイルの攻撃の柱として


いったい彼の中にどんな変化が起きているのだろうか。表面的なプレーを分析するだけでは感覚派の24歳の頭の中を理解するのは難しいかもしれないが、確かにアル・ドゥハイルで背番号10を任され、攻撃の全権を握る中で見えてきたものはあるはずだ。


最近のカタールでの中島は、3-4-2-1の2シャドーの一角に入ることが多い。攻撃時はフリーロールとして様々な場所に顔を出し、これまでのように左ウィングの位置からドリブルでカットインする十八番の形を見せることもあれば、中央でパスによるチャンスメイクを試みる場面も見られる。


特に中央でのプレーは絶品だ。ボールを持てば相手のディフェンスが1人ないし2人寄せてくるが、それを軽業師のようにかわして前進したり、十分に引きつけて両ワイドに走ったフリーの味方へサイドチェンジのロングパスを通したり、「どうしてそこが見えているんだ!?」と驚くような視野の広さと判断速度でフィニッシュを演出する。


思えばFC東京時代、今よりもドリブラーとしてのイメージが強かったあの頃は、ボールを持つとなぜか相手選手が多くいるエリアに自分から突っ込んでいってしまうような印象が強かった。それがポルティモネンセで判断スピードの向上とともに、本来持っていた視野の広さを生かしてドリブル、パス、シュートと自分の強みでもある選択肢を効果的に生かせるようになっていった。


そして最近は攻撃陣にアジア屈指のタレントを揃えるアル・ドゥハイルで絶対的な柱として信頼を寄せられ、ゴールもアシストもできる万能アタッカーに成長している。「元からシュートは遠目でも打つというのは、10代の頃からやってきました。やっぱり決めなければいけないですけど、シュートを打たないと入らない部分もあるので、それはどんどんチャレンジしていけたらいいと思いますし、味方がいい動きをしたらパスを出すということも、もちろん考えているので両方やっていきたい。両方の精度を高めていきたいなと思います」と、純粋にサッカーが上手くなることを目指して日々を過ごせている。


守備面での成長も目を見張るものがある。ポルティモネンセ時代は攻撃から守備に切り替わる局面でも、左サイドに攻め残って、次の攻撃で起点になるための役割を任されていたが、アル・ドゥハイルではチーム全体の守備組織の中でしっかりと与えられた仕事をこなさなければならない。

カタールリーグは本当に質が低いのか?


中島も「アル・ドゥハイルで監督にすごい言われる」と守備面での要求が存在していることを明かし、コロンビア戦後には「それがすごく成長に繋がってますし、自分もいつもよりというか、これまでの代表よりボールを奪えていた」と手応えも語っていた。さらに「そういうのを求めてカタールに行った」とも。


アル・ドゥハイルは守備に回ると5-4-1の形で相手ボールホルダーを追い込んでいく。2シャドーの選手は両サイドに出て「5-4-1」の「4」を支えることになるが、そこで中島は主に左に開いて自らのタスクをこなす。


かつてジョゼ・モウリーニョの副官として戦術面を任されていたルイ・ファリアがアル・ドゥハイルの監督を務めていることもあり、チームには攻守において比較的整った組織ベースの戦い方が植えつけられている。つまり守備においても1人ひとりが組織を破綻させないような意識を持ちながら走らなければならない。


中島も常に首を振って、自分がふさわしいポジションに立っているか確認し、ある時は微調整しながら、ルイ・ファリア監督に教え込まれたプレーを実践している。守備的な戦いを好むモウリーニョの右腕を務めていた男が要求するプレーのレベルは、欧州のトップレベルと比較しても遜色ない基準になっていると言えるだろう。


ポルティモネンセで中心選手として欧州のビッグクラブからも注目を集める存在になった中島が、カタールに移籍したことは物議を醸した。「中東に行って大丈夫なのか」「レベルが低いのではないか」など、様々な懸念があったのも事実だ。


ここで私見を述べさせてもらうと、カタール移籍はいい決断だったのではないかと思っている。アジアカップでカタール代表が優勝したことからも分かる通り、彼らのレベルは決して低くないし、むしろ日本代表よりも強いチームの一員かそれに準じるレベルの選手たちが国内リーグに多くいる。


そこで「彼らは欧州でプレーしていないから質が低い」と断じるのは早計で、なぜ海外に行かないかということに目を向ける必要もある。理由は単純だ。カタールリーグの給与水準が高く、生活が安定しているので、わざわざリスクを冒して欧州に渡る意味を見い出せていないから。これまでも欧州でプレーできるレベルの選手は中東にも多くいたが、彼らはやはり「安定」を選んだ。

サッカーを楽しむということ


さらに、中島は「外国人助っ人」としてカタールに渡っている。同国も含めた中東にはこれまでも多くの外国人選手が参戦したが、例えばシャビやガビ、ヴェスレイ・スナイデルのように世界トップクラスの選手がベテランになってからカタール移籍を選んでいる。他にも外国人選手として請われて移籍するのは、欧州トップリーグでもレギュラークラスでプレーできる質の選手たちが多い。


つまり「外国人助っ人」として求められるプレーのレベルは、国内組の選手よりもはるかに高く、欧州の一線級と同等のものが最低限の要求としてあると見ていい。観客が少なかったり、リーグ内でのレベル差があったり競争力の面で多少の不安はあれど、欧州と遜色ないハイレベルなプレーが常に要求され、欧州の頂点を知る指導者からサッカーを学べて生活にも困らない環境は、サッカー選手としてある意味理想的と言える。


中島は自分の決断が間違いではなかったことを実感し、改めてこう強調する。

「お金のことは僕はそこまで気にしていないですし、ただアル・ドゥハイルが欲しがってくれたというのがすごく嬉しい。自分にとって一番魅力的なクラブだったから行かせてもらいました。生活面も最高です。すごく住みやすいですし、家族も来てくれているので、奥さんと2人で本当に幸せに暮らせていますし、それが一番大事ですね。それがサッカーにもつながってきますし。

(移籍したのは)一番は楽しそうだからですね。はい(笑)。他が楽しそうではなかったわけじゃないです。本当にいろいろなクラブが話をくれましたけど、(アル・ドゥハイルが)すごく自分に合っていると思いましたし、実際に決まるまで(カタールに)2回まで行っているんですけど、サッカーの面もサッカー以外の面も自分にとってすごく魅力的だったので、楽しくサッカーできるし、より楽しくサッカーやるために成長できると思ったので、移籍しました」


中島の思考の根底には常に「サッカーを楽しむ」という絶対にブレることのない軸がある。そういう意味で彼はカタールへ移籍しても何も変わっていない。「ドリブルもシュートもパスも、サッカーの要素は色々あると思うんですけど、それを全て楽しみたいと思いますし、ボールを持っている時も持っていない時も、より上手くなればなるほど楽しいものになっていくと思うので、サッカーそのもの、サッカーすることを楽しみたいです」と。


だが、プレーには確実に変化、そして成長が見られる。外野がネガティブな要素ばかり並べて憂慮していたアル・ドゥハイルでの挑戦は、彼にとってポジティブなものでしかない。今ピッチ上で表現されている中島の進化は、日本代表の明るい未来につながっていくはずだ。

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