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レスリングでの「階級」とは?

2016 10/12 03:34
レスリング
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Photo by Roka Pics/Shutterstock.com

諦めず立ち向かう姿が胸を打つ「レスリング」。 選手たちはマットに立つ前、まず階級という舞台に上がる。 今回はその「階級」とはどのようなものかをご説明する。

レスリングに階級がある理由とその起源

レスリングには、「階級制で行われ、既定の体重以内の選手によって争われる」というルールがあり、階級はこのルールに則って分けられている。このルールの目的は、体重の近い者同士を対戦させることにより、体重によるハンデキャップを解消させることにある。
この「体重別階級」は、19世紀の後半、無差別級のみで行われていたボクシングがヘビー級とライト級とに分かれたことから始まる。階級は次第に細分化され、ボクシングと同様にオリンピック種目だったレスリングも採用することとなったのだ。

どのような階級があるのか?階級の種類

レスリングの競技形式には、腰から下の攻防が禁止される「グレコローマンスタイル」と、全身が攻防に用いられる「フリースタイル」の2種類があり、それぞれに階級が設けられている。 「グレコローマンスタイル」は男子のみ公式競技が行われており、階級は、59、66、75、85、98、130kg級の6つだ。「フリースタイル」は、男子では、57、65、74、86、97、125kg級、女子では、48、53、58、63、69、75kg級の、それぞれ6階級がある。
なお、オリンピック以外の世界選手権などでは、これに各2階級ずつ加わり、それぞれ8階級で実施される。

階級の変遷

レスリングの階級は、かつてはボクシングのように階級名が付けられていた。戦後には、フライ、バンタム、フェザー、ライト、ウェルター、ミドル、ライトヘビー、ヘビーと、8つの階級名があったのだ。 その後、数値に改められた1969年には10階級となり、1997年からは8階級、2002年からは7階級と変化してきた。近年も国際レスリング連盟のルール改定により、階級は変遷を続けている。
最新では、2014年1月にアテネオリンピック以降に階級が変更され、2016年のリオデジャネイロオリンピックは新階級で実施された。

各階級での有名選手

記憶に新しいリオデジャネイロオリンピックでメダルを獲得した選手では、男子はグレコローマン59kg級の太田忍選手と、フリースタイル57kg級の樋口黎選手、女子フリースタイルでは、登坂絵莉選手(48kg級)、吉田沙保里選手(53kg級)、伊調馨選手(58kg級)、川井梨紗子選手(63kg級)、土性沙羅級選手(67kg級)がいる。
遡ると、男子では、1988年ソウルオリンピックのフリースタイル48kg級で優勝した小林孝至選手。女子では、アテネ、北京、ロンドンと、オリンピック3大会連続出場した72kg級の浜口京子選手、51kg級、56kg級、59kg級の3階級で世界王者となった山本聖子選手などが有名だ。

「階級分け」が選手にもたらすこと

さまざまな階級があることにより、選手は自身の体格に合わせた階級、もしくは目指す階級で戦うことができる。 55kg級の吉田沙保里選手も、1995年のジュニアオリンピックでは40kg級、2002年の世界学生選手権では59kg級で優勝している。伊調馨選手は56kg級から63kg級に上げた後に無敵に。山本聖子選手のようにさまざまな階級に挑戦することもできる。
また、階級変更をせざるを得ない場合もある。リオデジャネイロオリンピックから導入された新階級では、区分に大きな変更があり、吉田沙保里選手が連覇を続けてきた女子55kg級が消滅した。これを受け、吉田選手は新設の53kg級に変更し、見事銀メダルを獲得している。

まとめ

このように、レスリングにはさまざまな階級がある。 選手は毎日厳しいトレーニングに汗を流しながら、出場する階級に合わせた身体作りのため日夜努力を続けているのだ。 地道な毎日の積み重ねでようやく出場できる試合。見えない日々にも応援を送りたい。