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【2018年春高バレー】新戦術が予想される?駿台学園の注目ポイント

2017 11/10 12:24Mimu
バレー
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2016年はほとんど無敵だった駿台学園

2016年、男子高校バレー界で絶対的な王者であった駿台学園。インターハイ、国体、春高を制覇して3冠を達成しただけでなく、春高の準決勝、習志野高校戦まで1セットも落とさずに勝ち上がっていたのだ。
つまりインターハイ・国体では1セットも落とさず、この春高の準決勝で初めてセットを落としたということになる。もし春高でも1セットも落とすことなく優勝していれば、史上初の完全優勝となっていた。それくらい、圧倒的な存在であったのだ。

しかし、今年のインターハイでは、予選ラウンドこそ順当に勝ち上がるものの、決勝トーナメントではまさかの緒戦敗退。前年度の王者は、早々と姿を消した。
だが、10月の国体では東京代表の合同チームとして優勝を果たしていることからも、今年のチームも力があることはうかがえる。春高でのリベンジにも十分に期待できるだろう。

6年かけて培われたチームワークが武器

駿台学園の強みは、中高一貫の教育と、最新鋭のデータバレーだ。駿台学園は中等部もバレーの強豪であり、キャプテンの坂下純也(現:筑波大学)や主軸の村山豪(現:早稲田大学)など、昨年に高校3冠を達成した際のメンバーは、中学生時代にも全国大会での優勝経験がある。
そして彼らが高等部に上がり、1年生の時から試合に出場しながら経験を積んで、高校でも日本一のチームになることが出来たのだ。
今年のメンバーにも、中学からしのぎを削り合ってきたメンバーは多い。先輩たちの姿を5年間も見てきた選手たちだ。きっとインターハイの敗戦を糧にしてくれるだろう。

アナリストによるデータバレーにも注目

データバレーも駿台学園の強みである。駿台学園には、高校バレーでは珍しく「アナリスト(分析家)」がいる。それが、今年3年生になる吉田拓馬だ。もともとはプレーヤーとして入部したが、2年生の春にアナリストに転向した。

特に春高バレー決勝の大東亜学園戦では、彼の力が大きかった。東亜学園と言えば、同じ東京地区で何度も対戦している相手なのだが、最新の情報を集めるべく、吉田は東亜学園の大会初戦から準決勝までのプレーをすべて分析し、攻撃パターンの予想や、弱点となるコースを洗い出した。
睡眠時間は3時間ほどしか取れなかったそうだが、選手たちはサーブやスパイクでどこを狙えば良いかが明確になり、相手を圧倒して勝つことができたのだ。そして吉田は今年もアナリストとして活躍中している。彼のデータバレーがどこまで進化したかにも注目していきたい。

今年の駿台はツーセッター制?

今年の駿台学園は、多彩な攻撃パターンを持っている。そしてその中でも、今年の駿台を象徴する戦術と予想されるのが、ツーセッター制だ。10月に行われた国体では、伊藤洸貴・小出捺暉がお互いにセッターを務めるツーセッターで戦っていた。
東京代表と言うことで、東亜学園や早稲田実業、都立上野との混合チームであったが、この戦術で上手く相手を翻弄し、優勝を収めることが出来た。

ツーセッターは、セッターがアタッカーを兼任することが出来るので、それだけ攻撃の幅が広まるのがメリットだ。しかし、いざスパイクを打つ選手たちにとっては、セッター2人にそれぞれのリズムがあるため、それに合わせるための技術が必要になる。
さらに2人のセッターも、アタッカーを兼任するため、セッターの練習に割く時間が減ってしまい半端になりやすい。デメリットも大きく、高い技量を持ったチームでなければ成り立たない戦術なのだ。

どの選手も様々なポジションでもこなせるのが駿台の強み

だが、駿台学園ではそういった心配は必要ない。
普段から、各選手がどのポジションも出来るように練習を積んでいるからだ。前回の春高バレーの東亜学園戦でも、第1セットでミドルブロッカーだった伊藤とウイングスパイカーだった村山のポジションを丸ごと交換したり、第2セットでも、キャプテンの坂下を下げ、小出をウイングスパイカーとして起用するという大胆な采配をみせていた。
たとえ普段と違うポジションになっても、難なくこなすことが出来る選手たちがそろっている。ツーセッターといえど、彼らにとってはさほど難解な作戦ではないのかもしれない。データバレーに加えてこのツーセッターという戦術、どれだけ相手を翻弄することが出来るか、楽しみである。