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1stサーブ成功時のポイント獲得率100% 大坂なおみが故郷開催の大会で初優勝

2019 9/24 17:00中村光佑
2019東レ・パンパシフィック・オープン_大坂なおみ_優勝Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

故郷開催の大会で初優勝

大坂なおみが、生まれ故郷の大阪で開催された東レ・パンパシフィック・オープンの決勝戦に登場。対戦相手はロシアのA・パブリュチェンコワで、両者ともに東レでは初優勝をかけた試合であったが、大坂が6-2、6-3のストレートで圧勝した。過去2度にわたり決勝に進出した大会でようやく初の優勝を遂げた。

試合に入ると大坂は第1セット第2ゲームで幸先よくブレークを奪い、ストロークでも優位に立つ。大坂はパブリュチェンコワにブレークポイントを与えることなく、第8ゲームでもブレークを奪って第1セットを先取する。

第2セットでも第4ゲームでパブリュチェンコワの1stサーブを返し続け、リターンでプレッシャーをかけた大坂が先にブレークに成功。一方のパブリュチェンコワは大坂のサーブや力強いストロークの前に苦戦を強いられ、なかなかブレークを奪えない。第2セットでもピンチの場面がなかった大坂がそのまま勢いを保ち、2セットを通じてブレークポイントを許すことなくストレートで勝利。全米・全豪チャンピオンが格の違いを見せつけた。

1stサーブ成功時のポイント率が100%

この試合での両者のスタッツを振り返ってみる。

2019東レ・パンパシフィック・オープン_大坂なおみ対A・パブリュチェンコワ戦スタッツⒸSPAIA

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両者を比べてみると、大坂は全体的にスタッツでパブリュチェンコワを大きく上回っているが、注目すべきは1stサーブ成功時のポイント獲得率だ。なんと大坂は2セットを通じて1stサーブ成功時のポイント獲得率で100%を記録しており、ダブルフォルトも1度もなかった。

エース数は4と比較的少なく、1stサーブの確率自体も47%と決して高いわけではなかったが、強打が持ち味のパブリュチェンコワを大坂が強烈なバックハンドやフォアハンドのストロークで完全に封じ込めていた。

持ち味の強打を封じ込められたパブリュチェンコワは1stサーブ成功率、1stサーブ成功時のポイント獲得率も60%台をマークしており、決して悪い数字ではなかった。しかし、試合後のパブリュチェンコワが語った「大坂は素晴らしかった」という言葉はスタッツが裏付けているとも言え、ある意味パブリュチェンコワになす術がなかったと評しても過言ではないだろう。



父親との二人三脚でつかんだ栄冠

実は大坂は東レが開幕する直前、2月からコーチとして共に戦ってきたジャーメイン・ジェンキンスコーチを解任し、新任のコーチとの契約まで大坂の父親のレオナルド・フランソワと試合に臨むことを発表していた。

今年1月の全豪優勝の後にサーシャ・バインコーチと決別し、ジェンキンスコーチに代わってからは、ツアーの優勝から遠ざかり、得意の全米でも2連覇を果たせなかった。さらに今回のジェンキンスコーチの解任で大坂のコンディションを懸念する声が挙がっていたのは事実で、大会の序盤はサーブに苦しむ場面も見られた。

しかし、試合を重ねるごとに調子を上げ、自滅などもなく、準々決勝からは常に優位に試合を進めていた。三度目の正直でついに優勝を果たした大坂は試合後、「地元大阪で優勝できてうれしい」とほっとした表情を見せ、表彰式で優勝プレートを掲げながら笑顔を見せた。

23日に発表された世界ランキングでは、前週と変わりなく4位となっているが、故郷でつかんだ優勝は、大坂に何らかのきっかけを与えるかもしれない。WTAで獲得した4つ目のタイトルは思い出深いものとなった。