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ATPファイナルズ出場の意義とは 今シーズンの錦織出場の可能性は

2018 10/10 11:00SPAIA編集部
錦織圭,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

ATPファイナルズ出場の意義とは

Nitto ATPファイナルズ(以下ファイナルズ)とは、そのシーズン中に獲得したポイントで順位が決定される「ATPレースランキング」の上位8選手に出場権が与えられる大会で、シーズン王者を決める大舞台だ。

ただし、「ATP レースランキング」の9~20位にその年のグランドスラム優勝者がいた場合、「ATPレースランキング」の上位7選手と、グランドスラム優勝者が出場権を獲得する。

ファイナルズではまず2グループにわかれ、各選手3試合を戦うラウンドロビンが行われる。ここで敗退する選手でも3試合は戦うわけだが、1試合出場するだけで約20万ドルの賞金、1勝する毎にさらに約20万ドルの賞金とATPランキングポイント200ポイントが与えられる。

ラウンドロビン上位2選手は4名による決勝トーナメントに進む。準決勝で勝てば賞金62万ドルと400ポイント、決勝ですれば賞金128万ドルと500ポイントが得られる。全勝優勝すれば、271万ドルと1500ポイントが与えられることになる。

賞金の大きさもさることながら、大きな意味を持つのがポイントだ。トップランカーの選手たちにとっては、今シーズンの王者の座を争うのはもちろん、ここでポイントを稼げれば来シーズンのNo.1争いで大きなアドバンテージになる。

だからこそ、トップ選手たちはファイナルズ出場を目指す。錦織も来シーズンをランキング上位で戦うために、出場をあきらめてはいない。

錦織の出場は厳しい状況

錦織圭は楽天ジャパンオープン決勝でロシアのメドベージェフにストレート負けを喫したものの、全米オープンではベスト4に入るなど、完全復活まであと少しという状況だ。

ケガから復帰した今シーズン、錦織は「Nitto ATPファイナルズ」への2シーズンぶりの出場を目指しているが、まだ出場を確定させることはできていない。

錦織が今シーズン参戦予定の大会は残り3つ。ここで結果を残さなければ、シーズン最後に開催されるNitto ATPファイナルズへの出場権を逃してしまうのだ。

シーズン王者を決める戦いに臨めないばかりでなく、来シーズンのアドバンテージも逃してしまうことになる。

4選手がファイナルズ出場を確定。錦織は残り4枠に可能性

10月8日の時点での出場が確定しているのは以下の4選手。

ラファエル・ナダル(スペイン、7480pt)
ノヴァク・ジョコヴィッチ(セルビア、6445pt)
フアン・マルティン・デルポトロ(アルゼンチン、5210pt)
ロジャー・フェデラー(スイス、4800pt)

残る4枠の可能性があるのは以下の選手。

アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ、4410pt)
マリン・チリッチ(クロアチア、3815pt)
ケヴィン・アンダーソン(南アフリカ、3540pt)
ドミニク・ティーム(オーストリア、3525pt)
ジョン・イスナー(アメリカ、2930pt)
錦織圭(日本、2820pt)

ポイント差から言ってズベレフとチリッチはほぼ当確と見ていい。ティーム以下錦織までの4人で2つの席を競っている状態だ。

まずはパリ・マスターズ

ティーム、アンダーソンと錦織のポイント差は約700ポイント。小さい差ではない。そして終盤に差し掛かった今シーズン、錦織が出場予定の大会は上海マスターズ(マスターズ1000)、エルステ・バンク(ATP500)、そしてシーズン最終戦のパリ・マスターズ(マスターズ1000)だ。

マスターズの2大会では優勝者に1000ポイント、準優勝者に600、ベスト4で360ポイントが与えられる。エルステ・バンクは楽天オープンと同格だ。

錦織がファイナルズ出場を果たすためには、これら3大会で最低でも705ポイント以上を積み上げる必要があるが、その場合ティームとイスナーが上積みをしないという条件が出てくる。

だが上海マスターズにはティームとアンダーソンも出場が決まっており、エルステ・バンクとパリ・マスターズも、2人に加えイスナーも出場予定だ。

ライバルたちの勝ち上がり次第では、錦織の成績にかかわらず出場権を獲得できない場合もある。

錦織が3大会で全て優勝すれば確実に出場権を獲得できるが、それは少々非現実的。マスターズの2大会にはナダルやジョコヴィッチら、既にファイナルズ出場を決めた選手たちも出場する。

彼らがベスト4以上を占めつつ、そこに錦織が食い込み、ライバルたちは早期に敗退…これが現実的なシナリオだろうか。まずは上海マスターズでベスト4以上、できれば決勝進出を狙いたい。