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レジェンドの宝庫!テニス大国アメリカの選手たち【男子編】

2018 4/30 09:30跳ねる柑橘
アンドレ・アガシ
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マッケンロー、コナーズ、アガシ、サンプラス…レジェンドの宝庫アメリカ

フランス、スペイン、オーストラリア、そしてイギリス……テニス大国と呼べる国は世界にもいくつか存在する。もちろんアメリカもそのうちのひとつだ。1970~80年代にはジミー・コナーズやジョン・マッケンロー、80年代後半からはピート・サンプラスやアンドレ・アガシといったテニス史に名を刻むレジェンドを輩出してきた。そして2000年代以降はアンディ・ロディック、ジョン・イスナーやサム・クエリーなど、どの年代でも素晴らしい名選手が生まれ続けている。いま一度、アメリカ人名選手の功績を振り返ろう。

1970年代を席巻したアメリカ人選手

現在もテニス界に大きな影響を残しているアメリカ人男子のレジェンドと言えば、ジミー・コナーズとジョン・マッケンローだろう。
コナーズはマッケンロー、そしてスウェーデンのボルグ、チェコスロヴァキアのレンドルらと並び70年代~80年代を代表する名選手だ。グランドスラムを通算8勝しているが、それ以上に彼の偉業とされているのが、シングルス通算109勝という歴代最多記録(2018年4月14日現在)、そしてロジャ・フェデラーに更新されたものの、歴代2位となる世界ランキング1位連続保持記録160週という偉大な記録だ。

ジョン・マッケンロー

Photo by Photo Works/Shutterstock.com


もう一人のレジェンド、マッケンローは闘志あふれるプレーで人気を博したコナーズとは違い、審判へのクレームや悪態などを頻発する悪童として名を馳せた。しかしテニスの実力派コナーズに劣らず素晴らしく、シングルス、ダブルス両方で数々のタイトルを獲得した。グランドスラムはシングルスで7勝、ダブルスで9勝をあげている。彼の逸話と言えば1984年のシーズンのこと。このシーズンにマッケンローは14の大会に出場したが、なんとうち12大会で優勝。負けた試合はわずかに3つで勝率は驚愕の9割6分5厘だった。ウィンブルドンと全米で優勝、全仏でも準優勝とトップクラスの大会に出場してこれだけの勝率を記録したのだから、とてつもない選手だ。

90年代は華麗なアガシ、完璧なサンプラスが時代を彩る

80年代後半になると、新たなスターが続々とデビューを飾った。アンドレ・アガシとピート・サンプラスだ。

2017年からノヴァク・ジョコヴィッチのコーチを務めているアンドレ・アガシは、キャリア前半は金髪のロングヘア―をたなびかせ、コート内を縦横無尽に駆け回り派手にポイントを奪う、まさにスター選手だった。グランドスラムはコナーズと並び通算8勝。アガシと言えば切れ味抜群のライジングショットとスピンを使い分けた多彩なグランドストロークだ。相手のペースを乱すライジングショットをリターンから繰り出すことでラリーを自分のペースに持ち込み、強烈なストロークでとどめを刺した。後年、実はカツラをかぶっていたという驚きのカミングアウトをしたことでも知られる。

ピート・サンプラス

Photo by Photo Works/Shutterstock.com


男子歴代3位のグランドスラム14勝を誇るサンプラスは、現代テニス界で生ける伝説と評されるロジャ・フェデラーと同様に「完璧なオールラウンドプレーヤー」として知られる。サーブ、リターン、ストローク、ネットプレーのいずれもハイレベルでこなし、さらに各プレーで決め球を持っていた。弱点をあげるならクレーコートとの相性が悪く、全仏は一度も優勝することができなかった。派手なアガシとくらべてプレーが地味だとも言われたサンプラスだが、あらゆるプレーで完璧な姿は、フェデラーをはじめ多くのテニス少年のお手本となった。

Top20常連を何人も輩出

フランシス・ティアフォー

Photo by action sports/Shutterstock.com


サンプラスやアガシといった歴代ランキングに名が刻まれるレジェンドたちのあとを継ぐのが2012年に引退したアンディ・ロディック、そして現在現役のジョン・イスナー、サム・クエリー、ジャック・ソック、そして新鋭のフランシス・ティアフォーだ。

しかしアメリカ人男子選手でグランドスラムを制覇したのは2003年全米のロディックが最後。最近では2017年にクエリーがウィンブルドンベスト4に入ったのが最高成績だ(ソックはダブルス、混合ダブルスで1度ずつ優勝している)。ランクNo.1になった最後のアメリカ人選手もロディック。イスナーが9位、クエリーは11位、ソックの自己ベストが8位だ。これまで見てきた往年のレジェンドと比べると物足りないかもしれない。だが彼らはフェデラー、ナダル、ジョコヴィッチ、マリーという『ビッグ4』の時代に生まれ落ちた世代だ。そんな時代にあってトップ20の常連でい続けることもまた、トップ選手の証と言えるだろう。

ビッグ4がベテランの域に入り、彼らの時代が来る可能性もある。また1998年生まれのティアフォーは2018年現在ツアーランクTop100に入るアメリカ人男子の中で最年少選手だ。ずば抜けた身体能力でフランスのガエル・モンフィスを彷彿とさせるアクロバティックなプレーも見せる。あらゆる世代でトップ選手が生まれ続けるアメリカ。再びレジェンドが生まれる日も遠くないはずだ。