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実力派揃い!フランス人テニスプレーヤーたち

2018 1/10 12:13跳ねる柑橘
フィリップ・シャトリエ選手
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全仏オープンに名を遺すレジェンドたち

ウィンブルドンを除いたグランドスラム残りの3大会の会場のコートには、各国のレジェンドの名前が冠されている。全仏オープンが行われる、ローランギャロスもその一つで、センターコートの名前は“コート・フィリップ・シャトリエ”である。

フィリップ・シャトリエは、選手としては目を見張るような成績を残したわけではないが、その功績は引退後にある。1968年に当時別組織だったフランス国内のアマチュアとプロのテニス連盟を統合。
その後もフランステニス連盟の副会長や会長、さらにITF(国際テニス連盟)の会長も務めるなど、フランスのみならずテニス界全体の発展に貢献した人物だ。一度は除外されていた夏季オリンピックの正式種目にテニスが復帰したのも彼の功績のひとつである。

もう一人、全仏のコートに名前がつけられた選手がいる。スザンヌ・ランランだ。世界初のプロテニス選手でもある彼女は、オープン化前の4大大会でシングルス8勝を記録。白血病により39歳の若さでこの世を去ったランランは、フランスでは今も「テニスの女神」として敬愛されている。

テニス界のモハメドアリ、ツォンガ

現役の男子フランス人選手を代表するのが、ジョー=ウィルフィルード・ツオンガだ。錦織圭などとともにBIG4(フェデラー、ナダル、ジョコヴィッチ、マリー)に次ぐ勢力の1人として数えられてきた。

これまで全豪で準優勝(2008年)、母国の全仏でベスト4が2回(2013・15年)、ウィンブルドンでもベスト4が2回(2011・12年)、そして全米ではベスト8が3回(2011・15・16年)と素晴らしい成績を残している。ATPランキングの自己ベストは2012年の5位で、その後はトップ20の常連だ。
最大の武器は、恵まれた体躯から放たれるパワーあふれるサーブとフォアハンド。特にサーブは最速237km/hを記録するなど、規格外のパワーを持つ。2017年にツアー通算400勝をあげており、ベテランの域に入ってもまだまだ第一線で活躍する選手だ。

ツォンガと並ぶフランス男子の顔。モンフィスとガスケ

フランスにはツォンガと同世代に2人の男子選手がいる。ガエル・モンフィスとリシャール・ガスケだ。
モンフィスは1986年生まれで、曲芸師のようなプレーが特徴。長い手足と優れた身体能力を持ち、コート全体どこであってもカバーしてしまう。

またトリッキーなプレーやアクロバティックなプレーを得意としており、スマッシュやハイボレーはバスケットボール選手のような跳躍を見せる。全仏と全米でベスト4に入るなど、実力も折り紙付き。
ATPランキングの自己ベストは2016年の6位で、2017年にはツォンガ同様にツアー通算400勝を達成した。

ガスケもまた、グランドスラムでウィンブルドンと全米でベスト4入りの経験があり、ATPランキングの自己ベストは7位という実力者だ。
ツォンガやモンフィスに先駆けて2015年にツアー通算400勝を達成したほか、2017年のホップマンカップではムラデノビッチとペアを組み優勝すると、同年11月のデビスカップ決勝ベルギー戦にもダブルスで出場。見事勝利し、母国に優勝カップをもたらした。

フランス男子若手の星 ルカ・プイユ

フランスには期待の若手がおり、それは23歳のルカ・プイユだ。現在もトップを走るフェデラーやナダルを見て育ったプイユは、憧れの選手たちとのプレーを楽しんでいる。

2016年にはウィンブルドンと全米でベスト8に入り、9月のモーゼル・オープンでツアー初タイトルを獲得するなど飛躍を遂げた。2017年には4月にハンガリー・オープン(クレーコート)、6月にメルセデス・カップ(グラスコート)、そして10月にはエルステ・バンク・オープン(ハードコート)と異なるサーフェスの大会で優勝。さらにデビスカップ決勝ベルギー戦では、シングルスで1勝1敗。母国優勝に貢献した。

ストロークからボレーまでそつなくこなすことができるオールラウンドプレーヤーで、2017年の戦績の通り苦手なサーフェスも少ない。次世代のテニス界を担う存在として期待と注目が高まっている一人だ。

ダブルスだけでなくシングルスにも期待。ムラデノビッチ

女子の注目選手といえば、やはりクリスティナ・ムラデノビッチだ。1993年生まれの彼女はダブルスの才能を持ち、これまでにグランドスラム女子ダブルスで優勝が1回(2016年全仏)、準優勝が2回(2014年ウィンブルドン、2016年全米)、ベスト4が1回(2017年全豪)と、若手ながら素晴らしい成績を残している。

また混合ダブルスでも全豪で1回(2014年)、ウィンブルドンで1回(2013年)ずつ優勝したほか、2017年にはプイユとともに出場したホップマンカップでも優勝している。
184cmの長身から繰り出されるパワーあふれる打球が武器、サーブは時速200kmを記録したことも。弱点はメンタル面とされ、試合中に崩れてしまうこともあるが、これが改善されればシングルスでも躍進できると期待されている。

ムラデノビッチとともに躍進!ガルシア

ムラデノビッチと同い年、そしてペアを組み躍進したのがキャロライン・ガルシアだ。177cmとムラデノビッチほどではないが、長身を誇り力強いサービスとストロークを武器とする。
2016年には、ダブルスで同じフランスのムラデノビッチとペアを組むと、相性抜群のペアは大ブレーク。グランドスラム全仏と全米を含む8大会で決勝に進出し4回優勝した。その中の1勝が地元全仏オープンの女子ダブルスだった。

ガルシアはシングルスでも順調に成長し、2017年には全仏でベスト8に進出。10月には武漢と北京2週連続で優勝を成し遂げ、レースランキングトップ8入りが確定した。
WTAファイナルズに初出場を果たすと、予選のラウンドロビンも勝ち越してベスト4入り。フランス女子テニス界をムラデノビッチとともにけん引している。

ベテランと若手それぞれに魅力あるフランス選手に注目

テニスの選手生命も長命化しており、30代前半の3選手もまだまだ衰えは見えず、第一線での活躍が期待されている。またプイユやガルシア、ムラデノビッチら若手の躍進も目覚ましい。特に全仏オープンは母国開催ということもあり得意とする選手が多いが、全仏に限らずオールラウンドな活躍も近年みられるようになった。フランス人選手は今後もテニス界を沸かせてくれることだろう。