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テニス4大大会「グランドスラム」の優勝賞金について

2016 11/1 19:56
wimbledon tennis
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Photo by Leonard Zhukovsky / Shutterstock.com

テニス界の4大大会、通称「グランドスラム」の優勝賞金にスポットを当てたいと思う。国際テニス連盟(ITF)が開催し、テニストーナメントとしては最大の規模と最高の権威を誇る大会の賞金の詳細について紹介する。

グランドスラムの賞金額の概要

2015年の4大大会の優勝賞金はそれぞれ、毎年1月開催の全豪オープンが310万オーストラリアドル(当時のレートで約2.87億円)、5月開催の全仏オープンが180万ユーロ(約2.3億円)、6月の全英オープンが188万ポンド(約3.4億円)、8月の全米オープンが330万ドル(約4.7億円)となっている。
優勝した選手が総取りというわけでなく、準優勝選手も億単位の賞金を手にすることができる。仮に1回戦負けとなっても、全英オープンの場合であれば、2万9000ポンド(約528万円)が授与される。
渡航費や準備を含めた諸経費はたくさんかかるが、出場すること自体が、テニス選手として世界的な名誉であることがこれらの金額を見てもわかる。

男子・生涯獲得賞金ランキング

1位はノヴァク・ジョコビッチ(スロバキア) 1億2,026万620ドル(約108億7,700万円)、ここ数年無敵の強さを誇り、今年6月に前人未到の1億ドルを突破した。
2位はロジャー・フェデラー(スイス)で 9883万825ドル(約105億3,600万円)、3位はラファエル・ナダル(スペイン)7,822万4,222ドル(約83億3,900万円)、4位はアンディ・マレー(イギリス)で 4,947万1,297ドル(約52億7,400万円)、5位は90年代に活躍したピート・サンプラス(アメリカ)で 4 ,328万489ドル(約46億1,400万円)となっている。
1?4位までがいまも現役としてバリバリ活躍している選手たちで占められているので、4大大会のみならず、その前哨戦も含めたワールドツアーも含め、賞金は増額傾向にあることが見て取れる。
(2016年の全米オープンの賞金総額は、前年比で10%増。3年にわたって見てみると66%増)この先、この賞金の原資とも言える、入場料、放映権、スポンサー収入について詳しく分析する。

【グランドスラム賞金額上昇の背景】入場料

テニス人気の過熱ぶりに比例して、特に会場のキャパシティが大きくなっているわけではないが、2015年全米オープンでは、開幕から5日間で最速で30万人を突破した。1日6万人強、閉幕までに70万人以上が訪れ、2015年で世界最大規模のスポーツイベントになった。入場料収入は1億ドルを超えたとのこと。
準々決勝以降はチケット価格は高騰、スタンドで観戦するハリウッドセレブやNBA選手の姿が見受けられるようになり、お金持ちが見るスポーツとしての地位を築きつつもあるようだ。

【グランドスラム賞金額上昇の背景】放映権料

現地観戦するための「プラチナチケット」を手にするのはごく一部で、大半はテレビの向こうから観戦することになる。ただし、試合を放映するテレビ局も、莫大な放映権料を主催者側に払う形になる。
日本国内で1990年代から4大大会を放送し続けているチャンネルは、は有料放送のテレビ局「WOWOW」。全試合独占で放映するための権利は1大会およそ8億円、4大会合わせて年間32億円程度とも言われている。規模は違えど世界中で放映されていることもあり、賞金の原資としては大きなパーセンテージを占めている。
それだけ、テニスというスポーツが「お金を払ってでもみたいスポーツ」にまで進化したということだ。

【グランドスラム賞金額上昇の背景】スポンサー収入

どんなスポーツにせよ、主催者側の努力が最も収入に直結するのがスポンサー収入だ。
全豪オープンは韓国の自動車企業「KIA」、全仏オープンはフランスの大手銀行「BNPパリバ」などのメインスポンサーが存在している。また、近年ではUAE・ドバイを拠点として全世界にフライトを展開する「エミレーツ航空」、イタリアのコーヒーブランド「LAVAZZA」といった企業が、年間を通じてグランドスラム以外の大会もサポートに乗り出した。
この2企業に代表されるように、世界的に認知度が高く、資金面からも潤沢なサポートが見込めるインターナショナルな企業が、ここ最近はどんどんテニスの世界にスポンサーとして進出してきている。

まとめ

サッカーがさかんなヨーロッパですら、老若男女問わず夢中になるのがグランドスラム。巨大化するスポーツビジネスの波に乗る形で、大会規模も優勝賞金も膨れ上がっている。一方で、「テニス選手は賞金をもらいすぎではないか?」という議論もあるが、人々の目を惹き付ける熱いスポーツであることは間違いない。