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卓球Tリーグ開幕、男子は水谷・張本擁するKM東京が開幕戦白星

2018 10/29 19:05マンティー・チダ
Tリーグ,開幕式,ⒸT.LEAGUE
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ⒸT.LEAGUE

【前半】KM東京・水谷がダブルスで勝利し、大島は吉村とラリー戦を制す

国内初の卓球リーグ「Tリーグ」が開幕した。10月24日、開幕戦として男子のT.T彩たま(以下、彩たま)と木下マイスター東京(以下、KM東京)が対戦。4マッチ制(ダブルス1戦、シングルス3戦)で行われた。

第1マッチはダブルス戦(2ゲーム先取)、彩たま(#20チョン・ヨンシク、#33平野友樹組)VS.KM東京(#0水谷隼、#11松平健太組)。

第1ゲームは、7-7からKM東京・水谷のチキータが相手のアウトを誘いリードを奪うと、3連続で得点し11-7でKM東京がゲームを獲得。

第2ゲームは序盤から彩たまにリードを許すが、水谷のサービスが効果的に決まり9-8と逆転すると、続けてフォアハンドドライブが炸裂しリードを広げる。彩たま・平野にブロックを入れられるなど10-10となりジュースとされるが、水谷がスマッシュなどで13-11とし、第2ゲームを奪取。KM東京がゲームカウント2-0で第1マッチを制した。

第2マッチはシングルス戦(3ゲーム先取)、彩たま(#1吉村真晴)VS.KM東京(#22大島祐哉)。

第1ゲームは、吉村のサービスミスから大島が主導権を握る。3-7とリードされた吉村は、ラリーの末、フォアハンドを決めると、自慢のサービスで流れを手繰り寄せる。8-8の同点から一進一退の攻防が続きジュースになるが、大島がチキータで12-10としてゲームを獲得。

水谷隼,松平健太,ⒸT.LEAGUE

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第2ゲーム、出だしから吉村にリードを許していた大島が、チキータなどで得点を重ね6-6まで追い上げると、打ち合いを制するなど、5連続得点で11-6とし、第2ゲームを奪う。

第3ゲームではフォアハンドで攻めた吉村が7連続得点をするなどでゲームを奪い返すが、第4ゲームは、一転して大島がボールを拾い続けラリー戦に持ち込み、最後はチキータで11-6とした。KM東京・大島がゲームカウント3-1で第2マッチを勝利した。

【後半】KM東京・張本がウィンを3-0で勝利、水谷はシングルスで敗戦

第3マッチはシングルス戦(3ゲーム先取)、彩たま(#0ウォン・チュンティン)VS.KM東京(#17張本智和)。

第1ゲーム、立ち上がりから4連続失点を喫しリードを許した張本だったが、バックハンドドライブが決まり2点目を取ると、2-5からラリー戦、チキータ、バックハンドドライブなど多彩な攻撃で組み立て、9連続得点で11-5としてゲームを獲得。

第2ゲームに入っても、張本はバックハンドドライブ、チキータをコーナーに決めて5連続得点と勢いは止まらず、11-7で制する。

張本智和,ⒸT.LEAGUE

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第3ゲーム、張本は立ち上がりからウォンにラリー戦で失点を喫するなどで追いかける展開になるが、チキータからのフォアハンドドライブで流れを掴む。終盤に1点差まで詰められるが、最後はサービスで相手のアウトを誘いゲームを獲得。KM東京・張本がゲームカウント3-0で第3マッチを制した。

第4マッチはシングルス戦(3ゲーム先取)、彩たま(#20チョン・ヨンシク)VS.KM東京(#0水谷隼)。

第1ゲーム、5-5から水谷はフォアハンドや、サービスを効果的に入れ4連続得点で突き放すと、11-8でゲームを獲得。第2ゲームは、チョンが出だしから3連続得点で波に乗ると、水谷の得点を4点に抑え、ゲームを取り返す。

第3ゲームは、序盤から互いにサービスゲームで得点を重ねる。ウォンが4-3とリードすると、ラリー戦、強打、サービスを決めて優位に。11-6でゲームを制し、ゲームカウント2-1とチョンがリード。第4ゲームに入っても、チョンが優勢に進める。3点先行されたところで、水谷はタイムアウトを請求。タイムアウト後、水谷はラリーの末に1点を取り返すと、5-5まで持ち込む。チョンのサービスに対し2点を失うが、粘りを発揮し5連続得点で、11-7とゲームを制する。

水谷隼,ⒸT.LEAGUE

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ゲームカウント2-2のため、最終ゲームは6-6からスタート。まず攻勢に出たのが水谷だった。チョンが7点目を獲得後、水谷はフォアハンドを厳しい体勢から打ち切り同点とすると、ドライブも有効に決まり一気にマッチポイントを迎える。

しかし、チョンも3連続得点で10-10まで持ち込みジュースに。互いに11点目を取り合った後、チョンのサービスから、水谷のレシーブがネットにかかり12点目とすると、最後は水谷のチキータがネットとなり、試合終了。彩たま・チョンがゲームカウント3-2で第4マッチを制した。

これにより、マッチカウント3-1でKM東京が彩たまを下し、勝ち点3を獲得した。

「ああいう感じで負けるのが水谷隼」KM東京・水谷隼

「卓球を日本の国技にしたい」

Tリーグ松下浩二チェアマンは、開幕戦を両国国技館にした理由をこのように話した。

日本の卓球界は、近年五輪や世界選手権でメダル獲得ができるようになり、王者中国に次ぐ2番手の位置まで上がってきた。いや、戻ってきたという表現が良いのかもしれない。1952年に開催された世界卓球大会で、日本は初出場ながら4種目で優勝し、その後60年代、70年代と卓球界をリードしてきたが、1979年、世界チャンピオンに輝いた小野誠治さんを最後に日本人王者は生まれていないのだ。

現在の日本卓球界でトップに君臨しているのは、五輪を3度経験し、リオデジャネイロ五輪で日本人初のメダリストに輝いた水谷隼(KM東京)。

Tリーグ開幕前日に行われた記者会見の中で水谷は「気持ちが高ぶっている。開幕戦の為に1か月間準備をしてきた。初代王者を狙いたい」と意気込みを語った。そしてこの場で「現役引退するまで、Tリーグでやっていきたい」と日本で現役生活を全うすることを誓った。

水谷隼,張本智和Ⓒマンティー・チダ

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開幕戦は、第1マッチのダブルスと第4マッチのシングルスに登場。第1マッチは自らのフォアハンドドライブで勝負をつけた。「勝ちたかったけど残念ですね」と振り返った第4マッチのシングルスは、彩たま・チョンとの激しい戦いを繰り広げるが、残念ながら敗れた。

試合後、水谷は「オリンピックを3回経験しているが、緊張した」と明かし、「オープニングで嬉しくてウルウルしてしまった」と漏らした。チョンとのシングルス戦で敗れたことは「ああいう感じで負けるのが水谷隼」と自虐しながら「内容は良かったし、お客さんも喜んでくれたので良かった」と満足そうに話す。

これまで日本のトップ選手が、国内で試合をする機会を目にすることはあまりなかった。こうして「Tリーグ」が誕生したことで、水谷をはじめとしたトップ選手の真剣勝負を身近で感じる機会が増えたのが、今後の卓球界にとっても大きい。卓球からも目が離せない。