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炎鵬、村田ら十両を期す幕下力士が熱い 稀勢の里不在の7月場所を盛り上げる

2018 7/11 15:00SPAIA編集部
土俵,ⒸShutterstock.com
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明るいキャラクターで人気の豊ノ島、再十両を目指す

稀勢の里が休場した7月場所だが、横綱大関だけが力士ではない。大関以上に昇進していなくても、多くの人に応援される力士は何人もいる。かつて取組前に顔や胸を激しく叩く「気合い入れ」が人気を博した高見盛や、今ならスピード出世を果たした遠藤、多彩な技で相手を翻弄する宇良がそうだ。

明るいキャラクターでバラエティー番組にも出場し、大関クラスの人気を誇る元関脇の豊ノ島もそのひとりだ。

2016年7月場所前の朝稽古で左アキレス腱を皮下断裂して以来調子が上がらず、一時は幕下35枚目まで番付を落とした。3月場所、5月場所で勝ち越して、7月場所の番付は西幕下7枚目。再十両を見据えて、粘り強い相撲で土俵を盛り上げてくれるだろう。

元小結の常幸龍は、家族を守るため十両返り咲きを狙う

力士は十両になってはじめて給料がもらえる。部屋が衣食住を提供するので無給でも生活には困らないが、結婚して家庭を持てばそうはいかない。

禁止されているわけではないが、十両昇進前に結婚する力士はいない。しかし、十両や幕内に昇進した後に結婚し、その後幕下に下がってしまうことはある。元小結の常幸龍もそのひとりだ。

2012年に最速記録の所要9場所で新入幕を果たし、14年には小結に。翌年の初場所では日馬富士から金星を奪取するなど将来を期待されていたが、16年に右膝前十字靱帯の再建と半月板の手術を受け、2場所連続全休を経て三段目で復帰。常幸龍には金星があるため無給ではないが、家族と暮らすのに十分な収入とは言えない。

幕下は7番しか相撲を取らないため、幕下5枚目の常幸龍は5勝2敗で十両昇格がほぼ確実。状況によっては4勝3敗でも昇格できる。勝ち越して再十両、さらには幕内へ返り咲く足掛かりの場所にしたいところだ。

2017春場所「変化」でバッシングされた照ノ富士、稀勢の里同様けがをしていた

稀勢の里が2017年3月場所で奇跡の逆転優勝を果たしたことは、ファンのみならず多くの人の胸を熱くした。千秋楽本割の照ノ富士戦で、稀勢の里が選んだのは立ち合い変化。左肩を痛めた新横綱の「変化」を責めることはできない。

一方、対戦相手の照ノ富士は、前日14日目の琴奨菊戦で立ち合い変化の注文相撲により13勝目をあげて単独トップだった。琴奨菊の大関復帰を阻むことになった、この「変化」には非難が殺到する。

しかし、そのとき照ノ富士も左膝を痛めていたのだ。けがの詳細を公表しなかったため報道で大きく取り上げられることもなく、照ノ富士はブーイングやヘイトスピーチにさらされる。2017年11月場所では大関から関脇に降格。その後も負け越しや途中休場が続き、幕内優勝経験者として初めて幕下に転落してしまう。

7月場所に照ノ富士の姿はなかった。6月に東京都内の病院で両膝の手術を受けたのだ。それでも引退しないのは「自分はまだ相撲が取れる」という気概があるからだ。兄弟子の日馬富士がいなくなった今、伊勢ケ浜部屋を支えるのは照ノ富士だ。けがを克服し、十両、さらには幕内にまで復帰して、もう一度稀勢の里と対戦する姿を見たい。

白鵬の秘蔵っ子炎鵬、幕下筆頭の村田など、若手力士の台頭も見どころ

今場所の幕下はベテラン勢の動向に注目が集まるが、有望な若手も少なくない。なかでも注目したいのが炎鵬と村田だ。

白鵬の秘蔵っ子炎鵬は、169センチの体でデビューから連勝して注目を浴びた。十両昇進後初めての場所では4勝11敗と惨敗して幕下に転落。十両への返り咲きは実現するだろうか。

2017年に初土俵を踏み、目覚ましい成長を遂げている幕下筆頭の村田は、勝ち越せば十両昇進の可能性が高い。3月場所は5勝、5月場所では6勝を挙げた勢いそのままに、一番一番自分の相撲を取って十両昇進できるのか見守りたい。