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あの熱狂を日本で再び!女子ソフトボール五輪の復活とその歴史

2017 2/9 18:26
ソフトボール
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Photo by stuart.ford/Shutterstock.com

2016年8月3日国際オリンピック委員会(IOC)の総会にて2020年東京大会で、女子ソフトボールが2008年北京五輪以来の正式競技としての復帰が決定した。あの熱狂を次は日本で見られるのだ。五輪の正式種目になり、競技から外れ、再び東京五輪で復活を遂げるまでの歴史を紹介する。

ソフトボール五輪の歴史

1921年(大正10年)東京高等師範学校教授の大谷武一氏がアメリカ留学から帰国した際にソフトボールを学校体操科の遊技として紹介した。この出来事が日本のソフトボールの歴史の始まりだった。以降、普及が進み昭和24年3月にはソフトボールの日本協会が設立された。
五輪では、ソフトボールは女子のみの競技として1996年のアトランタ五輪から正式種目として選ばれた。当初は、アトランタ五輪限定だったが、2000年シドニー五輪、2004年アテネ五輪、2008年北京五輪まで開催された。残念ながら2012年ロンドン五輪では競技種目から除外となってしまった。

女子ソフトボール日本代表の五輪での活躍に熱狂

女子ソフトボール日本代表は、1996年のアトランタ五輪では、初めての五輪の予選リーグで当時の強豪国の中国を破る大金星を挙げたが、決勝トーナメントの初戦で敗れ、惜しくも4位に終わった。
2000年のシドニー五輪は、当時カリスマと呼ばれていた宇津木妙子ヘッドコーチがチーム率い、予選では無敵と言われていたアメリカを破り、全勝で決勝まで駒を進めたが、再戦となったアメリカに惜しくも逆転負けし、銀メダルに終わった。 2004年のアテネ五輪でも、打倒アメリカで望んだが、オーストラリアに敗戦し銅メダルで終わった。
2008年の北京五輪では、序盤に苦戦しながらも、エース上野由岐子選手の大活躍で何とか決勝まで駒を進め、宿敵であるアメリカとの接戦を制し、悲願の金メダルを獲得した。
五輪での活躍は、選手たちの努力の積み重ねから生まれたもので、強豪国から金星を挙げ、躍動する姿は見る者に感動を与えた。

ソフトボール五輪の正式種目から除外の理由

アトランタから北京まで4大会連続で行われたソフトボールは、2012年ロンドン五輪では、野球(男子のみ)と共に競技種目から外されてしまった。除外の理由は、その当時国際オリンピック委員会(IOC)が五輪の肥大化に歯止めをかけるという方針を掲げていた為だ。
競技種目除外を受けソフトボールと野球の関係者は、2016年のリオ五輪での競技復活を目指して、PR活動を続けてきたがIOCは認めなかった。競技種目からの除外については、日本やアメリカなどの一部の国以外の普及が少ないことがあげられた。関係者からは、ソフトボールにとって国を代表して争う大きな大会は五輪しかなく、五輪での開催により普及が図れるとして、異論が出された。

東京五輪へ向け復活PRを推進

2012年のロンドン五輪から競技種目を除外されてしまったソフトボールだが、東京五輪で野球と共に正式種目に復活させようと色んな著名人達がPRを推進してきた。
全日本野球協会(BFJ)、日本ソフトボール協会(JSA)、日本野球機構(NPB)は、正式種目復活のPRの為にキャッチボールプロジェクトというPR映像を作成した。
皆さんも長嶋茂雄さんから王貞治さんへキャッチボールしてリレーがはじまるCMを見たことがある方もいるのではないだろうか。ソフトボールの上野由岐子選手も参加している。出演者は選手以外にも、俳優、アイドル、モデル、芸人、宇宙飛行士と計33人の著名人が参加している。 関係者以外の様々なジャンルの人達もあの五輪での熱狂をもう一度と願い、PR活動を進めてきたのだ。

東京五輪で復活決定

五輪復活へ向け、関係者が推進してきた地道なPR活動が実り、国際オリンピック委員会(IOC)は2016年8月3日、リオデジャネイロで開催された総会で、2020年東京五輪の追加種目の中にソフトボールが選ばれることが決定した。
選ばれたのは、五輪開催の魅力を高める為に、五輪の開催都市が追加したい種目を提案出来る方式になったのが大きな理由となった。結果、IOC委員の挙手による採決では満場一致で野球と共に選ばれたのだ。ソフトボールの東京五輪の会場は、横浜スタジアム(横浜市)で開催される案が出されている。

まとめ

ソフトボールの五輪競技としての歴史はまだ浅いが、五輪の感動から除外の間の苦悩、復活までの努力と非常に奥深いドラマがあったのだ。 女子日本代表とアメリカ、オーストラリア、中国などの強豪国との白熱した戦いは五輪でしか見られず、非常に見応えがある。五輪での活躍を見て憧れてソフトボールや野球を始めた選手も多い。2020年東京五輪が、ますます楽しみになったのではないだろうか。