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遂にオリンピックで復活するソフトボール、日本代表の現在地

2016 12/9 12:03
ソフトボール
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Ⓒゲッティイメージズ

北京での栄光から12年、東京五輪で遂に女子ソフトボールが正式種目として復活します。 金メダルを獲得した2008年、国民を大いに沸かせたソフトボール日本代表は、東京で再び栄冠に輝くことができるのか? 日本代表の現在地や強さについて検証してみました。

オリンピックに見る、ソフトボールと日本代表の軌跡

2008年北京五輪。女子ソフトボール日本代表の金メダルに国中が歓喜、それまでマイナースポーツの1つだったソフトボールは一気に注目の存在となりました。
日本にとって金メダル獲得は悲願の目標でした。初めてソフトボールが実施された1996年アトランタ大会では4位とメダルにあと一歩。その後、2000年シドニー大会で銀メダル、2004年アテネ大会で銅メダルを獲得したものの、金メダルには届かなかったのです。それだけに、北京での勝利による喜びは格別なものでした。
しかし、2012年ロンドン大会と今年のリオ大会ではオリンピック種目から除外されてしまい、2008年の歓喜から一転、再びマイナースポーツとしての地道な活動を余儀なくされてきました。

世界における、女子ソフトボール日本代表の現在地

オリンピックの戦績が示す通り、日本は世界でも屈指の強豪国に挙げられます。国際舞台では、ソフトボールの発祥国であるアメリカの他にカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アジア勢の中国、台湾、ヨーロッパではオランダ、イタリア、チェコなどが強く、これらの国で世界ランキング10位までが形成されています。現在、日本は世界ランキング第1位となる1560ポイントを稼いでいます。以下、アメリカ、オーストラリアと続きます。
2010年以降は隔年開催の「世界女子ソフトボール選手権」は、これらの強豪国を中心としたナショナルチームが激突する大会です。第13回大会で日本は42年ぶりの優勝を飾り、第14回で連覇を果たしましたが、今年行われた第15回ではアメリカに敗れ、惜しくも準優勝に終わっています。

女子ソフトボールで日本が強豪である理由

日本が女子ソフトボールで世界の強豪国である理由は何でしょうか? 1つはやはり野球の存在があります。日本は昔から野球ファンが多く、親や兄弟などの影響で子供の頃から野球をしていたという女性がいる一方、中学や高校には女子野球部がほとんど存在しないためソフトボールに転向した、というケースは少なくありません。
また、体格的にパワーよりも俊敏性や瞬発力に優れた日本人にとって、ソフトボールは適したスポーツであることも理由の1つでしょう。野球と比べ、グラウンド全体のサイズが小さいソフトボールは、一瞬のスピードや小回りの利く動きがより多く求められます。そういった機動力を強みとした戦術を発揮することで、日本は世界の強豪と渡り合っているのです。

オリンピックでも激戦必至!日本最大のライバル国

女子ソフトボール最大の強敵はアメリカです。世界中に強さを示してきたアメリカは、オリンピックで過去3度の金メダルを獲得しています。つまり2008年の北京で日本がアメリカに勝利するまで、金メダルはアメリカが独占していました。
アメリカでソフトボールは、日本の草野球のように広く認知されています。国中に専用グラウンドが設置され、娯楽レベルから誰でも楽しめる環境にあるのです。スポーツ大国として知られるアメリカですが、ソフトボールに関しても例外ではありません。
世界選手権でもアメリカは圧倒的な成績を残してきました。第3回大会で初優勝を飾ると、以後第5回を除くすべての大会で優勝か準優勝を果たしています。
2002年の第10回大会以降、決勝戦は日本とアメリカが激突していますが、その結果は日本の2勝4敗です。10年以上にわたって、日本はアメリカとデッドヒートを続けているのです。

東京五輪でも雄姿を見たい、現日本代表の柱

東京五輪では、これまで長きにわたって代表の中心を担ってきた1人の選手の活躍が期待されています。日本の大エース、上野由岐子選手です。2004年のアテネオリンピックから日本のメダル獲得に貢献してきた上野投手は、現在の女子ソフトボール界で最も有名な選手です。
北京オリンピックでは、決勝を含めた2日間の3試合で413球を1人で投げ抜き、日本に感動を与えてくれました。その功績が紫綬褒章や福岡県民栄誉賞といった形でも認められています。世界最速121㎞/hの直球にシュートなどの変化球も織り交ぜ、対峙する打者に的を絞らせません。また非常に優れたバッターとしても相手チームの脅威となっています。
現在の日本代表選手では最年長の34歳となりましたが、つい先日の日本リーグでも完全試合を達成するなど、その力はまだまだ健在。38歳で迎える東京五輪でも、ぜひその雄姿を見せて欲しいところです。

まとめ

最近2回のオリンピックで除外となったソフトボールですが、その間にも日本は世界の舞台で活躍してきました。 各国は日本への対策を進め、これからも激戦が続くと予想されます。 2020年の東京五輪へ向けて、1人でも多くの人がソフトボールに目を向けてくれることを、選手や関係者は願っています。