ザルツブルクで6得点、日本代表で4戦連発
24歳になり、選手としてピークを迎えようとしているFW南野拓実(ザルツブルク)が今季絶好調だ。目下、リーグ戦やチャンピオンズリーグ(以下、CL)など全12試合に出場し、6得点8アシストを記録している(10月22日現在、以下同)。
今季、南野の評価を急上昇させた要因は、CLのパフォーマンスだ。ゲンク戦で2アシスト、昨シーズンのCL覇者であるリヴァプールを相手に1得点1アシストの大活躍を見せた。
勢いそのまま、日本代表でも得点を量産した。カタールW杯アジア2次予選のモンゴル戦では、ゴールラッシュの口火を切る1ゴール目をマーク。タジキスタン戦でも、後半に2得点をマークして苦しい試合展開を打破した。これで南野は、国際Aマッチにおいて4試合連続のゴールを決めたことになる。
リヴァプールやスペイン、イタリアへの移籍話も出ており、今冬の移籍市場を賑わす存在になりそうだ。
アシスト王との好連携でゴール量産
南野は日本代表のここ5試合で5ゴールを決めている。また、シュート本数は21本。いずれもチームトップの数字だ。
キープレイヤーたちとの好連携も印象的だ。象徴的なのがタジキスタン戦で、1ゴール目が中島翔哉(ポルト)から、2ゴール目が酒井宏樹(マルセイユ)からのパスだった。中島はここ5試合でチームトップとなる22回のラストパス、2回のアシスト、酒井は9回のラストパス、4アシストを記録している。
ザルツブルクでも、チーム内アシスト王のファン・ヒチャン(韓国/ザルツブルク)と良好な関係だ。リヴァプール戦では、ファンのクロスから鮮やかなボレーシュートを決めた。
数字で見るかぎり、シュートまで持ち込む力、決定的なパスを出すキープレイヤーとの好連携が得点量産につながっている。
FW陣で年長者となり芽生えた責任感
先発フル出場が多い南野の得点分布を、欧州移籍した2014〜2015年シーズンから今シーズンまで見ると、前半26得点・後半34得点となっている。先日のゲンク戦前半ロスタイムの約80mのドリブルや、1月のアジア杯準決勝のイラン戦後半で見せた粘り強いアシストなどからも、気持ちの強さや豊富な運動量を持つことが分かる。
足元の技術も高く、南野はパス成功率が平均的に高い。リヴァプール戦では、昨シーズンのバロンドールを獲得した名DFファン・ダイク(オランダ/リヴァプール)の股を抜いたアシストを含め、アタッキングサードでパス成功率100%も記録した。長友が「自信が全てを変えるといっても過言ではないくらい、能力を引き上げてくれる」と南野を高評価したように、欧州トップのチームに自身のプレイが通用した事実は、南野に自信を与え、タジキスタン戦の迷いのないシュートにつながったと言えるだろう。
ただし、南野のこうしたパフォーマンスは以前から継続されてきたものだ。実績も申し分なく、ザルツブルクに長年とどまっているのが不思議な状況だった。
そんな南野に今季訪れたのが、チーム内序列の変化だ。クラブでは、37得点をあげた絶対的エースのモアネス・ダブール(イスラエル/セビージャ)とフレドリク・グルブランセン(ノルウェー/ イスタンブール)という年上の二人がいなくなった。これにより古株の南野は、アタッカー陣で年長者になった。
日本代表では、代表のモンゴル戦とタジキスタン戦でエースの大迫勇也(ブレーメン)が怪我で招集外になった。試合中、招集歴の少ない鎌田大地(フランクフルト)にポジションチェンジを提案したという話からも、チーム状況をよく見えていることがうかがえる。
プレイに対する自信と、チームの中心メンバーとして得点に絡む責任感。二つの精神的な要素が、南野のアタッカーとしての能力をより高めている。心身ともに充実した今、ステップアップは夢ではないだろう。
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