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ベンゼマが「最高のストライカー」へ変貌 低迷するマドリーをけん引

2019 4/13 11:00橘ナオヤ
カリム・ベンゼマ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

ジダン復帰も苦しむマドリー

2018-19シーズン、レアル・マドリーは苦しんでいる。絶対的エースだったクリスティアーノ・ロナウドが去り、新監督ジュレン・ロペテギは早々に解任。その後サンティアゴ・ソラーリ暫定監督のもと、一度は持ち直したが、リーガ、国王杯、そして4連覇を目指したチャンピオンズリーグ、一週間ですべてのタイトルの可能性がほぼ断たれた。昨シーズンまでチームを率いたジネディーヌ・ジダンが監督に復帰したものの、目指すべきものを失ったチームは、復活したとは言いきれない。

苦しむマドリーの最前線で気を吐き、チームを牽引する男がいる。クラブ在籍10シーズン目、第3主将のFWカリム・ベンゼマだ。低迷する今季のマドリーで最高の選手ともいえるベンゼマは、第31節エイバル戦で2ゴールを決め、先制を許したチームを救った。31節終了時点でリーグ戦全試合に出場、17ゴールはチームトップのゴール数でリーグでも4位につけている。

ベンゼマと共に攻撃の要として期待されたギャレス・ベイルは8得点でチーム2位、CBのセルヒオ・ラモスの6点でチーム3位だ。当たり前のようにシーズン30ゴール以上をたたき出していた相棒ロナウドを失った今、ベンゼマにかかる期待と責任は重い。だがそんな重圧をよそに、不振に喘ぐマドリーの中で輝きを放っている今季のベンゼマ。

最高の女房役から最高のストライカーへ変貌

チームメイトからの信頼が厚いベンゼマのサッカーセンスは素晴らしく、カルロ・アンチェロッティ、ジョゼ・モウリーニョ、そしてジダンらチームを率いた指揮官たちも称賛している。しかし、ストライカーらしいゴールを狙う貪欲さに欠けるとされ、難しいゴールを決めるかと思えば簡単な得点機を逸することもある。チームに在籍する10シーズン、ベンゼマに対するファンの評価は常に賛否両論。

昨シーズンはリーグ戦32試合で5得点、全42試合では11得点に終わっており、ストライカーとしてファンを納得させることができなかった。それが一転、今季はリーグ31試合で17得点、全大会では48試合で26ゴールと、自己ベストのリーグ24得点とシーズン32得点に迫っている。

ベンゼマがストライカーとしての姿を取り戻した最大の理由は、ロナウドとの離別だ。これまで、持ち前のテクニックや試合を読む眼はロナウドのサポートのために使ってきたベンゼマ。8シーズン連続で、40ゴール以上決めていたロナウドという相棒にとって、ベンゼマは最高の女房役だった。

だが今季からはそのロナウドはおらず、それに代わるワールドクラスのストライカーも補強されなかった。チーム内で攻撃の要となったのがベイルとベンゼマだ。これまでと変わらず期待に応えられないベイル。一方、その期待に応え持ち前のテクニックと戦術眼を得点奪取のために使うベンゼマは、ストライカーとしての姿を取り戻した。

来季も欠かせない存在に

今シーズン終了後、来季に向けたチーム再編が行われると噂されるマドリーには、去就が不透明な主力級選手もいる。だが、今シーズン、唯一リーグで2ケタ得点をしているベンゼマを外すわけにはいかないだろう。来季もジダンの信頼を掴み、チームの軸となるはずだ。

またウィンガーのヴィニシウス・ジュニオールやルカス・バスケスとは高い連携を見せており、来季は更に決定機を作り出すことが期待される。その前にベンゼマが目指すのは自己ベストの更新。リーグ戦の自己ベストは11-12シーズンに記録した24得点。残るは7試合で7ゴール。今季のベンゼマなら無理難題ではない。