ナイキが禁断の白を多用、バルサ首脳が「待った!」
FCバルセロナの首脳陣が、ナイキ(Nike)の提案した2020-21シーズンのアウェー用ユニフォームのデザインを拒否。白すぎて、まるでライバルのレアル・マドリ―の様だから、というのがその理由。
レアル・マドリ―のニックネームが「ロス・ブランコス(白)」ということからも分かるように、白はレアルのトレードマークだ。
FCバルセロナの首脳陣が、ナイキ(Nike)の提案した2020-21シーズンのアウェー用ユニフォームのデザインを拒否。白すぎて、まるでライバルのレアル・マドリ―の様だから、というのがその理由。
レアル・マドリ―のニックネームが「ロス・ブランコス(白)」ということからも分かるように、白はレアルのトレードマークだ。
提案されたのは、白地に左胸のエンブレムを中心とした赤十字が縦横に大きく入っているデザイン。パンツやソックスも白地に赤と青のアクセントが入っているだけ。つまり、上から下まで、ほぼ白ということになる。
実は、以前にも白いユニフォームを着て戦ったことがあるバルセロナ。伝説のヨハン・クライフも1970年代に袖を通した一人だ。1992年にカッパ(Kappa)が提案した白のストライプを多用したユニフォームにも、サポーターの間で反発が見られた。
バルセロナ市内では、多くの人々がFCバルセロナのユニフォームを普段着にしているのだが、この白いユニフォームはタブー視され、着る者もほとんどおらず、もはや販売もされていない。
今回の提案で、デザインのモチーフにしたのは「サン・ジョルディ十字」だ。日本では、「聖ゲオルギオス十字」として知られる。FCバルセロナのエンブレムにも部分的に採用されており、元々はバルセロナ市旗から採られたもの。
欧州には、聖ゲオルギオスがドラゴンを退治したという伝説がある。FCバルセロナのあるカタルーニャ州では「サン・ジョルディの日」として4月23日に、バラや本を贈り合いお祝いをする。
非常に縁起が良いものとされており、「ジョルディ」は男の子の名前として人気。サッカー選手ではバルセロナのジョルディ・アルバが良く知られている。また、オランダ人のヨハン・クライフは、バルセロナ所属時に生まれた子にカタルーニャ風の名前「ジョルディ」と付けた。
このユニフォームをよく見ると、どことなくイングランド代表にも似ている。それもそのはず。「サン・ジョルディ十字」は英語で「セイント・ジョージズ・クロス」といい、イングランドの国旗と全く同じなのだ。
因みに、イングランド代表のサプライヤーも務めているナイキ。それが、今回の提案にどれだけ関係があるかは不明。だが、国旗モノはファッションアイテムとしても人気があるため、街でもよく見かける。
今回のユニフォームをつくるのに際し、ナイキは白がバルサにとってタブーだということを意識していなかったのだろうか。FCバルセロナとレアル・マドリ―のライバル関係は、今回の事例に限らず、予期せぬところで表出することがある。
マンガやアニメでおなじみの「キャプテン翼」。主人公の大空翼がバルセロナに入団した際には、レアル・マドリ―から、どうしてうちに入団してくれなかったのか、という内容の発言がクラブ幹部からこぼれた。架空の物語だが、これが両クラブのライバル関係を表している。
バルセロナとレアルが対戦する試合は「エル・クラシコ(伝統の一戦)」と呼ばれ、スペインでは両クラブのサポーターではないファンや、あまりサッカーに興味のない人も観戦する程の国民的一大イベント。
普段は美しくスペクタクルなサッカーを展開する両チームも、このカードになると激しい肉弾戦を繰り広げる。街中のスポーツバーのスクリーンには人が群がり、それは道にまで溢れる。まるでテレビがめずらしかった戦後のような状況だ。
日本サッカーで、このように壮絶なライバル関係にある例は中々浮かんでこない。あえて言うなら、野球全盛期時の阪神・巨人の関係性が近いのかもしれない。
サッカーの試合で審判は、チームを「青」「白」と呼ぶ。サッカークラブは、アイデンティティを表現する「色」に強い思い入れを持っているのだ。