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クラブW杯で大波乱、アル・アインが鹿島に次ぐ2例目の開催国枠で決勝進出

2018 12/19 18:00Takuya Nagata
フセイン・エル・シャハト,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

PK戦の末、アル・アインが南米王者下す

アジア王者として鹿島アントラーズも参戦のFIFAクラブワールドカップ2018は、UAE(アラブ首長国連邦)で開催され、12月18日の準決勝では、開催国枠で出場したアル・アインが延長戦を終え2-2となり、PK戦の末5-4で南米王者のリーベル・プレートを下す大波乱を起こした。

アル・アインは、前半6分に先制し、その後、11分、16分と立て続けに失点を許すも、後半6分に元鹿島のカイオが同点弾を決めると、延長戦でも最後まで南米王者に食らいつき、勝利をものにした。これにより、2016年大会(日本開催)の鹿島アントラーズに次ぐ、2クラブ目となる開催国枠からのクラブW杯決勝進出を果たした。

アル・アインは、プレーオフでもオセアニア代表のチーム・ウェリントンFC(ニュージーランド)をPK戦で制し、続くアフリカ代表エスペランス(チュニジア)相手には、3-0と快勝。そこから中2日で臨んだ準々決勝だった。肉体的疲労はピークに達しているが、短期決戦の大会だけに、大陸間移動を強いられ、調整時間の限られた他クラブと比較し、地元開催というアドバンテージを最大限に活かして手にした勝利だ。

憔悴しきったリーベル・プレート、心身ともに限界

南米王者としてシードされたリーベル・プレートは、準決勝がクラブワールドカップ1試合目だが、南米クラブの頂点を決めるコパ・リベルタドーレス決勝戦では、本来不要だった国外遠征を強いられ、時差の異なる地域への度重なる海外遠征でかなりの身体的消耗を伴った。

ボカ・ジュニアーズというアルゼンチン勢同士の顔合わせとなった決勝戦第1試合で、リーベルサポーターがボカのチームバスに投石し、ボカの主力選手が負傷欠場する事態を招いたのが事の発端だった。

スポーツ仲裁裁判所(CAS)まで巻き込んだ末に、国外のスペイン・マドリードで行われた決勝戦第1試合では、3-1とリーベルが勝利し、2試合合計5-3でクラブワールドカップに乗り込んできた。しかしサポーターの起こした傷害事件でボカが駒を欠いたまま決勝戦が強行されたため公平さを欠いており、リーベルの選手たちに直接の責任はないにせよ、十字架を背負っていたと言わざるを得ない。

また、訴訟や国内外で大論争が巻き起こったことは、チームを不安定化させる要因にもなった。ピッチ外の雑音を最後までシャットアウトで出来ず、心理的な影響があったことは否めない。

過密日程に課題、新たな火種の原因に

今回の一連の事態は、コパ・リベルタドーレスとクラブワールドカップの日程にも、課題を残す結果となった。

鹿島アントラーズが決勝戦を制したアジアチャンピオンズリーグ(ACL)にも言えることだが、11月に開催され、大陸の新王者になったほやほやの状態で、クラブワールドカップに参戦する。これは、各国際大会の連動性を高めるためには、大変有意義だが、問題が起こった際に、対応する時間的余裕がないことも露呈した。

リベルタドーレス杯決勝も11月に予定されていたが、数回にわたり延期され、第2試合は、12月9日と、ギリギリのタイミングだった。また、それ以上に物議を醸すのは、第1試合の直前に、相手サポーターの襲撃で選手が大けがをし、ボカが延期を強く要請したにも関わらず、試合が実施されたことだ。

ボカ・ジュニアーズとリーベル・プレートという地元ライバルに、新たな火種を生む結果となってしまった。

年間を通して、時間的余裕のない中で複数の大会が並行して行われており、妥協があるのは仕方ない面もあるが、毎年繰り返されるサイクルだけに今後、議論の余地があるだろう。