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ロナウドは打ち出の小づち。移籍で明暗、観客激減のマドリーとチケット完売のユベントス

2018 8/27 15:21Takuya Nagata
クリスチアーノ・ロナウド,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

快勝のレアルマドリードと辛勝の敵なしユベントス

スペインリーグ2018-2019シーズンが開幕した。8月19日にレアルマドリード(以下レアル)は、ホームでヘタフェと対戦し2-0で勝利した。今回レアルの観客動員は48,446人で、2008-2009シーズン終盤に行われた消化試合に近いマヨルカ戦以来の少なさだ。

一方、同時期に開幕したイタリア・セリエAでは、8月18日にアウェーでユベントス(以下ユーベ)とキエーヴォが対戦。現在、史上初7連覇を飾り国内に敵なしと言われているユーベ。一時的とはいえ、敵にリードされながらロスタイムに勝ち越し弾を決め辛勝したこの一戦は、極めて厳しい戦いだったと言える。また、今シーズンからユーベに移籍したロナウドも無得点という結果で、抜群のチーム連携に慣れるにはまだ時間がかかりそうだ。

高騰続けるロナウドの価値と移籍金

スペインの稼ぎ頭とも言えるレアル。通常であれば大入りのはずの開幕戦で、観客動員数を大幅に落とした一番の原因は、やはり人気選手であるロナウドの退団だろう。

今夏33歳のロナウド。レアルからユーベに移籍した際の移籍金は1億1200万ユーロ(約146億円)、年俸は3000万ユーロ(約41億円)と、史上5番目の高額移籍金とされている。

因みに、18歳でスポルティングからマンチェスターユナイテッドへ移籍した際、10代選手としては史上最高額の1224万ポンド(約24億円)。そして、24歳の時にマンチェスターユナイテッドからレアルへ移籍した際の移籍金は、9400万ユーロ(約123億円)だった。

この驚異的な移籍金の上昇は、ロナウドの価値を表している。移籍金とはクラブ間で支払われる違約金のようなもので、契約が切れていれば発生しないが、複数年の契約が残ったままで移籍となれば移籍金が発生する。また、選手寿命も移籍金に関係し、若くていい選手ほど移籍金は高くなる。

しかし、ロナウドに限っては逆転現象が起こっている。マンチェスターユナイテッドからの移籍時、既に一流選手だったロナウド。そして33歳となった今も、彼の価値は上がり続けている。近年、選手獲得競争激化と予算拡大により移籍金の相場が上昇しているとはいえ、引退の2文字も過るような年齢の選手に巨額を支払ったユーベの公算とはいかなるものなのか。

シーズンチケットも完売!進化し続けるロナウド

10代のころはウィンガーとして名を轟かしたロナウドだが、年齢的な衰えもあり走力が落ちている。現在は肉体を徹底的に強化し、フィジカルを高め、センターFWの点取り屋としてプレースタイルも変え選手寿命を延ばしている。ユーベはこういったことも踏まえ、もうしばらくピークの維持が可能だと予測しているのではないか。4年間という長期契約が何よりの証だ。

この投資に見合う活躍はピッチ上だけではない。Twitterのフォロワーは740万人を超え、彼の甘いマスクは女性に絶大な人気。シーズンチケットの価格を前年比から3割値上げし、一部のファンから抗議はあったものの、見事に完売してしまった。開幕戦のアウェー、キエーヴォでもスタジアムは満員御礼だった。今後しばらく世界中がユベントスに注目することを考えれば、クラブの財政が潤い続けることは間違いない。

ロナウドの移籍がクラブの明暗を分けるのか?

レアルは高額の移籍金とロナウドの年齢を鑑み、売り時と判断したのだろうが、その首脳陣は今、何を思っているのだろう。

興行面でレアルとユーベの明暗は、はっきりしている。両クラブが2017-2018シーズンの欧州チャンピオンズリーグ準々決勝で激突した際は、レアルに軍配が上がった。ロナウドの移籍により両クラブのピッチ上の結末がどうなるのか、今季のレアルとユーベに注目だ。