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チームに全てをささげたバンディエラ

2018 3/23 12:28跳ねる柑橘
フランチェスコ・トッティ
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チームの象徴=旗を掲げる男“バンディエラ”

アスリートの選手生命は短い。プロとしては早くて10代後半からはじまり、多くの選手が30代半ばで引退を表明する。その限られたフットボール人生の中で、選手たちはステップアップや出場機会の確保のため、あるいはチーム事情などから複数のクラブで経験を積むことが多い。

そんななか一つのチームに忠誠を誓い、クラブを象徴する存在として「バンディエラ」と呼ばれる選手がいる。バンディエラとはイタリア語で「旗手」を意味する。

キャリアを通じてひとつのクラブだけに15年以上所属し、クラブに大きな影響を与えた偉大な選手など、定義は複数ある。しかし、ここではあえて「ほぼひとつのクラブにだけ所属し、キャプテンやそれに匹敵する影響力があった選手」としたい。

単語のルーツ、イタリアのバンディエラ

まずは、ローマのフランチェスコ・トッティだ。2017年に現役を退きローマのフロントに入ったトッティは、かつてはレアル・マドリーなどのビッグクラブへの移籍の可能性もあったが、25シーズンにわたりローマに在籍。

その系譜はダニエレ・デロッシへと受け継がれ、2000年に下部組織に加わって以来ローマ一筋だ。2017-18シーズンで18年目を迎えた。

またACミランにも偉大なバンディエラたちがいた。フランコ・バレージとパオロ・マルディーニは、どちらも20年以上ミランでプレー。とくにマルディーニには筋金入りのバンディエラの血が流れている。父チェーザレは12年ミランでプレーしキャプテンを務め、監督としても2度ミランを率いた。さらにパオロの息子クリスティアン、ダニエルもミランの下部組織に入団。バンディエラの系譜は今も続いている。

クラブを愛する男たち イングランド

プレミアリーグには、バンディエラと呼ぶにふさわしい選手が多い。マンチェスター・ユナイテッドでは、近年の選手だけでもライアン・ギグス、ポール・スコールズ、そしてギャリー・ネヴィルというファーガソン時代を支えた偉大な選手がプレーした。

またリヴァプールのジェイミー・キャラガーも18年間プレーし続けた。キャリア終盤をアメリカMLSで過ごしたスティーブン・ジェラードも、ユースからキャリアのほとんどをリヴァプールで過ごし、絶大なキャプテンシーでチームを牽引した。

チェルシーではフランク・ランパードと、ジョン・テリーがバンディエラの名にふさわしい。ランパードは2001年にチェルシーに移籍すると、2014年までチェルシーの中盤を支え、テリーはユース時代にチェルシーに加入し、1シーズンのレンタル移籍を除く20シーズン以上在籍。退団後はチェルシーと戦うことは考えられないとして、プレミアシップ(2部)のアストン・ヴィラへ移籍した。

スペインは2大クラブ、そしてスーペル・デポルにも

バルセロナでは下部組織カンテラ出身のキャプテンが続く。カルレス・プジョル、シャビ・エルナンデス、そして現主将アンドレス・イニエスタは全員バルサ一筋だ。(シャビはバルサ退団後欧州から離れカタールでプレー) この後を継ぐのはやはりカンテラ出身バルサのセルヒオ・ブスケツ、そしてリオネル・メッシだろう。

ライバルのレアル・マドリーにもラウル・ゴンサレス、イケル・カシジャス、セルヒオ・ラモスというバンディエラの系譜がある。現主将のラモスはセビージャ出身だが10代のうちにマドリーに移籍し、在籍13シーズンを迎えた。クラブを支える大黒柱として、攻守で絶大な影響力を発揮しサポーターからの支持も絶大だ。

デポルティーボ・ラ・コルーニャに所属したマヌエル・パブロもバンディエラだ。1998年にラス・パルマスから移籍すると、18シーズンにわたり在籍。チームが“スーペル・デポル”と呼ばれ、リーガ優勝を果たした1999-2000シーズンも右SBの主力としてチームに貢献。その後チームが低迷し、2部降格となってもクラブを支え続けた。