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2018年ワールドカップロシア大会 アフリカのタレント軍団セネガルとは

2018 1/13 18:05跳ねる柑橘
サッカーボール
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ワールドカップロシア大会 日本が戦う予選グループHは実力者ぞろい

2018年夏に開催されるFIFAワールドカップロシア大会。2017年12月に予選のグループ分け抽選会が行われた。
日本が入ったグループHには、ポッド1から東欧の強豪ポーランド、ポッド2からは前回大会で完敗を喫したコロンビア、そしてポッド3からはアフリカの強豪セネガルが入っている。

絶対的な優勝候補国の名前はないものの、いずれも各大陸の強豪だ。これから3回にわたってこのグループHを戦う3か国がどんな国、どんなチームなのかひとつずつ紹介していこう。

テランガのライオン、アフリカ代表セネガル

セネガルはアフリカ大陸の最西端にある共和制国家で、西に大西洋をのぞむ、熱帯の国だ。首都ダカールは、ダカール・ラリーと呼ばれるモータースポーツの耐久レース(かつてはパリ‐ダカール・ラリー、通称『パリ・ダカ』と呼ばれた)の終着点として知られている。
1960年にフランスから独立した歴史を持ち、公用語はフランス語だ。

日本では『パリ・ダカ』のほかに、2002年のワールドカップ日韓大会で大旋風を巻き起こしたことでその名が知られるようになった。この日韓大会がワールドカップ初出場だったのだが、初戦でフランスに勝利すると、その後もウルグアイ、デンマークといった強豪相手に引き分け決勝トーナメントに進出。

ベスト16でもスウェーデンを相手に粘り強く戦い延長の末勝利し、初出場でベスト8という快挙を果たした。今回セネガルはアフリカ予選グループDを首位で突破し、2018年のロシア大会は4大会ぶり2度目の本戦出場となる。

フランス仕込み、ヨーロッパ仕立ての選手たち

セネガル代表の選手たちの中には、フランスのクラブ育成でサッカーを学び、フランスの年代別代表に選ばれた経験を持つ選手が多い。CBのカリドゥ・クリバリやCFのムサ・ソウ、SBシェイフ・ムベングやユースフ・サバリ、FWのエムバイ・ニアングはフランス人として生まれ、フランスをはじめ欧州のクラブを渡り歩いてきた選手たちであり、彼ら以外のセネガル出身の選手でもヨーロッパでプレーする選手ばかりだ。

チームを率いるアリュー・シセ監督も、セネガル出身ながら選手時代はフランスとイングランドでプレーした。まだ40代前半の青年指揮官はリールでキャリアをスタートさせ、パリ・サンジェルマンやバーミンガム・シティでMFやDFとしてプレー。

2002年日韓大会ではキャプテンとしてセネガル代表を引っ張った。現役引退後は2015年から代表チームを率いている。
アフリカ人らしい恵まれた身体能力を持ちながら、監督、そして選手にいたるまでが欧州仕込みというレベルの高いサッカーを展開する。

注目選手1>守備の要 CBカリドゥ・クリバリ

注目の選手といえば、最終ラインを統率するCBカリドゥ・クリバリだろう。イタリア・セリエAの強豪ナポリでも守備の要としてプレーするクリバリは1991年生まれの26歳。
フランス生まれで、U20フランス代表の経験を持つ。日本代表GK川島永嗣が所属するメスでプロキャリアをスタートさせ、ベルギーのヘンクを経て2014年からナポリでプレーしている。

ナポリではレギュラーとして優れたプレーを示しており、ここ数年はメガクラブ移籍の噂が立っている選手だ。195cm・89kgという恵まれた体躯の持ち主でコンタクトプレーに強いほか、スピードにも優れており相手ストライカーとのチェイスも澪と知りない健脚を誇る。

日本のストライカー陣はそのスピードをかいくぐる必要があるほか、ポーランドのFWレヴァンドフスキやミリクも空中戦やフィジカルコンタクトに強い彼を攻略しないと、ゴールネットを揺らすことは難しいだろう。

注目選手2>エースストライカー FWサディオ・マネ

セネガル代表の最大の特徴は多彩なFWが揃っていることだが、その中心的な選手がFWサディオ・マネだろう。セネガルのセディウ出身のマネはその才能を見初められメスでプロ選手としてのキャリアをはじめた。

そこで才能の片りんを見せると、レッドブル・ザルツブルクのSDラルフ・ラングニックの眼鏡にかない移籍。ここで63試合31ゴールと活躍すると、イングランドのサウサンプトンへ移籍。
さらに2016年にはリヴァプールへと移籍し、サラーやコウチーニョ(2018年1月にバルセロナに移籍)と超強力な攻撃陣を形成した。

圧倒的なスピードと創造性に富んだテクニックが持ち味で、リヴァプールでは点取り屋として活躍。アフリカネイションズカップ出場のため、クラブを離れていた間にリヴァプールは得点力不足に苦しみ、ファンの間ではマネ待望論が沸き上がったほどだ。
セネガル代表では、両ウィングのケイタやニアンら爆発力のある選手がいるため、彼らをいかすチャンスメイカーとしてのプレーも見せている。

注目選手3>スペイン産セネガル人 WGケイタ・バルデ・ディアオ

最後に紹介するのがモナコのウィンガー、ケイタ・バルデ・ディアオだ。フランスとの関係が深いセネガルだが、ケイタの出身地はスペイン、カタルーニャ州である。才能が認められバルセロナのユースに入団すると、2011年にイタリア・セリエAの強豪ラツィオの下部組織に移籍。
2013年にトップチームに昇格すると、2016-17シーズンにはリーグ8位の16得点と決定力の高さを印象付けた。

2017年にフランス・リーグ1のモナコに移籍すると2017年の間にリーグ戦13試合に出場し、5得点と既に主力としてチームに定着している。アリュー・シセ監督の誘いを受けセネガル代表を選択した一方で、カタルーニャ出身であることから2015年にはカタルーニャ代表に選出された経験もある。

前述の決定力に加えて、俊足をいかした突破が最大の武器だ。マネ、ベテランFWのムサ・ソウ、左WGの座を争うエムバイ・ニアングらと層の厚い攻撃陣を形成しており、グループHの各国守備陣は彼らの攻撃力に手を焼くことだろう。

アフリカ屈指のタレント軍団がベスト4を目指す

アフリカの選手らしく恵まれた身体能力、特にスピードに優れている。マネやケイタらの爆発的な攻撃力はグループH随一と言え、日本はもちろん全ての対戦国の脅威となるだろう。
個別の選手を取り上げなかったが、中盤にはプレミアリーグでプレーするフィジカルに優れた選手が多く、どのポジションをとっても一筋縄ではいかない相手だ。弱点があるとすればアフリカの国らしく試合中に間延びする時間帯が訪れることだろうか。

とくにケイタやニアングら若手選手たちは、90分集中力を持続できないことを指摘されることもある。またグループHの対戦国はいずれも、中盤や前線にテクニックに優れた選手を揃えており、セネガルの中盤や守備陣がどの程度封じられるかがカギとなりそうだ。
タレント揃いのセネガルは2002年日韓大会以来の旋風を巻き起こすポテンシャルは十分だ。